第9話
「メイク、ヘアセット、制服、小物、オールオーケー!今日の僕は一段とかわいいな」
毎朝の恒例の可愛さチェックはいつも以上の気合が入っていた。クールさを印象付けるために寒色系の髪色。髪はショートボブにして、制服は女子用のモノをきっちりと着飾る。伊達メガネも忘れずに。そして、極めつけは威圧さえ与える鋭い瞳。
誰だ?この鏡に映っている真面目委員長タイプな美少女は。世界一、いや銀河一可愛いんじゃないか?…俺だった。
さて、身支度も完璧だし、学校へ行くか。
「それじゃ、姉さん学校行ってくるよ」
「今日、バイトは?」
「無いから、直接タケにぃのところ行くつもりー」
「うん、わかった。学校終わったら連絡ちょうだい。私もタケちゃんのところ行きたいから…」
修学旅行前夜のように、ソワソワとして落ち着かない様子の姉さん。
タケにぃと姉さんの再会。それから、一夜が明けた今日。姉さんにとっては、なんてことのない日常の始まりでは無かったようだ。
なんだかんだタケにぃのことを未だに想ってくれている、その気持ちが僕には嬉しかった。姉さんの内心も、タケにぃの本心も、僕の無意識も、何もかもが所詮は妄想の域を超えないのはわかっている。けれど、今朝の姉さんの反応を見て、僕も復讐を進めていいんだと安心するんだ。
「はーい。それじゃ行ってきまー」
「いってらっしゃい」
そんな小さな決意を胸に、玄関を出る。
非日常なイベントを迎え入れるのその前に、まずは日常をしっかりと果たしていこう。イレギュラーなストレスは、平穏な日々で癒さなきゃいけないからね。
…。
「みんな、おはよう」
登校中から異変は感じていたが、やはり学校内で感じる違和感は凄まじいものであった。普段なら、教室に入るやいなや、皆が我先にと挨拶をしてきてくれる。だが、今日はみな僕の挨拶を返す程度である。
「あ、福見くん。おはよー」
「おはー」
「………」
仲良しトリオですら、薄い反応である。なんなら、北里さんなんてこちらに向ける意識に敵意すら混じっている。
つい昨日まで、好意的な視線を集めていた僕。しかし、この教室内で飛び交っているのは、疑い、怒り、不安や哀れみと言ったネガティブな感情だ。そして、明らかにその渦中は僕であった。
とは言えここで喚き散らしても何も解決はしないので、大人しく席に座ることにする。普段より密度の薄いパーソナルスペースに少しの寂しさを覚えながらも、いつもより早い着席となった。
妬みや僻みといった感情を受けることは、今まででも多々あった。実際、自身でも容姿は整っているし、運動も苦手意識はない。勉強も学校の成績順位では、上の下から中くらいだろう。それに、こんな怪奇な格好をしていても、避けられない程度には周りに愛想は振りまけていると思う。嫉妬の的としては、特大サイズだから狙いやすいよね。
だが、それらの攻撃的なそれとは違う感覚。これは、忌避か?まるで呪いや祟りを相手にするかのように、見ない、聞かない、近づかない。普段から受ける扱いとギャップを感じる分、それの敵対はさりげないものではなく露骨に浮かび上がってきていた。
なるほど、これがタケにぃが受けてきたいじめの一端か。それがすべてではないにしろ、体験の共有は大切だからね。体験が無ければ、タケにぃに「お前に何がわかる」的なことを言われても、偽善的な妄想を喋るか一般論を説くしかないのだから。
この状況でカナさんに声をかけても、無視をされるのがまさにタケにぃの追体験となるわけか。俺だって、この非日常がカナさん主導のものでない限りは、カナさんはいつも通り接してくれている自信がある。当時のタケにぃも姉さんに対して、同等の信頼を置いていただろう。それが、タケにぃ視点では冷たくあしらわれたのだ。心にくるものがあるのは、当然だろう。
