復讐は合法的に

げんずむ

不倫地獄変

第0話 プロローグ

暗い部屋の中。


男は静かにタブレットの画面を見つめていた。


彼はコーヒーを一口飲むと改めてタブレットの情報を眺める。


柔らかい光を放つタブレットの画面には、7つのファイルが並んでいる。

それぞれのフォルダには、詳細な記録が添えられていた。


月城ハルト(29歳・大手商社勤務)


火野カケル(35歳・飲食店店員・既婚)


水島シュウト(27歳・スポーツジムインストラクター)


木崎タラオ(22歳・大学生)


金田ショウゴ(38歳・YouTuber・既婚)


土岐ユウヤ(32歳・フリーター)


日向ハヤト(18歳・高校生)


「……ふむ」


男は静かにコーヒーを啜る。 法の世界において、事実は全て証拠によって整理される。 証拠が揃えば、それは真実として認定される。


そして今、ここに揃っているのは——揺るぎない証拠の数々。


タブレットに映し出される映像。聞き飽きるほどの浮気の言葉。全員が自信たっぷりに語る「バレるはずがない」という慢心。


滑稽だ。


「……まあ、問題はないな」


タブレットの画面をスクロールし、確認する。

この7人の人生は、これから順番に終わることになる。


男はテーブルに置かれた結婚指輪を眺めた。

今となっては大した意味もない。


ナナミ。

彼女は家庭を守るどころか、自分の愚かさを何も理解していなかった。

彼女が望んだのは、「暇つぶし」のための関係。

それがこうして7人にまで膨れ上がったのだから、もはや救いようがない。


彼女がどうなろうともはや知ったことではない。 問題があるとすれば娘であるアカネのことだけだ。


「さてどうしたものかな」


あの女の元に行けば恐らくロクな人生を送ることはできないだろう。しかしアカネはもう18歳。子供がこれだけ大きい場合親権者を決めるのはアカネであり、それは法で認められた権利だ。


私が無理矢理従わせることはできない。


だがアカネは今年受験生。いま必死に努力をしているが、もしナナミが親権を持つようなことになればその努力も水の泡と消えてしまうかもしれない。


男はタブレットの画面に指を滑らせ、最初のファイルを開く。

月城ハルト。


「まずはお前から、だな」


ゆっくりと、タブレットの画面を閉じる。


これから始まるのは、「合法的な処理」 であり、「復讐」ではない。


男——宝立マモル は、コーヒーを一口啜った。


こうして、静かな夜が更けていく。


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