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「え?」

「僕の姿は普通の人間には見えないはずなんだけれど」

梛の顔からだんだん血の気が引いていく様子を見て、少年は愉快そうな表情を浮かべた。

「それって、君が幽霊って事…?」

「そーそー、この世に未練があってずっとこの神社に住んでるんだ」

ぐるりと神社を見渡しながら水干の少年がカラカラと笑った。梛の顔色は真っ白で、今にも倒れそうな顔をしている。

「なんてね」

ハッと嘆息すると、水干服の少年はぴょんと石段から飛び降りた。そのまま2、3歩歩いて梛の隣に並ぶと、ひょいと顔を覗き込む。

「僕はここの神様に仕えてるただのお使いの狐だよ。僕にはなんの力もない」

「でもじいちゃんに聞いたんです。ここに住んでいる『椿』っていう人に頼めば助けてもらえるって。君がその椿なんでしょう?」

少年は片眉を釣り上げた。

「たとえば僕がその椿っていう狐だとして、なんでお前のことを助けなきゃいけないんだ?君のことなんかどうでもいいんだけど」

腕組みしながら椿と呼ばれた少年が冷たく言った。

「それは…そうだけど…でも、この神社が潰れたらまずいんじゃない?」

梛が思いついたかのようにパンと両手を打ち鳴らした。

「俺の事を助けてくれたら、きっと君の力だって今より強くなるだろうし、そうすればここの神様だって喜ぶかもしれない」

なんとか椿を懐柔しようと、梛は知恵を絞った。

確かに梛の言う通り神社が潰れたら困るし、参拝客が増えたりすれば椿の力も強くなる。きっと他所の同業から馬鹿にされることも減るかもしれない。それに椿の記憶が正しければこの梛とか言うやつは間違いなく---…。

「あぁもうわかったよ。協力するかどうかはともかく、願いって何」

乱暴に頭をガシガシ掻きながら、ぶっきらぼうに椿が聞いた。

その言葉を聞いた梛がキラキラした眼で椿を見て口を開いた。

「俺の友達になってほしいんですけど」

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