でも、実際にカナさんから無視されたら、それはそれで気になるし楽しみではある。少なくとも、学校外に姉さんやタケにぃ、カナさんにも関連するがリュートさんと言った他の繋がりに頼れる、この余裕はある。そのおかげか、今はそれほど危機的な状況だとは思っておらず、夕飯はタケにぃに何を作ってあげようかと悩む始末である。
午前中、授業間の休憩時間。やはり、周りは俺を避け気味だ。普段より快適に教室を出られるとあれば、少し小躍りでトイレへと向かう。廊下で他クラスの生徒の中にも、我がクラスと同じような視線を送ってくる者もいる。ふむ、俺の地獄耳をもってしても、こうも避けられながらひそひそと話されると話の全容はわからないものだ。
周りの話につられながら教室に戻るかと踵を返したそんなおり、仲良しトリオのひとり、津田さんが階段踊り場の物陰からひょいひょいと手招きする。
いつも最初に俺を見つけて声をかけてくれる活発な女の子だ。今日だってこの変わった雰囲気の中、いつも通りの挨拶をしてくれた。そんな分け隔てなく元気を振りまく彼女は、それに比例するかのように身長も高い。燃え盛るような紅蓮の長髪を一本の長い尻尾にまとめており、走る姿は長身も相まって紅い一閃のようだ。
そんな彼女がやたら困り顔で、必死に体を小さくしながら物陰で俺を呼んでいる。
「津田さん、どうかしたの?具合悪い?」
「わ、私より福見くんの方が心配だよぉ。今日のみんな、福見くんを悪者みたいに扱っているんだ。特にリナちゃんは口も聞きたくない~って言っているの。急にそんなこと言われ始めたら、落ち込んじゃうんじゃないかって思っちゃうでしょぉ?だから、福見くん具合は大丈夫なのかなって」
部活の時はあまり見たことは無いが、体育の時の短距離走ですら猛獣かのように鋭い圧を周りに飛び散らす津田さん。しかし、日常はおっとり系で間延びした話し方をするこのギャップも、また彼女の魅力だろう。
「体調は大丈夫だよ。心配かけちゃってごめんね、僕も急にこんな状況だからびっくりしちゃって…」
「ううん。いまねぇ、福見くんの良くない噂が広がっててねぇ。リナちゃんも真に受けたわけじゃないとは思うけど、仲が良い福見くんの話だったからモヤモヤしちゃってねぇ。だから、福見くんに強く当たっちゃってるけど、本心じゃないと思うのよぉ」
なるほど、津田さんは俺のことを心配してくれている面もあるだろうが、北里さんのフォローがメインのようだ。確かに、朝から今まで常に敵意を込めて睨んできている。そんな顔していたら、眉間にしわが寄っちゃうよ、とこちらが心配になるくらいに。まぁ、別にこれくらいでは北里のことを嫌いにはならないが。
それにしても、噂話、ね。
たった一日で、周りがこんな風になるなんて、どんな良くない噂が流れていることやら…。
いまやインターネットによる通信技術は、現代の生活において必需である。インフラであり、娯楽であり、意識的にも無意識的にも触れ合う時間は親より多いかもしれない。
普及よりも侵食とも言えるほどに、生活に食い込んでいる。
広告やチラシで家庭に特価やらクーポンやらが手に入ったのが、個人で受け取ることができるようになり。週刊誌やワイドショーで定時で流されていた芸能人のゴシップは、手元で好きな時に漁ることができるようになり。
場所を限らず、時間的な制約も無視し、際限なく得られる情報はまさに一粒の砂金。過多な情報の砂山に埋没していくのか、よなげて砂金を見つけ出すのかは、個々人のリテラシーに委ねられているところ。
