第24話 大河ドラマ

 ユウトは、テレビのリモコンを手に取り、チャンネルを合わせた。画面に映し出されたのは、大河ドラマ『蘆名義広』のオープニングだった。

「蘆名義広…」

 ユウトは、画面に釘付けになった。ドラマは、蘆名氏の盛衰を描いていた。

 蘆名氏は、当主・蘆名盛隆が家臣に暗殺されたことで、混乱に陥っていた。その混乱に乗じ、隣国の伊達氏が勢力を拡大していく。

 伊達政宗は、蘆名氏を滅ぼすため、様々な策を弄した。調略、離反、そして戦。蘆名氏は、伊達氏の攻勢に、次第に追い詰められていった。

 蘆名家の家督を巡る争いから、佐竹氏から養子に入った蘆名義広が当主となる。しかし、義広は若く、家臣団を掌握することができなかった。

 天正17年(1589年)、蘆名氏は、伊達政宗との間に起こった摺上原の戦いに大敗。蘆名義広は、居城の黒川城を捨て、実家の佐竹氏を頼った。

 蘆名氏は、奥州の戦国大名としての地位を失い、滅亡した。

 ドラマを見終えたユウトは、深い感慨に浸っていた。

「蘆名義広…」

 ユウトは、義広の人生に、自分自身の姿を重ねていた。

 義広は、若くして当主となり、家臣団をまとめられず、伊達氏に敗れた。ユウトもまた、リンとの戦いで、多くのものを失った。

「俺は、義広と同じ過ちを繰り返しているのか…?」

 ユウトは、自問自答した。

 その時、ユウトの携帯電話が鳴った。

「ユウト、大変です!」

 アスカからの電話だった。

「どうしたんだ、アスカ?」

 ユウトが尋ねると、アスカは答えた。

「義広様の偽物が現れたんです!」

「偽物…?一体、どういうことだ?」

 ユウトは、驚愕した。

「詳しくは、会って話します。すぐに来てください!」

 アスカは、そう言うと、電話を切った。

 ユウトは、急いでアスカの元へと向かった。


 蘆名義広の真実

 アスカから話を聞いたユウトは、事態の深刻さを理解した。

「義広様の偽物は、義広様と瓜二つの姿をしているそうです。そして、義広様になりすまし、佐竹家を混乱させようとしている…」

 アスカが説明した。

「一体、誰が、何のために…?」

 ユウトは、疑問を口にした。

「まだ、わかっていません。しかし、義広様の偽物は、ただの偽物ではないようです。異次元技術を使っている可能性があります」

 八千代が答えた。

「異次元技術…!まさか、東京国将軍の残党…!」

 ユウトは、東京国将軍の影を感じた。

「とにかく、義広様の偽物を止めなければ…!」

 ユウトは、刀を手に取り、立ち上がった。

「義広様の偽物は、佐竹家の内部にいる可能性があります。慎重に行動しましょう」

 秀吉が注意を促した。

「ああ、わかった」

 ユウトは、頷いた。

 ユウトたちは、佐竹家の中を調べ始めた。義広の偽物は、どこに潜んでいるのか。

 その時、ユウトたちの前に、義広の偽物が現れた。

「よく来たな、ユウト」

 偽物の義広は、不気味な笑みを浮かべた。

「貴様…!一体、何者だ…!」

 ユウトが叫ぶと、偽物の義広は答えた。

「私は、貴様の…」

 偽物の義広は、そこで言葉を区切り、笑みを深めた。

「貴様の、もう一人の…」

 偽物の義広の言葉が、ユウトの耳に響いた。

「もう一人の…?一体、どういうことだ…?」

 ユウトは、偽物の義広の言葉の意味を理解しようとした。

 その時、偽物の義広の姿が、ユウトの目に映った。

「まさか…!」

 ユウトは、驚愕した。

 偽物の義広の姿は、ユウトと瓜二つだった。

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