第50話 魔法のカード
力自慢の牛頭魔族やゴブリン操る鉄騎達の手により、バリケードは解体されていき、フロアの隅へ運ばれて山のように積み上げられていく。
ザクザクと積み上がる警備機械の残骸達が、恨めしそうにこっちを見ている。
勝手に入ったのは悪かったけどさ?
そっちも襲ってきたんだから、お互い様だよね!
あちこちの機械をガチャガチャ弄っていた
キラキラと光るカードには私の名前が書いてあった。
レアカードか何かなのかな?
カードパワーや効果が書いてないなんて、めっちゃすごいカードの予感……!
「このビルについて少し調べてみたのだが、どうやらここは商業施設だったらしい。通り道にあった工場は現地生産拠点といったところだな。この通りマネーカードを確保したので、進呈しよう。とりあえず施設内の売り上げを全て回収しておいたから、何でも購入できるはずだ」
「ドクター、電子資産の窃盗は犯罪ですよ?」
なんと!
渡されたカードはある意味めちゃすごい奴だった。
これが例のカードなのか!?
買えば買うほどソシャゲが有利になるという、魔法のカード!
「フハハ! 窃盗にはあたらんよ。この施設はリライザーの力で再生したモノ故に、リライザーを起動した彼女に所有権があるからな。施設に記録されていた資産データも彼女のモノなのだ。安心してくれたまえ!」
「また屁理屈を……。しかるべき権利者から代金を再請求された場合は、ドクターの口座から支払いますからね? あと、お礼をしたいなら物だけでは無く言葉でも謝意を伝えるべきかと」
……全部私のモノにしては、思いっきり襲われてるけどね!
そこんところは、どうなってるんだろう?
やっぱり教授が適当なことを言ってるだけ?
貰ったばかりの名前入りカードを光にかざしてみる。
明りに照らされてキラキラと輝くカードには、隅っこの方にドクター
精霊アイでしっかり見ないと見えないようなアリみたいな文字で!
この魔法のカード、教授作のおもちゃの紙幣って奴なんじゃないかな!?
何百万札とか、何千万札とかの。いっぱいゼロがついてる奴。
教授が作ったから使えちゃうんだろうけど、使っても良いモノなの?
チラリと横目でながめてみれば、先ほどまでは降りていたシャッターが上がって、色々と面白そうな展示品が見えるようになっていた。
助手ちゃんほどじゃないけど人類にそっくりなロボットがショーケースの中で掃除をし続けていたり、ロボロボしたロボットが何やら料理中だ。
掃除機と調理器具を売ってるのかな?
今の第九期文明はオイルが主食みたいだけど、普通にご飯を食べていた時期もあったのかも。なんだか面白いなぁ。
使っても良いなら、アレもコレも買っちゃうよ?
持ちきれないほどいっぱい買っちゃっても、リライザーの機能で物資だけ帰還させちゃえば良いからね!
便利!
「口座? 使う予定もないし好きにするがいい」
何でも買って良い宣言いただきました!
よっ! 太っ腹!
「しかし、そうだな。確かに久しぶりの探索は、我が思考領域への良い刺激となっている。これは世界に対する大きな貢献ともいえるだろう。つまりは、まあ、その貢献に報いるというのもやぶさかではない。今後も私の研究に協力する権利をやろう!」
「また回りくどいことを……。これが性根のひねくれたドクターなりの謝意の表し方なのです。何かドクターの知恵が必要なときは、頼ってあげてください。研究テーマが増えて喜びますので」
「良いよ。今後ともよろしくね」
そういえば、謎の精霊を預けていたよね。
あの時みたいに、困ったときは頼らせてもらうよ!
知らない精霊がポンポン出てきても、それはそれで困るけどね!
「この前のような新鮮な素材は大歓迎である! おわっ」ピコンピコン
「お客様を! 素材呼ばわりするのは! やめてください!」
懲りない教授は禁句を言って、助手さんにピコピコハンマーでぶっ叩かれていた。
デメテルの奴もお客様扱いされているってことは、大人しくしているんだろうね。
大丈夫だと思って預けたけれど、暴れていないというのは朗報だ。
正直なところ、超パワーのせいなのか精霊って気性が荒いからね!
ゼルスみたいに穏やかな精霊は少数派だ。
例えば、蘇った精霊に天の精霊役を代わって貰おうとしたんだけどさ?
お願いした途端に殴りかかってきたんだよ……!
お願いしただけなのに、野蛮すぎるでしょ……。
「天の精霊はアナタでしょうが!」って、面倒な仕事は私に押しつける宣言かな?
片っ端からお願いしてるのに、大体同じ事を言われるし……。
だから、話の通じるゼルスこそが、今のところ一番の希望なんだよ!
それにほら、雷の精霊って天の精霊っぽくない?
ピカッと光ったり、瞬間移動が出来たり、それっぽいじゃん!
フフフ、この調子で色々と手伝って貰って、何か良い感じの流れで天の精霊役をお任せしたい!
私もリライザーの電池役とか、空気清浄機役は頑張るからさ?
よろしく頼むよ。ゼルス!
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