蛇足4 世の中の悪事

(場面:本編第6話 閻魔女王による千造の取り調べ最中)


〜千造の走馬灯 終盤詳細〜


 俺が過去の職場で受けた数々の理不尽については、もう忘れようと思う。


 一方で、世間の人々が受けている理不尽な悪事についてはどうだろうか?


 例えば、理不尽な悪事と聞いてまず思い浮かべるのは弱者への虐待ぎゃくたいだ! 

 特に子供が虐待された事件のニュースを見ると、悲しみやいきどおりなど複雑な感情が沸騰ふっとうし胸が締め付けられてしまう。


 子供に限らず小動物なども含め『弱い者をいじめたらアカン』ってのは両親からの教えでもある。

 あ……。そういえばここ数年、田舎に帰れてないんだよな……。


 それにしても、に落ちない理不尽りふじんな出来事や事件は挙げればキリがない。


 この世は理不尽な出来事であふれている。

 俺は立場を利用して私腹を肥やす人々や、国を裏切り国民を欺く権力者たちに怒った。


 そして気がついたのだ。

 どこの国においてもある意味、問題の元凶やパターンは共通していると。

 罪が明らかにされず、罰せられずに逃げ果せている人々がいると。


 責任を取らない事が罷り通るおかしな世界。

 『やったもん勝ちの世の中』と俺は呼んだ。

 表面的に何かが変わる事はあっても、元凶については何も変わらない世の中。


 悪も勝つ世の中。


 ……なんて……

 傍観者のままで文句だけ一丁前に言ってる自分が偉そうなコト言えないか……。

 だから2次元のファンタジー世界に——『アニメ』に逃げこんだのだろうか?


 イヤ違う! 

 純粋にアニメが好きで、楽しく、心地良かったからだ。

 それに『世界を変えられるのはアニメしかない』などと本気で感じ始めていた。


 それにしても……

 やはり因果応報という摂理は必ず存在するハズだと信じたい。

 だが……現実には、生きているうちに報いを受けずに逃げ延びそのままこの世を去る悪人達がいる。

 じゃあせめて……そういう人間は死後は地獄に堕ちるハズだと信じよう……。


 ところで自分自身はどうだっただろう?


 些細な罪なら幾らでもあったと思うが、それらについてちゃんと償いを済ませてあるだろうか?


 一方で、大きな罪は犯していないと思うのだが……。


 ……


 その後、映像が真っ暗になった。

 驚いて辺りを見回したが何も見えない。


 一瞬、小学生くらいの女の子が見えた気もしたが、やはりよく分からない。



…………



 ……暫くして己の意識が徐々にゆっくりと戻って来るのを感じた。

 少しの間意識を失っていたような不思議な感覚で、まだ微睡の中にいるようだ。


 ……俺は床に正座して……

 そして首を垂れ、手は合掌のポーズを取っている……。


 頭の辺りが暖かい……?


 ——手の感触……?


 誰かが俺の頭に手を当てているのか?

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