特にSNS単体で、電話、メール、連絡網、掲示板といった役割を担うことができるサービスがあるのも普及の要因だろう。特定の閉鎖的なトークもできるし、匿名の不特定なスピーチもできるSNS。それが各個人で管理できるようになるとより、絶大な魅力を引き出す。クラスやサークル、その他数人で組まれるグループチャットがいい例だろう。そのコミュニティでの情報の拡散性は抜群で、連絡事項等はひとつのアクションで解決する。
そんな便利な拡散装置に、人の弱みという甘い蜜が一滴垂れれば、そこに群がるのは必然。貪られたくない者は、必死に自分の弱所を隠すか、他者の暗部を暴きだす。様々なコミュニティのグループチャットで繰り広げられる秘密の駆け引きは、神の居ない箱庭そのものだ。
どうやら、今回の
別に自身のことを清廉潔白とは思ってはいないが、如何せんそう突かれる理由も見つからない。
「あっ、そろそろ次の授業だし。わたしは行くねー」
「津田さ…。もう、行っちゃった…」
津田さんの言う通り、すでに次の授業が迫っている。そもそも授業間の休憩時間は、話し込むには時間が足りない。噂になっているともなれば、カナさんも把握しているかもしれないな。後で、カナさんにでも聞いてみよう。ふと、そう考えていた一瞬ですでに津田さんは彼方へ。豆粒のような後ろ姿でも、気迫が伝わってくるのは伊達に紅い一閃と呼ばれていない。スプリンターは、競歩も速いのかな…。
朝、授業間の小休憩と普段は交流のある時間帯で、煙たがられている感覚はあるものの、今のところ直接自分への危害も無い。そんなものだから、特に敵意は意に介さず昼まで平常通りに過ごした。
それでも、耳には壁は無いのでうっすらと向けられている
やれ、俺が裏切っただの。
やれ、カナさんが可愛そうだの。
やれ、だから女装しているのかだの。
自分から詳しく情報収集するまでも無く、なんとなく噂話の内容はわかってきたぞ。だけど、なんでそれが広まっているのかは謎だ。まぁ、今はタケにぃのこともあるし、わからんことに脳のリソースを割いている場合じゃないからね。
ひとまずは、お昼ご飯だ。
今日もカナさんに誘われていたので、目的地を展望室へと定める。校舎から出て特別棟へ向かう道中も、周りからは例の噂の影響だろう視線をちらほらと感じる。見た感じ、他クラスどころではなく学年も問わずに広がっているようだ。
展望室の階に到着すると、先日と同様に個室スペースの前で黒部さんが待機していた。いつものように微動だにしない姿を見ると、その姿は僕らにとっては非日常であるのに安心すら得てしまう。
そういえば、今日はカナさんからはチャットだけだったし、登校も別々だったから、カナさんたちと顔を合わせたのは今日初めてだな。
「こんにちは、黒部さん。お待たせしました」
「お嬢様はすでにおりますので、このまま中にご案内いたします」
相変わらずロボットのような精密な動きだ。感情を抜きに事務的にエスコートしてくれる。昨日と全く同じをしてるんじゃないか?もはやBOTじゃないか。
「ごきげんよう、慶。慶の顔が拝めたおかげで、わたくしにもやっと朝が来ましたわ」
「僕は日の出ですか」
カナさんは絶好調のようだ。今日も今日とて、豪華な衣装を身に包み可憐なるお嬢様を全うしている。彼女のパワフルな姿は、さきほどまで冷たい目線を集めていた身にはとてもとても暖かく感じる。
「お座りになって、慶。今日は食事よりもお話を優先したいですの」
「えぇ、かまいませんよ。僕も話したいことがありますし」
噂話のこともあるが、俺にとっては姉さんとタケにぃが最優先事項だ。カナも協力的なので、昨日のタケにぃの部屋でのやりとりも情報共有しとかないとね。
俺の意図を察してか否か、カナさんもニヒルに笑う。普段から見る快傑な姿はかっこいいし憧れるが、このようなお茶目ないたずらごころも様になっている。
「やはり、慶とわたくしは気が合いますわね。今まさに、気持ちの通じ合ったこの瞬間!天にも昇る気持ちですわ」
