誰彼の口唇に酔いしれて
邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
人妻になった元担任の口唇に 1
ほろ酔い賑わう場の密やかな個室で、小学生の時に副担任だった女教師とのキスは、禁秘な味がした。
***
大学生のサトルは飲み屋のカウンター席で飲みに誘った友達を待ちつつ、一人で酒を嗜んでいた。
世間を騒がせた未曾有の感染症の対策が緩和されたからなのか店内は賑わっている。
ピロリン♪
スマートフォンから軽快なメロディが鳴った。
インスタントメッセージの受信音だ。
届いたメッセージを確認すると、用事が出来たので行けなくなったという。素っ気ないものだった。
「マジかよ~。せっかく飲みに行けるようになったというのに‥‥」
ドタキャンの報せにガックリと肩を落とす。
やはり独りで飲むよりも誰かと飲む方が楽しいものである。
「まあ、しゃーないか。トイレ、トイレ。行っトイレと‥‥」
既に何杯も飲んでいたので膀胱がパンパン状態になっていたので尿意を催したくなり、席を立った。
女性の豊かな胸に思わず視線を向けてしまったついでに、会話にも耳を向けてしまう。
どうやら来る予定だった知人が急な用事(子供が熱を出したとか)で来れなくなったようだ。
(オレと同じだな)
「うん、残念だけど子供が熱を出したのなら仕方ないわよ。気にしないでいいからね。独り寂しく飲んでいくから。うん、また機会があったら誘うね。うん。じゃーね‥‥」
女性が落胆しつつ電話を切ると、おっぱいに釣られて見ていてサトルと視線があってしまう。
(あ、やべ‥‥うん?)
その女性は何処かで見覚えがあり、
「小林先生?」
ふと脳裏に浮かんだ名前を口にした。
「え? ‥‥もしかして、サトルくん?」
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