初クエスト

晴れて憧れの冒険者になることが出来た俺、モーリス・ウェルヴァ。

ガルザとの決闘から2日経った今日・・・として初のクエストに挑もうとしていた。


正直、今でも自分ですら信じられねえ・・・。

あの悪徳冒険者である若造ガルザを打ちのめした事が・・・。


あの日からずっと考えていた。

『なんで俺、勝てたんだ?』と・・・。


リリアは『理由なんてどうでも良いじゃない!』と宥めているが・・・。

まあ良いか・・・。



ーーーーー



最初のクエストはダンジョン探索だった。

このダンジョンは低級の魔物がいる程度だから初心者向けらしい・・・。


この歳で初心者とは、まあ俺一応新米冒険者だし・・・。


ダンジョンはリリアに先導してもらってついていく事にした。


「叔父さん気を付けて!ここ、魔物出るから!」


「出るったって低級の魔物だろ?そんなの俺でも・・・って?」


「ご、ゴブリンだわ!」



ーーゴブリン。

小さい身体をしているが獰猛な小鬼…。

しかも案外多いな・・・。


「キエエエ!」


「いやああああ!」


「ふっ!」


とっさに構えていた戦斧バトルアックスでリリアに襲い掛かろうとしていたゴブリンを攻撃出来た。

間一髪だったぜ・・・。


「リリア、大丈夫か?」


「叔父さん!ありがとう!あんなすぐに攻撃出来たなんてすごいよ!」


「実はこれも対人相手の対処法と同じで、前もって色々と勉強していたのさ!」


「え?」


武器を制作するにあたって、武器×魔獣の相性ってのがある。

使う武器によってはどの魔獣に有利、または不利がある。

さらには魔獣にも決まった動きをする岩だ習性が存在する。

その習性を見越して相性の良い武器でどう動けば魔獣相手に対処出来るかも分かるってもんだ!


「じゃあさ、私はこの剣を主に使っているけど、こういう場合はどう魔獣に対処するの?」


「ゴブリンの場合は棍棒を持って人間を襲うだろ、だから・・・こうさ!」


話している途中で襲ってきたゴブリンもまたも撃退できた。

ゴブリンに関してはあいつら、棍棒を上から下に振り下ろす攻撃しかして来ねえから、横からの攻撃が有利だ!

しかもこの数とはいえ、ゴブリンみてえな低級の魔物なら、どんな武器でも倒せるって訳だ!


「へっへえ!どうだゴブリン共が!」


(叔父さんって、やっぱり冒険者に向いているのかも・・・武器の扱い方や魔物の対処法とかも結構詳しいし・・・)




ーーーーー



ダンジョン探索は無事に済み、今日のクエストは終わった。


自分で言うのも変だが初クエストにしちゃあ上出来だったかな・・・?


「お疲れ様!叔父さん!ほら、今回の報酬だよ!」


「お、ありがとうってあれ?」


明らかに6:4で俺の方が多いような・・・。


「おいリリア、報酬金、俺の方が多くねえか?これじゃあ割に合わなくね?半分ずつ平等に分けた方が・・・」


「良いの!今日は叔父さんの冒険者デビューのクエストだったし!それに、ゴブリンほとんど叔父さんがやっつけちゃったじゃん!」


「そうだけどよ・・・」


「だから、この報酬分は叔父さんに受け取ってほしいの!」


「・・・分かったよ、お言葉に甘えさせてもらうぜ!」


リリアの言葉に従って俺はそのまま報酬金を受け取った。


冒険者って大変だがすげえな!

年甲斐もなく胸が躍るぜ!


次も・・・頑張ってみようかな・・・?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る