俺と意見が被ったことが相当に嬉しいようだ。見え隠れするうっとりとした表情は、恍惚な心情を察するに余りある。そのままカナさんは、左手をあげて俺の後ろ(正確には個室スペースの入り口)に待機していた黒部さんに合図を送る。
あっという間に用意されたのはバスケットと、ティータイム用のカップやポット。バスケットの中には、サンドイッチやラップサンドなど片手で食べることのできる料理だ。サンドイッチは卵たっぷりで豊満なカタチとなっていた。ラップサンドもレタスやトマトなどの見るからに瑞々しい野菜、そこにチーズを包むように仕込まれた生ハムと塩気のある食材も覗いている。双方、そこにあるだけで思わず生唾を飲み込んでしまう魅力がある。油のこってりとした料理ではないのに、食欲を満たすチカラを確かにそこに感じた。
シンプルな料理であるがゆえに、より技術や食材の良さが出るということだろうか。まじまじと料理を観察してしまう。
そんな俺の様子に、カナさんは満面の笑みだ。
「わたくしの家で用意したので、わが子も同然ではあるのですが…。わたくしよりも注目を集める料理に少々嫉妬してしまいますわ」
よよよ…、と泣き崩れるカナさん。セリフからからかいだとわかるのに、本気で嫉妬しているように見えるのは迫真の演技だ。
「おいしそうで、ついつい。話の前にひとつ、いいですか?」
「よろしくてよ。では、慶が咀嚼している間に、わたくしが話を進めますわ」
既にリスの口になってしまっており、行儀が悪いなと感じつつもカナさんに頷く。口に広がる溢れんばかりのたまごの海を堪能しつつ話を聞くこととする。
「まずは、そうですわね。いまこの学校をにぎわせている噂話のことですが、どうも慶に関することのようでして…。慶は内容ご存じで?」
俺に関する、ってことは今朝からのアレだろうな。流れていることは体感したが、肝心の内容は津田さんに聞く前に今に至ったわけだ。
首を横に振る。
内容はわからないが、あんな扱いを受けていれば良いものでないことは想像がつく。それに加えて良からぬ噂であることは津田さんの言でもある。
それは、そうとこのたまごサンドが絶品すぎる。口に入れる前から感じていた濃厚なたまごの風味。この時点でこれまでに食べてきたたまごサンドの走馬灯が見えてくる。そんなイメージが駆り立てられながら、一口。途端に襲ってくるのは、プリプリな触感の白身と生クリームのような濃厚さ。噛むほどに舌を刺激するペッパーや口腔に広がるハーブの香り。気が付けば、3口目に突入しているのだ。
午前中に受けた扱いなんざ、一瞬で吹っ飛んでしまった。そんな余韻に浸っていたのだが、現実ではカナさんとの逢引であったことを思い出し何とか話に集中しようとする。
目の前のカナさんも俺が味わっていたのを悟ってくれており、現世に帰ってきたタイミングで続けてくれた。
「その噂の内容、半分事実で半分虚構な具合の話になっておりますの」
心当たりが無いとは思っていたものの、カナさんの耳に入ったうえで半分が事実という内容か。え?無意識で俺なんかやった?
何かと自分が「持っている側」の人間だと自覚もしている。そのことで、嫉妬を買うようなことも無くはない。ただ、カナさんの迷惑になることなんて俺自身が許さないから、そこは徹底したつもりだった。
だが、この話題を出すカナさんの顔が不快そうなのは、彼女を巻き込んでしまっていることの何よりの証明だろう。カナさんは、ひどくつまらなそうにため息交じりで噂の内容を吐き捨てた。
「福見慶は本命が別にいて、わたくしとはかりそめの恋人である。そして、その本命は男である」
ドキリと、心臓が強く打たれる感覚。
タケにぃのことまで広がっているの?
