さよなら、深夜のレモンサイダー
@CrowLatte
第1話 大会の終わり
「ピッ...ピー!!」
ホイッスルが鳴るのと同時に、夏の大会が準優勝で終わった。
ふと、自分の足元に目をやる。
膝に丁寧にまかれたテーピング、その横には松葉杖が静かに置かれている。
昨日の準決勝で負った怪我が原因で、今日は試合に出場できなかった。
整列をして、保護者や後輩、応援してくれた方々に挨拶をする。
「ありがとうございました!!」
お辞儀をすると、大きな拍手がより涙を加速させた。
「3年生は、3年間本当にお疲れさまでした。」
コーチの言葉に、涙を流す仲間たちが目の前を通り過ぎていく。
しかし、夏帆はその場に立ち尽くし、ただ黙って見守ることしかできなかった。
「勝てば、インターハイだったのにな…」
心の中でそんなことを思いながらも、気持ちはどこかで空回りしていた。
手に入れたかったものを失った悔しさが、今も胸を締め付けている。
部活を引退した後も、学校へは毎日通うことになった。
でも、何かが抜け落ちたように感じる。
心にぽっかりと穴が開いたような、そんな空虚な日々を過ごしていた。
大会が終わり、部活動の時間が勉強に取って代わった。
朝は英単語を必死に覚え、通学中はリスニングに集中し、放課後は模試の結果に一喜一憂する。
すべてが決まりきった未来に向けて、ひたすら前進するしかないと思っていた。
数日後、膝の怪我もだいぶ回復してきた頃、学校では夏休み中の課外授業や進路に関する話題が飛び交っていた。
「夏休み中に進路調査の用紙、ちゃんと書いてこいよー」
学年主任の長い話をうっすらと聞き流しながら、夏帆は家路を急いだ。
進路調査の用紙は、何度も書いてきた。
だが、今回は違う。
部活の特待生として大学に進学するはずだったのに、その道が今は閉ざされてしまった。
インターハイに出場することが条件だったからだ。
「この先、どんな道を選ぶべきだろうか?」
その問いが、心の中で何度も反響していた。
彼女が目指していた未来は、今、目の前で崩れ落ちたように感じた。
これから先、自分に何ができるのか、何を選ぶべきなのか、その答えが見えない。
そんな悩みを抱えながら、夏帆の高校最後の夏休みが始まった。
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