妹がラインを超えようと必死な件

スカイレイク

001_或る妹と兄のありふれた話の始まり

「お兄ちゃん、一緒に寝てくれませんか?」


「お前なぁ……俺らは何歳になってると思ってるんだ?」


 ウチの妹、阿地アチが俺に胡乱な言葉を投げかけてくるので雑に投げ返した。質問に質問で返しても問題無いのが我が家のルールだ。


「何言ってるんですか! 私たちがピー歳を超えたから言ってるんじゃないですか! この年齢なら堂々とピピピーしても問題無いんですよ!」


「ああ、まず年の前に兄妹だって事を考えようかマイシスター」


「扱い! 扱いが雑です! 私たちがいくら自暴自棄になった三流に作られたからって妹をいい加減に扱っていいはずがないでしょう!」


「当たり前のようにメタ発言すんな! ただでさえ扱いが面倒な妹なのにもっと面倒になるだろうが!」


 油断も隙もないとはこのことだ。曖昧なことを残しておくとすぐに無茶な戦略をとろうとする。自分たちの存在している世界の理をねじ曲げるな、『消される』ぞ。


「とにかく、お兄ちゃんが妹を甘やかすのは昔っからの決まりです! 私をドンドン甘やかしてください!」


「はいはい、いい子いい子」


「む……おにいちゃんは私が子供だと思っていませんか? 少なくとも子細にに描写すると全年齢向けじゃなくなるような行為だってしてるんですよ!」


 我が妹ながら言い根性している。自分の事情をここまで堂々と言えるのはある意味才能だろう。それはともかく、兄の事情は一切無視か。


 まったく……健全全年齢対象でなくちゃいけないってのに困った妹だ。阿地は自由すぎんだろ、もうちょっと世界の理利用規約ってやつを考えろっての。


「分かった分かった、だから今日は顔見せなんだから初手でぶっ込んでくるな。初見で兄妹が恋愛してたらヤバいだろ、こういうのはじっくり沼に沈めないとな」


「お兄ちゃん、それはそれで割と質が悪いと思うんですが……?」


「何を言う、健全な話をするんだからそれでいいだろ。みんな深く気にしすぎなんだよ」


「お兄ちゃんも強情ですね、じゃあまずは軽めに接吻でもしておきますか」


「俺たちは全年齢対応だからやめとこうな?」


「大丈夫です、接吻って書いておけば子供が学校で習わないので読めませんよ!」


「読めなきゃ良いってもんじゃないからな!?」


「それはさておき、それじゃ、私たちの話を始めましょうか」


「さておくのか……まあいいや、はいはい、それじゃ全年齢対応の物語……」


「「始めます!」」

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