2-3 迷宮へようこそ、ブラザー!

 一行は数日かけて、目的地である「魔剣の迷宮」へと向かった。

 道中では特に何もトラブルは起こらない。強いて言えば、ザクソンの研究話が五月蠅かったくらいだ。


アルシェ:うるさかったんだ…。


フェデリコ:僕もやかましさでは負けまへんで。


 辿り着いた迷宮の入り口は洞窟のようになっていた。

 一行が奥へと進んで行くと、地下へと降りる階段を発見する。

 階段の近くには看板が立っており、何やら文字が書いてあるようだ。


GM:看板の文字は「魔法文明語」です。


ワズン:読めん。


アルシェ:読めない…。


フェデリコ:僕は読めるで~。


GM:このパーティではフェデリコとメルヴィンが読めますね。二人が看板を読んでみると、「ようこそブラザー! 楽しんで面白おかしく死んでいってくれ!」と書かれてあるのが分かりました。


アルシェ:なんて?


フェデリコ:音読しましたけど、これ僕のユーモアとちゃいますからね。


メルヴィン:ああ。どうもマジでそう書いてあるな……。


ワズン:厄介な場所のようにしか聞こえないが……。


フェデリコ:悪趣味やな~、生きてこそ面白おかしくなれるっちゅーのに。


〔魔剣の迷宮〕

 現代のラクシア世界における「魔剣」とは、剣に限らず「魔力を帯びた武器」の総称として使われています。

 この「魔剣」には、自分を使うのに相応しい持ち手(=実力者)を見つけるべく、周囲を試練に相応しい迷宮に変えてしまうという変わった力を持ちます。こうして生まれるのが「魔剣の迷宮」です。強力な魔剣ほど、より強い持ち手を求めるため、迷宮の難易度も上がっていきます。

 ゲーム的には、要するに「なんでもありの都合の良いダンジョン」です。冒険者たちにダンジョン攻略をさせたい場合、今回のように都合良く「魔剣の迷宮」を生やしてしまうのも良いでしょう。



* * *



 階段を降りて地下を目指していくと、どんどんと暗くなっていく……。

 これ以上進むためには[暗視]か、何かしらの明かりが必要だ。


ワズン:ルーンフォークは[暗視]があるから見えるが……。


フェデリコ:僕が照らしたりましょ(ぴかー)。


アルシェ:わあ! まぶしっ!


GM/ザクソン:「……どういう原理だ? マナは消費しているのか?」

GM:ちなみに、ザクソンはついて来ているけど、無敵のNPCなので守る必要とかは特にありません。


フェデリコ:きわめてエコな発電やで! 点滅も自由自在!(高速点滅)。


メルヴィン:……一応、こいつが割れた時に備えてたいまつも点けておくぞ。戦闘になったらその辺に放る。


GM:では、各々の手段で視界を確保すると、地下1階は広い空間になっていることが分かります。そうして君たちが辺りを見渡していると、カァーカァーという鳴き声と共に、カラスのような生き物が飛んで来ました。


GM/カラス?:「ギャハハ! ようこそ、ブラザー!」


フェデリコ : シャベッタァァァァ!?


アルシェ:何何!?!?


GM:カラスのような生き物は、ぴょいんとフェデリコの肩にとまります。


フェデリコ:光り物に寄って来とる。


ワズン:…知り合いか?


メルヴィン:……ずいぶん愉快な兄弟分だな(フェデリコの肩を叩く)。


GM/カラス? :「光る人間は初めて見たヨッ! 面白いなァ、お前さん! 巣に持って帰っちゃおッカナ! ナンチャッテ!」と、そんな感じで君たちに対して馴れ馴れしく話しかけます。


アルシェ:カラスだから!?


ワズン:そういう習性だったか…。


メルヴィン :持ってくなら払うもん払えよ、有料だ。


フェデリコ:キャッ! こんなお兄ちゃん知りません!


GM/カラス?:「ひどいッ! アタシのこと忘れたノッ!? 泣いちゃうッ」


フェデリコ:誰なのよアンタッ!


ワズン:じゃあ、これは一体なんなんだ? というか、誰なんだ…?


アルシェ:ほんとにフェデリコ君のごきょうだいじゃないの?


フェデリコ:ホンマホンマ、存在しない記憶やねん!


GM:カラスに敵意は無さそうに見えますが、とても怪しいです。


 一応、魔物知識判定を行ってみたものの「ストローバード」という低級のゴーレムではないか? という微妙な結果に。

 魔神か何かが擬態している可能性も考えられたが、真実は分からず仕舞い。

 ゴーレム作成に長けた操霊術師コンジャラーがいれば看破できたかもしれないが、一行に操霊術師コンジャラーはいなかった。


ワズン:怪しい、が……。今のところは、怪しいだけだな……。


フェデリコ:怪しいなら、僕の兄弟なのかも…?


メルヴィン:入口の看板書いたのお前か? ブラザーとか言ってるしよ。


GM/カラス?:「そうそう! オレ様が書いたの! イカシてるでショッ!」と、メルヴィンの頭に乗っかって喋ります。


メルヴィン:勝手に乗るな、金取るぞ。


ワズン:その身体で文字が書けるものなんだな……。


アルシェ:羽でペンを持ったのか、くちばしで咥えたのか……。


GM/カラス?:「それじゃあ、そろそろ楽しい迷宮のルール説明しちゃうヨン! よーく聞いてネッ!」と、君たちの肩をぴょんぴょん乗り継ぎながら、ガァガァと喋ります。


フェデリコ:よう喋る人たちばっかやな今日は!