というか、半分というより、ほぼほぼ真実に近い内容を聞かされ、不安が襲ってくる。自分のことだけならどうとでもなる自信がある。だが、タケにぃやカナさんまで関わってくるなら話は別だ。
そんな俺の不安を感じとってくれたのか、子守歌のように優しく穏やかな声色でなだめるように話を続けてくれる。
「その噂では、慶のお相手はリュートさんと思われますわ。今週のお仕事でリュートさんと歩いているのをどこかで見られたのでしょう。ただ、なまじ真実が混じっていることもあり、変に印象操作をすればより悪印象になると思われますの」
なるほど、あの帰り道のコーヒーの時かな?確かにバイトあがりで俺は女装を継続していたし、リュートさんもポンコツ風味を薄めればただのイケメンではある。2人であるけば、はためには恋人に見えなくもないか。
だが、噂の内容がしれたおかげでネガティブな思考に陥っていたのが回復できた。自身も噂の渦中とも言えるのに、こちらに気を使って的確な言葉をくれるのカナさんに頭があがらない。
とは言っても、彼女も不満が溜まっていたのだろう。見るからにむしゃくしゃしながら、サラダラップに手を伸ばすカナさん。急変具合に驚きはしたが、どうやら彼女も人の子だったようだ。癇癪を起しているはずなのに、少し微笑ましく思える。
「この話、わたくしの気に入らないところは!スケープゴートになっているわたくしを憐れんでいるところですわ!欲しいモノは奪い取る!大切なモノは手放さない!行く道はすべて自分が指し示す!その銘を心に刻んでいるわたくしが、今一番大切な慶をみすみす盗られるようなことを許すはずが無いでしょうに。最近やっと慶との婚約をお父様にも認めてもらえましたのにね。ところが、今回流れている噂で、慶に騙されて可哀そうという印を押されましたのよ?そんなにわたくしが弱々しく見えまして?これでは、覇道を走っていると思い込んでいる道化師!」
握りこぶしを作るほどに熱を持っていたが、サラダラップをひとかじり。十分に咀嚼して飲み込んでいた。アンガーマネジメントには十分な時間はとれたようで、クールダウンした状態で話を続けるカナさん。
「常々慶とわたくしの仲良し大作戦のおかげで、仲の良い恋人との評価と印象は周りには与えることができていますわ。ですが、これが問題ですの。おしどり夫婦のイメージが強いほど、浮気や不倫と言った不祥事がより深く刺さりますわ。そして、シタ側もサレタ側もそのイメージをなかなかにぬぐえません。事実がどうであれ、わたくしは可哀そうな人、慶は最低な人ですわ。このままでは、わたくしたちの築いてきた本音と建前が成り立たないですわ」
悪い虫を追い払うための建前が崩壊して、慰めと称した悪い虫がよってくるであろうカナさん。タケにぃとずっと一緒にいたい本音が露呈して、立場が孤立するであろう俺。
虫よけの提案がカナさんからされた時に、僕は憧れの人がいるからと断った。だが、カナさんの熱烈なプレゼンテーションに絆されて契約的な仮恋人を引き受けた。
そして、僕とタケにぃが再会した特異点の日。僕がタケにぃへの想いを再認識した日。
次の日、カナさんとの関係も少し変わった。
男の人の1番をタケにぃに、女の人の1番をカナさんに。そんな世間一般の常識的には、最低な選択肢をカナさんは僕の目の前に用意した。
さきほど、カナさん自身が言っていた「大切なモノは手放さない」を体現する鋭い目つき。こちらが怯むような獣のような眼光は、頼もしくもあった。
だから、俺はカナさんの興に乗る。
だから、僕はカナさんの手で踊る。
そう決まれば、俺の中でも変化が生まれる。ただの協力関係から、情の行き交う仲間と感じるようになる。元々彼女に対して尊敬と畏怖の念を抱いていたが、いまやその恐れですら愛おしさに感じる。
目の前の恋人が、苦しんでいる。ならば寄り添うのは当たり前だろう?だが、カナさんは下手な慰めよりも解決へ進む方を好む。
「噂の出どころはわかっているんですか?」
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