第27話

皐、セツ、源蔵…… 少女、少年時代の3人はそれぞれの役を熱演していた。


「あの子いいね。実にいい表情をしている」

「皐ですか」

「セツだよ。パッと画面が明るくなる。それでいて自分の役を弁えている」

「矢野一色の娘ですから、演技指導も受けているのでしょう」

「一色の娘か!」

澤山は今初めて知ったような顔をする。澤山は全く2世に興味は無い。

自分のイメージに合う演技が出来るかどうかだけだ。


いよいよ少女時代のクランクアップが来た。

恐慌のために多額の借金を抱えてしまったた

め、大金持ちの社長と結婚して店を守る皐。だが心の中には消せない炎が燃えていた。


監督が初めて笑顔を見せた。

3人に労いの言葉を掛け、これで現場を後にする事になった。

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