第27話 観客

side:勝村

スーパーボールすくいや、ヨーヨー釣りをしていたら、帰らなきゃいけない時間になったので帰る。

綿菓子もう一個買っておけばよかったかな。

正直、あまけりゃうまいもん。

・・・もちろん、酸っぱいのもおいしい。苦いのも、ほどよいのは美味しい。

なんか、甘党って思われると、負けた気がする。


side:佐倉

今日、つむが誘ったのは、ともちゃんだけ。ともちゃんが誘ったと事前に聞いていたのは勝村だけ。最終的に五人になった。まったく、お人好ししかいない。


勝村が帰ったあと、屋台をまわり尽くしたつむたちは、だらだらしていた。

もともと仲が良かった訳でもないのに、なんとなく帰りたくない。みんなもそうなのか、帰ろうと言い出さない。

でも、誰もファミレス行こうとかも、言い出さない。

神社の石段で、なんでもない会話を続けている。


…お金を使わず、なんでもない会話が出来る人がいないからか。


中学生になると、イオンだのボウリングだの、遊ぶのにお金が必要になる。

おこづかい制じゃないつむにはしんどい。


だから、居心地が良いのだ。

ともちゃんも茶さんも、小学生のままみたいに、公園に誘ってくる。


たぶん、平倉さんも、渡瀬さんも、お金を使って遊ぶ関係に疲れてるんじゃないかと思う。

最初、渡瀬さんは戸惑ってたけど、最後には教室でワイワイしてるときには見せない、柔らかい微笑みを見せていた。

つむのお陰かな~。仕切り役なんて、いつもはしたくないからしないけど、2人とも下手くそそうだし、平倉さんも渡瀬さんも、自分が仕切るのは気まずいだろうと自負してたろうからなぁ~。


全然そんなことないけど。

2人ともそういう、気まずいとかいう感覚が欠けてるからね。


つむは潤滑油。主役にならずに、脇役、いや、観客として、楽しんでやるのさ。へっへ~。


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