第15話
あたしは数日間彼女の部屋で過ごした。
彼女は熱心に看病をしてくれた。
一度だけ彼女はあたしの写真を撮った。
これであたしを探している人を見つけるのだと言っていた。
あたしは最初彼女の事を極力避けていた。
あたしは彼女が彼の事を好きだという事を知っていたから。
でも、あたしの看病を熱心に続けてくれる彼女の事をあたしは段々と好きになっていた。
彼女はとても、優しい。
彼はあたしの事を“君”と呼ぶ。
愛しく、あたしの全てを包み込むように。
あたしにとって“君”と呼ばれることが当たり前になっていた。
彼女にこう呼ばれるまでは……。
彼女はあたしの事を“ネコちゃん”と呼ぶ。
優しく、あたしをいたわるように。
あたしは彼女に“ネコちゃん”と呼ばれるまであたしは猫である事を忘れていた。
あたしは、猫……。
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