GM/ザクソン:「こんな品の無いゴーレムと一緒にされるのは心外だ」


 カラス?による迷宮のルール説明をまとめると、以下のようになる。

 ・下の階層(※現在地である地下1階から見た場合、地下2階)にある部屋に対して「地図作成判定」を行い、誰か一人でも成功すれば、その部屋の名前と概要が分かる。

 ・また、同じ階層の部屋をどれか一つでもクリアすれば、その階層の部屋は全てが地図作成に成功したという扱いになる。

 ・この迷宮では最深部に到達するまでの時間が計測され、かかった時間の分によってボスが強化されていく。


GM/カラス?:「それじゃあゲーム開始だァ! 楽しんで死んでくれよ、ブラザー!」と、ゲラゲラ笑いながら、君たちから離れていきます。


メルヴィン:陽気な割に殺意のたけぇカラスだな。


フェデリコ:僕は死にましぇん!


ワズン:地図作成が出来るのは、賢者セージ斥候スカウトだったか?


GM:野伏レンジャーと、騎手ライダーでも出来ますね。この迷宮は洞窟(自然環境)なので、特に指示が無ければ野伏レンジャーの技能を判定に使用してOKです。


ワズン:助かる。


GM:それでは、地下2階の部屋AとBに対する「地図作成判定」をお願いします。目標値は11です。


一同:「15(野伏レンジャー)」「16(騎手ライダー)」「13(賢者セージ)」「13(斥候スカウト)」


GM:全員問題なく成功。Aが「採掘ルーム」で、Bが「噴水ルーム」であることが分かります。


ワズン:噴水では休憩が出来るようだな。


フェデリコ:まだなんも消耗しとらへんし、そっちは後回しでええですな。


アルシェ:採掘しちゃいますか!


メルヴィン:よっしゃ、稼ぐぞ!


GM:では、君たちはAの「採掘ルーム」に向かって歩みを進めました。



* * *



 A:採掘ルーム

 部屋に入ると、そこは鉱山の一角のようになっていた。

 そこかしこに鉱石が散らばっており、よく探せば魔晶石も見つかるかもしれない。

 もしくは、都合よく置いてあるツルハシを使って採掘をしてみるのも良いだろう……。


ワズン:都合よく置いてあるツルハシ。


フェデリコ:罠ちゃう?


GM:判定などをするまでもなく、このつるはしは一番弱いウォーハンマーの<ピック>であると分かります。


メルヴィン:普通だな。


GM/ザクソン:「ふむ……。ここなら、私の研究に使えそうな魔晶石も見つかるかもしれんな」


フェデリコ:ご覧ください、生まれたてのフロウライトの赤ちゃんです。


アルシェ:フェデリコ君のきょうだいってこと…?


メルヴィン:そう言われるとなんか集めにくくなるな……。


フェデリコ:ホンマのブラザーかも…? まあ、フロウライトって何百年も経たんと生まれへんから気にせんでええんちゃう?


GM:ここでは「探索判定」か、つるはしを使う「腕力判定」で魔晶石の入手にチャレンジが出来ます。「探索判定」は目標値が低く、安定して魔晶石が手に入り、「腕力判定」は目標値が少し高い代わりに、探索よりも質のいい魔晶石が手に入る可能性があります。一人一回、同時に判定を行います。


ワズン:これは、一人につき探索か腕力のどちらかを選ぶということか?


GM:そうです。無難にいくか、ちょっと冒険してみるか、みたいな感じで。


メルヴィン:つるはし振るのは向いてねえし、オレはこいつ(ドンダウレス)に探させるとするか。


アルシェ:あたしも、探索で振ります。


ワズン:俺は腕力判定に挑戦してみるとしよう。


フェデリコ:僕は探索振れる技能ないから、つるはし握りましょかね~。


GM:目標値は探索が「12」、腕力が「15」です。判定をどうぞ。


 探索組のメルヴィン、アルシェは難なく成功。

 腕力組は、ワズンは軽々と成功したが、フェデリコは冒険者レベルが低いのに加えて出目が振るわずに失敗となった。


GM:探索と採掘の結果により、君たちは魔晶石(小)を2個、魔晶石(中)を1個手に入れました。これらは普通に使える<魔晶石>ではなく、依頼達成後にG《ガメル》になる換金アイテムとなります。


フェデリコ:ええやん、みんなミニデリコゲットやな~。


メルヴィン:まあ、これから依頼人の実験材料になるんだけどな。


GM/ザクソン:「ほう……なかなか悪くない質だな」と、君たちが入手した魔晶石を取って眺めます。


アルシェ:ミニデリコボッシュート。


フェデリコ:ミニデリコ~! ……まぁ、ザクちゃんさんのお眼鏡にかなったなら良かったですわ。



* * *



 採掘を終えて外に出た一行は、今度は地下3階の部屋に対して地図作成判定を行う。

 地下に潜るごとに目標値は少しずつ上がっていくが、全員ギリギリの数値を出して成功。地下3階にある部屋C、部屋Dの概要が見えた。地下3階には部屋Eもあったが、場所の関係で、此方に対しては地図作成判定が行えなかった。


GM:CはBと同じ「噴水ルーム」で、Dが「宴会ルーム」であることが分かりました。


フェデリコ:蛮族が宴会しとる!


メルヴィン:これはもちろん、Dに襲撃だよな?


ワズン:ああ。BとCにも行けるが、今のところ休憩する理由が無いからな……。


アルシェ:ですねぇ。


フェデリコ:チラッと宴会会場を覗くとかは可能ですか?


GM:どの部屋も入って覗き見することは可能です。ただし、いきなり戦闘になったりした場合は、勝つまで出られません。


メルヴィン:まぁ、この部屋なら即戦闘とはならないだろう。というわけで、入るだけ入ってみようぜ。


GM:ではでは、宴会場をチラリ……。


フェデリコ:……絡み酒!?

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