第12話
「ん…………ベッド……?」
目が覚めると、床……では無く、何故かふかふかの柔らかいベッドの上に眠っていたから、一瞬俺も死んでしまったのかと思ったが、直ぐに俺はもう故郷である村から外に出たことを思い出した。
「あぁ、そうだった。……でも、なんでこんなベッドで俺は眠ってるんだ……?」
そもそも、昨日眠った記憶が無いんだが……って、そ、そういえば俺の金は──!?
そこまで考え、さっきまでは抗える気がしなかったベッドの誘惑を断ち切り、バッと体を起き上がらせた俺は、見えていた俺の鞄を取り、直ぐに中身を確認した。
その結果、中身は特に弄られた様子なんて一切無く、一番奥に仕舞ってあったお金もちゃんとそのままだった。
あっ。大丈夫だ。普通にあった。
……なら、もう一回あのベッドに寝転ぼうかな。……俺、あんなベッドで寝たことなんてないし。
そう思い、もう一度ベッドの方向に向かって行こうとしたところで、部屋の扉がノックされたかと思うと、さっきまで俺が治癒士になる対応をしてくれていたお姉さんが入ってきた。
「あっ、もう目が覚めてたんですね」
そこで思い出した。
そういえば俺、治癒士になった直後に気を失ったんだっけ。
体調は悪く無かったし、なんだかんだ緊張してたからってことかな。
「はい、ありがとうございます」
お姉さんがここに運んでくれたのかな、と思い、お礼を言いつつ、俺はあれからどれくらい時間が経ったのかを聞いた。
「今はちょうど夜が明けたくらいの時間ですよ」
昨日冒険者ギルドに辿り着いたのが多分昼頃くらいだったから、俺はそれくらい眠っていたと。
通りで気持ちいい目覚めのはずだ。……あんなベッドで眠ってたからかもだけど。初めての体験だし。
「そうですか……そんなに眠ってしまって、すみません」
「全然大丈夫ですよ。それより、寝起きのところ申し訳ないのですが、どう致しますか? 治癒士として早速今から働くか、また今度にしておくか」
「……早くお金を稼ぎたい理由があるので、もう今からでも働けるのなら、働きたいです」
「では、そちらをお付けください。昨日、眠る時に付けておくのは危ないので、外しておいたんですよ。付け方は分かりますか?」
道理で耳に何も違和感を感じないと思ったら、あの治癒士の証、外してくれてたのか。
てか、寝る時は外さなくちゃなんだな。
知らなかったから、今知れてよかった。
いや、俺が気を失ったりしなかったら、ちゃんと教えて貰えてたのかな。
「はい、多分大丈夫です」
見えないからちょっと難しいけど……良し、ちゃんと付けれたな。
……と言うか、ちょっとだけ痛いのを覚悟してたんだが、別に全然痛くなんてないんだな。
「どうですか?」
「ちゃんと付けれていますし、似合っていますよ」
「ありがとうございます」
「では、早速行きま──」
お姉さんがそこまで言ったところで、グゥゥっと俺のお腹の音が鳴った。
「先に朝食を食べましょうか。治癒士になると、ギルドから食事も出るので、お金は発生しませんので、ご安心ください。ここに持ってきますね」
「は、はい。ありがとうございます」
そう言ってお姉さんは部屋を出ていった。
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