第9話 荒れた大地 - 新たな始まり

Vault 69を後にしたイーサンとナオミは、荒廃した世界に足を踏み入れた。そこに広がっていたのは、かつて栄えた文明が廃墟と化した景色。大地はひび割れ、無数の廃墟が立ち並び、空は灰色に曇っていた。放射能の影響で植物は枯れ、動物の姿もほとんど見当たらない。


「ここが、俺たちの未来か…。」

イーサンは呆然とした表情で、広がる荒野を見渡した。


ナオミは少し先を歩きながら、ふと振り返る。

「これが現実よ。私たちは…これからこの世界で生きていかなきゃならないの。」


イーサンはナオミの言葉に応えず、ただその荒れ果てた景色を見つめ続けた。ここには人類の過去の栄光も未来への希望も存在しない。ただ、終わりを迎えた世界が広がっているだけだった。


「でも、これで良かったんだろうな。」

イーサンは自分に言い聞かせるように呟く。

「Vault 69の中で過ごしていたら、きっと一生わからなかっただろう。」


ナオミは立ち止まり、イーサンを振り返った。

「自由って、こういうことよね。どんなに過酷でも、私たちには選択肢がある。」


イーサンはナオミの言葉に少しだけ微笑んだ。

「そうだな…。これが本当の意味での自由か。」


歩き続けて数時間が経過した頃、二人は途中で何か異変を感じ取った。かすかな音が聞こえる。風の音ではない。足音だ。


イーサンはすぐに立ち止まり、周囲を見渡す。ナオミも警戒を強め、少し後ろに下がる。二人の目が険しくなり、次第にその音は大きくなる。


「誰だ?」

イーサンが低い声で言うと、ナオミはそっと腕を引き寄せる。


その瞬間、草むらから現れたのは、数人の武装した男たちだった。彼らは戦闘服を着て、銃を持っている。イーサンとナオミを見つけると、すぐに距離を取る。


「おい、そこの二人!動くな!」


一人が鋭く叫び、他の男たちもそれに続く。イーサンはすぐにナオミの後ろに立ち、身構える。


「何か用か?」

イーサンは冷静に声を出した。彼らが何を目的にしているのかはわからなかったが、明らかに敵意を持っていることだけは感じ取れた。


男たちはしばらく無言でイーサンとナオミを見つめた後、リーダーらしき男が前に出てきた。


「お前たち、どこから来た?何か目的があってここにいるんだろう。」


イーサンは一歩前に出る。

「俺たちには目的がある。生きていくためにこの荒れた世界で何かを始めないといけない。」


リーダーはイーサンをじっと見つめ、考え込んだ様子を見せる。その後、彼は冷たく言った。


「それなら、お前たちの“目的”が俺たちの邪魔にならないことを願ってるぜ。」


その言葉と共に、男たちは銃を構え始める。イーサンはすぐに状況を把握し、素早くナオミの腕を引いて後ろに下がる。


「待て!俺たちは何も悪いことをしていない!」

イーサンは声を荒げて叫んだ。だが、男たちはその声に耳を貸さず、ゆっくりと歩み寄ってくる。


「俺たちはこれから、この荒れた世界で生き抜いていく。お前たちの“目的”なんて知らんが、余計なことをして俺たちに関わるな。」


男たちの言葉は冷酷で、明らかに支配的だった。イーサンはその時、胸にある恐怖と怒りを感じる。だが、彼は冷静さを保ちながら答える。


「俺たちにはお前たちと戦うつもりはない。だが、もし攻撃してくるなら、俺たちも身を守らなきゃならない。」


その言葉がきっかけで、緊張が一層高まる。男たちは少しだけ目を見張ったが、リーダーは冷ややかな目でイーサンを見つめる。


「さて、どうするか…。」

リーダーが呟くと、その背後に立っていた男が一歩前に出てきた。彼の手に持っていたのは、長い棒のような武器で、先端が鋭く尖っていた。


その時、突然、遠くから銃声が響いた。男たちの注意が一瞬そちらに向けられた隙に、イーサンとナオミは素早く距離を取る。男たちが反応する間もなく、もう一発銃声が響き、さらに数人の男たちが現れる。


新たに現れたのは、荒れた世界で生き抜いている者たち。彼らは素早くリーダーたちの背後に回り込み、武器を手に取る。


「おい、どうした?誰かさんが暴れてるのか?」


その男が声を上げ、リーダーたちに向かって銃を構えると、状況は一変した。新たなグループの登場により、男たちは撤退を余儀なくされる。


「お前たち、ここからは引っ込んでおけ。」

新たに現れた男が冷たく言った。リーダーたちは渋々後退し、イーサンとナオミに一瞥をくれると、その場を離れていった。


イーサンとナオミはその男たちに向かって歩み寄り、感謝の言葉を口にする。


「ありがとう…助かった。」

イーサンが言うと、男は軽く肩をすくめながら答えた。


「別にお前たちのためにやったわけじゃねえ。ただ、あいつらがうざかっただけだ。」


ナオミは微笑んで言った。

「でも、ありがとう。本当に助かったわ。」


その男は少し照れたように笑いながら言った。

「気にすんな。ここじゃ、みんな仲間だ。お前たちが生きていけるように、少しだけ助けてやるよ。」


その後、男たちはイーサンとナオミを自分たちの拠点に招待する。拠点は、廃墟の中にあった小さなコミュニティで、荒れ果てた世界で生きるために自分たちで食料を調達し、生活を作り上げている人々の集まりだった。


「名前はエリックだ。俺たちはここで何とかして生き延びてる。お前たちも生きるために、俺たちと一緒にやっていこう。」


イーサンとナオミはその言葉を受け入れ、新たな仲間たちと共に生きていく決意を固める。


Vault 69を脱出したイーサンとナオミは、新しい生活を始めることになる。しかし、荒れ果てた世界には、まだ多くの危険と謎が待ち受けている。

そして、彼らを待つ新たな試練が、少しずつ近づいてきているのだった…。


次回、新たな冒険の幕開け!

イーサンとナオミはどんな未来を切り開くのか!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る