## パート4:突然の告白ラッシュ
「陽くん、おはよう」
翌朝、玄関先で出会った雪乃の表情がいつもと違うことに気づいた。普段はクールな彼女の瞳が、今日は妙に輝いていた。
「お、おはよう、雪乃」
「一緒に学校行く?」
これまでも時々一緒に登校することはあったが、雪乃から誘ってくることはほとんどなかった。昨日のみことの言葉が頭をよぎる。まさか...。
「ああ、いいよ」
二人で歩き始めると、雪乃が少し距離を詰めてくる。肩がときどき触れるほどの近さだ。
「あの...雪乃?なんか今日、様子違うけど...」
「そう...かしら」
不意に雪乃が立ち止まった。桜並木の下、花びらが舞い落ちる中で彼女は俺を真っ直ぐに見つめた。
「陽くん」
「な、なに?」
「私...ずっと言えなかったことがあるの」
雪乃の頬が薄く染まる。冷静沈着な彼女がこんな表情を見せるなんて珍しい。
「実は...私、陽くんのことが好き」
「え?」
「小学3年生の時から、ずっと...」
雪乃の告白に、俺は言葉を失った。冗談にしては真剣すぎる。雪乃の透明感のある瞳には、偽りが見えない。
「そ、その...急に何を...」
「自分でも驚いているの。今朝起きたら、もう我慢できなくなって...陽くんに伝えなきゃって」
みことの力が本当に効いたのか?いや、偶然かもしれない。雪乃は昔から少し気があるのかな、とは思っていたけど...。
「返事はいいわ。でも...私の気持ちは本当よ」
そう言って雪乃は再び歩き始めた。その背中は小さいのに、妙に凛としている。俺は混乱したまま、彼女の後を追った。
教室に着くと、今度は明日香が弾けるような笑顔で駆け寄ってきた。
「陽ー!おはよー!」
いつも元気な彼女だが、今日はさらにテンションが高い。
「お、おはよう」
授業中も、明日香の視線を何度も感じた。彼女は俺を見るたびに微笑み、時々小さな紙を机に投げてくる。開くと「放課後、体育館に来て」と書かれていた。
昼休み、屋上に呼び出された千夏もいつもと様子が違った。
「あの...陽さん」
「どうしたの、千夏?」
「これ...」
千夏が差し出したのは、手作りのクッキーが入った小さな袋だった。
「わぁ、ありがとう。でも、昨日できなかったって言ってたよね?」
「はい...朝早く起きて作りました。陽さんに...渡したくて」
千夏の頬が赤く染まり、大きな瞳に決意のようなものが宿る。
「陽さん...私、伝えたいことがあります」
「え?」
「私...ずっと陽さんのことを...」
千夏の告白は、低い声だったが、力強かった。幼い頃に病気だった時に、毎日見舞いに来てくれた俺への想いを、彼女は言葉にした。
放課後、体育館に向かうと、明日香が待っていた。彼女は陸上のユニフォーム姿で、輝くような笑顔を見せた。
「来てくれた!」
「何かあったの?」
「陽、私と勝負しよう!短距離走!」
「え?なんで急に?」
「負けたら、相手の言うことを一つ聞く!いいでしょ?」
結局、俺は明日香に負けた。足の速さではかなわない。彼女が勝ち誇った表情で近づいてくる。
「勝った!約束だよ?」
「わかってるよ。何をして欲しいんだ?」
明日香の表情が急に真剣になった。
「陽...私のこと、どう思う?」
「え?」
「私ね、陽のこと、ずっと好きだったんだ。友達以上の気持ちで」
明日香の告白は、彼女らしく率直で力強かった。
帰宅途中、瑞希から電話がかかってきた。
「佐藤陽、今どこ?」
「ちょうど家に着いたところだけど...」
「動かないで。今から行くから」
10分後、瑞希が息を切らせて俺の家の前に現れた。
「瑞希?どうしたの?」
「あなたに言わなければいけないことがあるの」
眼鏡の奥の瞳が真剣だ。瑞希は深呼吸をして、
「私...あなたのことが好き。ずっと前から」
その日、俺は4人の幼なじみ全員から告白を受けることになった。みことの力は本物だったのだ。
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