第31話 計画性って大事。
ミドルスコア、大型噴水広場前。
「あいつ遅いわねぇ…何やってんのかしら。」
クルクルと転送機を手でスピンさせる女性。
「なぜこの僕が…
おいザラ、分かっているんだろうな?」
横目で女性をザラと呼んだ少年。
「分かってるわよ!別に焦ってる訳じゃ…
そんな事より、この転送機もうあと1回しか使えないんだから、変なタイミングで使わないでよね!」
そう言って転送機を少年に向かって投げる。
「期待はするな。僕もしていない。
それと、穴埋めで僕を軽々しく呼ぶな。
生憎、お前達と違って僕は暇じゃないんだ。」
転送機をキャッチしながらそう吐き捨てる。
「はいはい、面倒な事は避けたいって感じね。
(クロワッサンの噂は本当かしらね…)」
「貴様等にとって僕は捨て駒かもしれんが、僕にとっては貴様等も捨て駒に過ぎん。
ゆめゆめ忘れるな、僕はそろそろ失礼する。」
そして、その場から少年は立ち去ってゆく。
「はいはーい、肝に銘じておきまーす。」
その後ろ姿を、鋭い視線で睨み付けるザラ。
そこに人影が、2人。
「やあザラ、お待たせ。
今去っていったのが例のクロワッサンかな?」
「遅いわよ!…ってトミー、その
「ああ!自己紹介をお願いしても良いかな?」
ザラとトミーの視線が、少女に突き刺さる。
「あっすみません!えっと、私は…
ヒーラーの、ヒラノと申します!
よろしくお願いしまーす!」
それを聞いて吹き出したザラ。
「ぶっ、あっはははは!!
ヒーラーのヒラノだってーー!!
サイコー、56点くらいあげるわ!」
「す、すみません…でも
沈むヒラノにトミーが声をかける。
「いや、良いんじゃないかな。
抜けた穴を埋めるには良い人材だと思う。
ようこそ、カミナシ学園1-Aチームへ。」
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一人去って 二人増え 三人揃い 何をするのか
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シチューはミルクを保護した後、AIネクストと相談しつつ、今後の方針を考えていた。
ビロードから頼まれていた買い物、魔物ミルクの身体を隠す衣類、そして…
「ぶっちゃけ買い物関係はどうにでもなるけど、問題は…トミーとかいうあのイケメンだよね。
このままミルクを連れて行ったらどうなることやら…余計なトラブルは避けたいんだけど。
別にこの後すぐに行く訳じゃないけど、少なくともミルクを連れて歩くのもアレだし、かと言って森…というかビロードさんの家に連れて帰るとしても、転送機が無いんだよね。
いつもはビロードさんから渡されたお金で転送機を買って、用事が済んだらそのまま帰るだけ…なんだけどさ、持たされる金額的に買えるのが1人分なんだよね。
うーん、ミルクだけ転送機で森に送っても良いけど、森で迷うかもしれないし…んんんんん…」
雑に何かやって稼ぐ〜っていうのもなぁ。
ミルク居るし。どうしたものかねぇ。
「マスター、八方塞がりですね。」
「ねぇ!その通りが過ぎるからやめて!?」
お金もねぇ!ブツもねぇ!僕の甲斐性無し!
「ね〜ね〜シチュー!何してるの〜!?」
「え?あぁ、お金どうしようかな〜って…」
「お金〜?どうやって集めるの〜?」
「え?今出来るのだと依頼…とか?????」
「え〜依頼!?どんな事やるの〜!?」
「え?今出来そうなのは…何だろ???」
「依頼探そうよ〜ミルク依頼やりた〜い!」
「えぇ…」
うっせやろ。
いやもうそれぐらいしか手は無いけどさ。
「ミルクはそもそも何が出来るの?なんかこう戦闘でも探索でもいいから何か能力とかあるの?」
「何も無いよ〜♪」
「えぇ…」
うっせやろ。
どないすんねんなコレ。
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お金があれば 大体解決出来ると 思った魔物
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「いや、でももうそれしか無いのかも。」
でも魔物2匹だけで依頼できるん?
「ねーねーシチュー!行こうよ〜!」
「わっちょ、引っ張らないで!?ねぇ!!」
ちょっと!ミルクさん地味に力強くない!?
あとキミ行く場所分かってないよね!?
「とりまネクストさん道案内たのんまふ!」
『分かりました、マスター。
オートパイロットシステムを起動しますか?』
「ねぇ!?それなぁに!?ねぇねぇ!!」
そんな能力知りませんが!?!!?
『オートパイロットシステム、起動します。』
「ねぇってばぁ!?!?」
なんでネクストさんまで強引になってるの!?
ねぇ!!!誰かガチめに助けて〜!?!!?
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オートパイロットシステム とは …???
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⚫︎アップデート情報
《AIネクスト》はオートパイロットシステムを搭載しています。
オートパイロットシステムを起動しますか?
▶︎はい
いいえ
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