第15話 恋人の家2

     恋人の家2


 エミリアの奥までたどりついたけれど、彼女はそこでイッたことで、全身から力が抜けてしまう。でも、彼女の中はボクのそれに絡みついてきて、むしろ力強く締め付けてくる。

 体の反応が遅れてくるタイプ……? でも、それはまるでボクを放さない……とでも言わんばかりであり、腰をつかえなくなった。仕方なく、彼女の胸を責めることにする。

 身体測定のときも、彼女は隠さず見せていたけれど、九歳とは思えないほどに胸も発育し、そして前にさわったときも思ったが、かなり張りがあって、まだまだ大きくなりそうだ。

 ボクが軽く触れると、パンパンの風船のようであって、弾けて中から何か飛びだしてきそうだ。

「胸は優しく……お願い」

 エミリアがそう言ってきた。きっとそれは痛いからだ。でも、決して成長期で張りがあるから……ばかりではない。ベイスというスポーツの体験入部をしたとき、胸をつかまれて痛がっていた。もしかしたら、まだそのときの痛みがのこっているのかもしれない。

 ボクはあのときのように、やさしく摩るようにして、その先端をもてあそぶように指先で転がす。

 それは風船の結び目のように、ころころとよく動き、その色が変化した部分に指を走らせると、彼女はくすぐったそうに体をくねらせる。

 中が少し緩んできた。

 やっと腰をつかえるようになり、ボクはゆっくりと動かしてみる。彼女のそこは、まるで指をいつも添えてくれているような絡みつき方をしてくるので、温かくていい感じだ。

「あ……あ……」

 ボクの律動に合わせ、彼女はそう喘ぎ声をだす。母親に聞かれるのでは……? そう危惧するけれど、今の彼女にそれを伝えても、声を小さくすることはできそうもなかった。

 なぜって? 彼女の恍惚の表情をみれば、それだけで意識している声ではない……と分かるから。きっとそれを意識してしまうと、せっかくの絶頂を台無しにしてしまいかねない。

 もしかしたら、母親もボクとはすでに肉体関係をもっている……と気づいているのかもしれない。でもそれは、女性同士としてであって、こういう関係だとは思っていないはずだ。

 男女の関係なんて、それこそこの世界では考えられないことだから。


「あ……あ……もう少し、もう少し! ……くぅ~」

 彼女はふたたび、力が抜けてしまう。どうやら抜かずで、二度目の絶頂に達したらしい。

 ちなみに、ボクはまだ達してもだすことはない。九歳なので、立つことはできても生成していないからだ。

 イク感覚だけがある。ロナたちとしているときもそうだったけれど、回復さえすればまたすぐにできるのが強みだ。

 そしてそれは、彼女の家のベッドを汚さないなど、さらに良い面もあった。さらに避妊具などももちろんないのだから、中にだしてしまえば、それは彼女の下着も汚してしまう可能性だってある。

 まさか、お母さんもその汚れの意味に気づくことはないのかもしれないけれど、変に疑われても困る。

 今はまだロナとお付きの三人、それにエミリアだけが、ボクを男と気づいているのであって、それ以上の周りに知られることはボクも避けたかった。


「やっぱり……想像していた通り……いいえ、それ以上だったわ」

 エミリアは軽い息遣いとともに、そういってボクの首に腕をからませ、引き寄せるとキスをしてきた。

 ボクも気になっていることを聞いてみた。

「男がこの世界にいる……と思っていたの?」

「ええ。私はそう信じていたわ。だって、人が生まれてくる仕組みには、男の人がかかわるのでしょう? だったらどこかに男の人が生きているんだって、ずっと思っていたわ」

 貴族はそれこそ情報量が多いし、本を読むよう小さいころから育てられるらしい。貴族の娘であるロナもそうだったけれど、男が絶滅していて三百年も経つのに、こうして生命として紡がれるのは、やはり男がいる……との疑念を想起させるにちがいない。子供が欲しいというと、国から支給されるあの液体はいったいどうやって入手、製造しているのか……と?

「でも、公式には男は絶滅しているよね」

「私はね、こう考えているの。多分どこかで男の人が生まれる仕組みがあって、そこで生まれた男の人が、この世界を支えているんだって。そして、ごく稀に民間人でもその種がこぼれ落ちて、男の人が生まれることもあるんだって……」

 確かに、その可能性はボクも考えていた。でも、それだと男の人がだす精液で、X遺伝子をもつ精子をノックアウトする必要がある。

 かつて機械文明があったのだから、そうした技術が生まれたのかもしれない。でもそれを三百年も維持し、また一般人に知られないようにしてきた……とするなら、それもまた奇跡だ。しかも、この王都でさえその機械文明の残滓さえ感じられないほどなのだから、どこに隠しているのか……?

「お母さんたちは、そんな話はしていない?」

「お母さんには聞いたことないけれど、政治の世界でもそうした話、まず聞いたことがないわ」

 その話は禁忌なのか? それともまったくの見当違いなのか……?


「私とは、これまで通りに仮の恋人でいましょう」

「それでいいの?」

 エミリアは少し憂鬱そうな表情をした。

「貴族はどうしても、結婚を政治的に利用するからね。敵対的だったグループと組むために結婚したり……ね。だから私も、政治家をめざす以上、結婚はフリーハンドを求められる。

 だから恋人がいても、結婚はできないの。だから、ずっと仮のまま……」

 なるほど、彼女が最初にそれを提案してきたのも、もうそういうものだという諦めもあったのだろう。

「私はあなたを縛るつもりもないし、その権利もない。だからあなたが他の誰かと付き合っても、何もいわないわ。ただ、私との恋人同士をつづけてくれるのなら……」

 そういって、甘えるように上目づかいでボクを見つめてきた。

「ずるいな~。そんなことを言われたら、ずっと君と付き合ってしまうだろう?」

「うふふ……。政治の世界に生きている女は、駆け引きがうまくなるのよ」

「分かった。でも正直、ボクは男である身分がバレると、どうなってしまうか分からない身分だ。それこそ君が予想するように、どこかに男が囲われていることが公然の秘密なら、ボクも見つかると、そこに連れていかれることは十分にあり得る。身分的には弱い……」

「そうね……。私もそれは困るわ」

「だから、あくまでそれがバレるまで……となってしまう」

 ぐっとにじり寄ってきて「私は……あなたを手放さないためなら、どんなことでもするからね」

 強い味方になってくれそう……。でも、こうして肉体関係を求められることは度々ありそうだ。

 でも、それだって嫌ではない。むしろ愛し合って、きちんと関係をつづけていくのはプラスにも感じられ、ボクは彼女を抱き寄せると、もう一度唇をかわした。




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