サプライズ報告
「今日は、みゆの生誕祭に来てくれてありがとー!」
「というわけで! 私たち『Blue Rose』でしたー! とおっ! 思いきや、ここで! みんなにサプライズ報告をしたいと思いまーす!」
なんだなんだ? と言わんばかりに、ファンで埋め尽くされたライブハウス内がザワつく。
「と言うことで、みゆ! 続きをよろしく!」
「えっ、みゆ!? なぎさが言うんじゃないの?」
「
「まあ、せっかくだから、みゆが言ったらいいんじゃない?」
ステージの上に並んで立つ4人のメンバー、なぎさ、みゆ、姫奈、
「そうだよ、みゆ! 今日はみゆが主役の日なんだからさ! ねっ、みんな!」
なぎさは後列に立つメンバーたちにも促すように声をかけた。
「「「意義なーし」」」
「ほらね?」
「でもこういうのって本当はリーダーが言うもんじゃないの?」
「まっ、今日は特別に譲ってあげる」
「ほらほら、志乃もそう言ってることだしっ。ねっ、みゆ」
「ま、まあ。なら別に良いけど」
「よしっ、決まり! じゃあ、みんなお待たせ! さっき言ったサプライズ報告は今日が誕生日のみゆに発表してもらいまーす!」
一歩、後ろに下がったなぎさから笑みを向けられ、みゆは一歩前に出る。
ザワザワしていたライブハウス内が静まり返り、やや緊張気味のみゆが口を開く。
「えっと、み…みゆたち……いや、わ…私たち『Blue Rose』なんですけど……」
「「「……」」」
「――メジャーデビュー決定しましたぁ!!」
「「「……」」」
――うおーーー!!!
少しの間があいた後に、ライブハウス内は大勢のファンたちによって大きな歓声に包まれた。
「おめでとー!!」
「良かったねー!!」
「すごいよー!!」
ファンの思い思いの言葉に、メンバーたちは「ありがとー!!」とお礼を返し、嬉しそうに笑顔で手を振る。
「本当にみんな、ありがとう! いやー、私たち『Blue Rose』が地下アイドルデビューして1年でここまできたんだねー。振り返ってみてどうですかっ? みゆさん!」
「ええ!? またみゆ!? っていうか、みゆさんって初めて言われたしっ……!」
「だって今日はみゆの生誕祭ライブなんだもん。サプライズ報告も兼ねていたけど、それでもやっぱ今日の主役はみゆでしょ? まっ、振り返るっていっても、軽い感じでもいいし、どんなことでもいいからさ!」
「……わかった。こういう機会じゃないと言えないかもしれないし」
「おお? なになにー?」
興味津々のなぎさではなく、みゆはファンたちの方へ顔を向ける。
「……みゆが今、こうしてファンのみんなやメンバーと一緒にいられてるのは……なぎさがアイドルに誘ってくれたからだと思ってるんだ」
「えっ」
「それにあの時――2年ぐらい前のことなんだけどね、練習生になるって時に、みゆは不安で怖くなって足が止まっちゃったんだよね。だけど、なぎさが『行こう!』って、みゆのことを引っ張ってくれて。それで最初の一歩を踏み出せたんだよね。だからみゆが地下アイドルになれたのは、なぎさのおかげだと思ってて。だ、だから今日はその……せっかくだから? 一応、感謝してるってことを伝えたくて。 あ、ありがと、なぎさ」
チラチラとなぎさの方を見ながら、照れくさそうに言い終えた途端、
――フォーーーー!!!
と、ファンたちが一斉に盛り上がり、みゆに拍手を送っている。
「ええっ、なんでみんなが盛り上がってるのっ……?」
「みゆぅー!」
「わあっ」
なぎさに抱きつかれ、「なっ、なにっ」と慌てるみゆ。
「もー、嬉しいこと言ってくれちゃって、このこのっ、みゆがデレるなんて珍しいじゃん!」
「は、はあ……!? 別にデレてないし!」
「でもこちらこそ、ありがとうだよ。だってみゆと一緒にアイドルになれて嬉しかったんだから〜! もおー、みゆ大好きー!」
「わわっ、わかったって!」
――みゆちゃん良かったよー!
拍手が鳴り止まない中、みゆのファンたちが続くように声をかける。
「ツンデレ最高ーーー!!」
「可愛いかったよーーー!!」
「もっと俺たちにデレてもいいんだよーーー!!」
そんな声援にメンバーらは、クスクス笑っている。
「だ、だからデレてないし……!」
「みゆ! それから、みんな! 夢だったメジャーデビューも決まったことだしっ、またこれからも頑張っていこうね!」
「ふふっ、当たり前でしょ」
「おっ、さすがリーダー! 自信に満ち溢れている! 一体その自信はどこからくるのか!」
「ちょっと、なぎさ、それ褒めてる?」
「褒めてる褒めてるっ。志乃は頼もしいってこと! え〜、なんで伝わらないかな〜」
「分かりづらいわっ……!」
そんな二人のやり取りに、ファンも含め、みんなで笑い合っていた。
だけど、この時のみゆたちは知らなかった。
この日、みゆたち『Blue Rose』にとって、“最後の日”だったということを……。
そして翌日、あんなことになるなんて、一体誰が想像できただろう。
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