第11話 ヴァルドランの手紙
俺達はベアルピス村から隠れ家に向かう洞窟の途中で、まさかの伊集院家と遭遇する。
抜け道の途中に自分家がはまっているとは思ってもみなかった。てか、俺の家ってベアルピス村とこんなに近かったのかよ。何だったんだ、あの永遠と水を探してた時間は?
いや、今はそんなことよりだ。
「すいません、誰かこの
俺は家の中を傷つけずに、柵だけ壊してもらうようにナードベア達にお願いする。
「分かりました。でも、何でこんなところに家が?」
「理由は後で説明しますんで。今は隠れ家に行くのを優先しましょう!」
不思議そうな顔をするナードベア達。説明の必要はあると思うが、今その話をするのは長くなると思い、俺は家を通り抜けて、早く隠れ家にナードベアを連れて行くことが先だと言う。
ナードベア達は俺の言葉に納得し、『ファイヤーボール』で
持っている
だが、ナードベア達は俺の家の物が珍しかったのか、急がねばならない状況下であるというのに、家の中をゆっくりと見学していた。
あれはなんですか? これはなんです? と質問をしてくるナードベア達に急ぐよう言うと、1人のナードベアが俺に大事なことを教えてくれた。
「ヨミさん!」
「いや、今は急いでください」
「ヨミさんへと書いてある紙が」
「!?」
「ヴァルドランよりとありますが?」
「どこです! それ、どこですか!?」
俺はナードベアの言葉を聞き、直ぐに玄関から自室に戻った。するとちゃぶ台の上に自分の物ではない、1つの封筒が置いてあったのだ。
俺はそれを手に取り確認すると、確かに『ヨミへ、ヴァルドランより』と書いてある。多分これが能力が分かるようにしておくと、ヴァルドランが転生前に言っていた物だろう。
俺が読める字をナードベアも読めるのには驚いたが、お陰で助かった。これがあればサンタナ達を救う手立てがあるもしれない。
俺は手紙をポケットに入れ、再度ナードベア達を連れて隠れ家へと向かう。玄関を抜け、洞窟から外に出る。ナードベア達の誘導の元、森の中を走り抜け、俺達はナードベアの隠れ家の前に到着する。
ベアルピス村から洞窟を抜けるまで約5分、そして洞窟から隠れ家までが約7、8分ぐらい。ここはミーナと初めて会った川の上流にある滝壺だと、俺は教えられる。
「え、マジで?」
それを聞いてかなり驚いた。何時間も探し求めていた水辺が、家から少し走ったところにあったのだ。
俺……数時間も歩き回って何してたんだろ。 自分のダメダメさに、げんなりしてしまう。
しかし、今は落ち込んでられ無いと思い、気持ちを切り替え、俺は滝の裏にあるナードベアの隠れ家に皆が入り終えたのを見届けて、再度ベアルピス村に戻ることにする。
「お兄ちゃん、お父さん達を助けて!」
「うん。みんなでここに帰ってくるよ!」
可愛い子の頼みは死んでも守らないと。俺はミーナに無事帰ってくると約束して、洞窟へと向かう。
「頼むぞヴァルドラン。ナックルベアとかすぐやっつけれるような良い能力にしててくれよー」
俺はポケットから、ヴァルドランにもらった封筒を取り出し、走りながらその中に入っていた手紙を読むことにした。
手紙にはこう書いてあった……って言いたいんだが、書いてること多くないか、何だこれ?
走りながら読むつもりだったが、文字酔いしそうなぐらい、手紙にはびっちりとかかれていた。
能力の説明って、そんなに書くこと多いのか? 読むだけで2、3分ぐらいかかるぞ、これ。
俺は足を止め、1000字は書いてるであろうヴァルドランの手紙を読んでみる。
◆◆◆◆◆
黄泉よ、無事ドランアースに辿り着いたか? 俺は元気でやっているぞ! ローグも元気だ! まぁ、さっき別れてからそんなに時間も経って無いだろうから、すぐ読んでるなら『元気に決まってるだろ!』ってお前ならツッコんでそうだな、ガハハハハ。
う、うん、そんなことは置いといてだ。お前に与えた能力について、今からこの手紙に書こうと思う。お前が漫画系と言ったからそれに関係する能力を考えてやったぞ。そっちに着いてからの楽しみということだから、手紙で書いたぞ。
ちなみに手紙の書き方はこれであってるのか? 俺は手紙を書くというのが初めてだから、下手くそだと思っても笑わないでくれ。分かったか?
……お前の返事が無いというのは、分かったのか分からんのか分からんもんだな。難しいな、手紙というのは。
まぁいい、能力を伝えればいいだけなのだからそのまま書くぞ、いいか、お前の……何だ、今忙しいんだが? 急に何だ、シルフィーよ。うん、うんうん、お前の世界に1人寄越せだと? 今俺は手紙を書いてる最中で、うんうん、うんうん、ってユーゴがそんなことを? 大変じゃないか! それで……いやいやいや、そんなこと俺に頼むなよ!
サシャも連れてこっちに来る? 待て待て待て。サシャはちょっと、横で聞いてるって? あ、ああサシャよ、今のは……すいません、来ないでくださいお願いします。 ……いや、それだけは勘弁してください。えっ、招集をかける? そこまでやることないだろ。
ユーゴのことなら俺にじゃなくて、ザナトスに……あいついがないから俺に? 俺、関係なくないか? というか、いないってあんの? 神なのに? ……待て待て、6ページ、6ページと……マジか、神ってそんなこと出来んの!? 知らなかったぞ……何だよ、お前も知らなかったのかよ。馬鹿だなお前も……いや、すいませんでした、調子乗りました。
ザナトスとユーゴの件は分かった。すまないが今は手紙を書かせてくれ。……いや似合わないとかではなく……下とか後からとか言って、神マウント取ってくるなよ。俺も神でお前らと立場は一緒だろうが。
ローグ? ローグが何だよ。……いや、ローグのとこは大丈夫だろ。あそこは平和そのもの……うん……え、マジか。ザナトスといいローグといいちゃんと管理してくれないと。
俺のところは問題ないぞ。今転生してもらっ……って、あっ! お前らのせいで書くとこがもう無いぞ。一度切るぞ……後でちゃんと話す、話すから手紙書かせてくれないかって、あぁもう書くとこが……
いいか黄泉よ。お前の能力はあ、やばい、もう書くとこ無い! とにかく、漫画を使って頑張れよー!
◆◆◆◆◆
一枚の紙にぎっしりと字の詰まったヴァルドランの手紙は、これで終わる。
……はあぁぁぁぁ!?
手紙を読み終え、かなりご立腹の黄泉であった。
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