星を繋げて
時津彼方
10月24日
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
そして今日が、10回目。
まあ、予想通りだった。
「で、どうなの。最近の調子は」
鱗のような殻に全身を包まれた背の高い女性は、手足を全く動かすことができずに横たわる俺に、少し掠れた声で問いかけてくる。
この質問も聞き飽きた。
(別に何ともない)
「……そう」
無論、口も動かすことができないため、頭の中で念じて伝える。
このやり方ならコミュニケーションをとることができるのは、たしか4回目の時だったか。
「だったら別にいいのだけれど」
(まさか、心配してくれてるの?)
「べっ、別に!? そんなことない、わよ……」
驚いた。これまでの夢で出てきた人々は皆、俺に同情の声をかけるか諦めて悟りを開くよう提言してきたものだから、いつも夢から覚めるまで適当に返事をして時間つぶしをしていたのだが。
(ありがとう)
「……感謝されるようなことはしてないわよ」
(ちなみに一つ聞いてもいい?)
「いいけど、私が答えられることは限られてるわよ」
(別に構わない)
まともな会話が出来そうなのはこの人だけかもしれない。
ならばせめて答え合わせがしたい。
(あなたは、さそり座の女ですか?)
「……は?」
女性は自身の指先に付いている黒く長い爪と、背中の方から伸びている尻尾で、これまた黒い殻に包まれた両頬を掻いた。
どうやら違ったみたいだ。
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