第131話

「な、何を言っているのだ貴様らは! 自分たちの言っていることが分かっているのか!? 我はこの街の領主、エセウス子爵であるぞ! ふざけるのも大概にしろ! さっさと誰か来ぬか! もう捕らえることなど考えなくて良い! 殺せ!」


 ……ちゃんと本人だったんだな。

 そんなことを思いつつ、シャネル様はあれに触れたくないだろうから、俺が領主に向かって近づこうと1歩足を踏み出した瞬間、1人だけ騎士が今更ながらにやってきた。


「や、やっと来たか! さっさとそこにいる者共を殺せ! 襲撃者だ!」


「は、はい! お任せくだ​──」


 このまま来ないでくれたら良かったものを……なんて思いつつも収納の魔道具に仕舞ってあった剣を取り出し、構えた……ところで、いつの間にか騎士の懐に入り込んでいたナナミが騎士の体を吹き飛ばしていた。


 ……やっぱり俺、要らなくないかな。


 そんなことを思いつつ、逃げられるわけにはいかないから、そのまま領主に向かって近づいていくと、領主はその場に腰を抜かしてしまった。

 ……こんなんでも貴族様だから、魔法を警戒してたんだけど……それすらも馬鹿みたいに思えてしまうな。

 仮にそういう作戦なんだとしたら、かなり有効な手を打っていることになるけど……違うんだろうなぁ。


「や、やめろ! 我に平民などの身で触れるでない!」


 口から発していることは全て無視して、ザザさんから事前に受けとっていた縄を使って俺はそのまま領主のことを縛り上げた。

 ……結び方、大丈夫だよな?


 ボヨンボヨンと暴れている領主のことを冷めた目で見つめる。

 ……大丈夫そうだな。


 そう思いつつ、シャネル様にここからどうするのかを聞いた。

 もちろん領主に対して警戒は続けている。


「ザザにそれをあんたに感謝していて信頼のできる兵士と一緒に地下牢にでも入れて置いてもらって、私はギルドに行くつもりよ」


「ギルド?」


「えぇ、もうあんたのおかげでギルドも手紙を出すことが出来るくらいには回復してるでしょ。お父様にこの街のことを伝えて、王都にもこのことを伝えると同時に人を派遣してもらいたいのよ。私1人で出来ることには限度があるしね。……そ、それに、し、仕方ないから、あんたのことをサポートしてあげなくちゃだし、そもそもそんな暇無いのよ!」


 捲し立てるようにシャネル様はそう言ってきた。


「色々とありがとうございます」


「ふ、ふんっ! な、ナナミ、悪いんだけど、ザザを呼んできて貰える?」


「…………分かった」


 素直にシャネル様の言葉に頷いて屋敷の外に出ていくナナミ。

 ……本当に、あっさりと終わったなぁ。

 あ、そうだ。

 一応、さっきの騎士やこの領主にもヒールを掛けておくか。

 理由は簡単で、別に善意で体の心配をしている訳ではなく、少しでもヒールを掛けた人間を増やして、早くソウルヒールを覚えたいからだ。

 

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