第5話 新世界ー1


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 アラタは外に出てもおかしくないような最低限の格好に着替え、急いで外へと駆けていった。その際も視界の端にはステータス画面のようなものは表示されている。


 鬱陶しいなと思い、画面上部に表示されているバツボタンのようなものを押すと、それは視界から消えた。


 アラタは慌てて立ち止まり、右手をとりあえず動かす。腕を下から上へと振った時、再びそのステータス画面のようなものは表示された。


 それが良いものかどうかはわからないがアラタはステータス画面のようなものが消えていないことにほっとする。


 その様子は、まるで火を起こす事のできた原始人が火が消えぬように一生懸命に息を吹き込む原始人のようだった。



 玄関のドアを開けようとしたところでミナと鉢合わせる。どうやら痺れを切らしたミナはアラタを呼びに家に戻ろうとしていたようだった。


 二人は共にに外へと出る。


「な、何が起こっているんだよミナ。


 ───それにその手に持っている杖は一体・・・


 まさかお前も見えるのか!?


 この視界の端っこにあるゲームのステータス画面みたいなやつが・・・」


 アラタは、この世のものとは思えない派手な装飾が施された杖を持っているミナを見る。


 するとミナは、自分の腕を先ほどアラタがやったように下から上に動かした。


 アラタと同じステータス画面のようなものがミナの体の前にも表示される。


 ミナのステータス画面のようなものはミナの方向を向いており、アラタの方からは何が表示されているかは見えない。アラタは回り込んでミナの画面を確認する。


「俺とおんなじ画面だ・・・」


「そんなことよりほら、アラタも見せてよステータス画面!」


 ミナはアラタにアラタのステータス画面のようなものをいじるように促す。どうやら他人のステータスバーは触ることはできないようだ。


「へえ、アラタは『剣士』なんだね。私は『魔法使い』だったよ。」


 ステータス画面のようなものには人間のシルエットのようなものが中央にデカデカと表示されている。


 その両端には様々なものが書かれているが、右上には剣のマークのようなものが表示されていた。


 ミナのステータス画面の右上の部分には魔法の杖のようなマークが表示されている。


 ミナは続けてアラタに操作方法を説明する。


「ほら!そこを押すと自分のアイテムが見れるんだ。私の杖はここにあってこうやって現実世界に呼び出せるみたいなんだよ」


 アラタはステータス画面の右側にあるカバンのようなアイコンをおす。すると空欄が表示され、左上には一つだけ剣のようなアイコンで埋まっていた。


 アラタはそれを押し、妹に言われるがままつるぎを顕現させる。


 すると本当に目の前にアイコンと同じアホみたいな装飾がされた剣が出現した。アラタはそれを手に取る。


「な、何だこれ・・・


 お前、どこでこんなことを知って──というか何が起きてるんだ。」


「私だって知りたいよ。


 朝起きたら視界に変なのが表示されてて、アラタの部屋にこっそり忍び込んでパソコンを使って調べたんだ。


 ネットは大騒ぎだよ。


 どうやら他の人たちもおんなじような目に遭ってるらしくて・・・すでに世界では操作方法を解説している人もいいてさ・・・ほらこっちと違って昼間だったりする国もあるし──」


 ミナも意味がわからない事態に気分が激しく高揚しているようだった。これまで自分が見てきたものをアラタに向けて放出する。


「ほら見てアラタ!ぼーん!!」


 ミナは杖を動かすとハリウッドもびっくりなド派手な魔法陣が目の前に展開されていく。すごい迫力だ。


 その展開された魔法陣からは巨大な岩が射出され、家の横に生えている木に思いっきり激突する。


 木は岩にぶつかるとすごい音を立ててへし折れた。木が倒れた衝撃音が朝の静まり返っている辺りに響く。


 木は他にも数本倒れていた。アラタはそれを見て、ミナはここで朝から魔法の試し撃ちを行なっていたことにに気づく。


「す、すごいなこれ」


「うんっすごいよこれ。めっちゃすごい」


 二人はたまらなくなってとりあえず家に駆け込む。

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