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まずは状況を整理しよう


私は20歳で大学を卒業し、運悪くいわゆるブラックならぬグレー企業に勤めていた


それで多分過労で死んだ、んだと思う


私が勤めていた会社は年休みは2回、徹夜をし残業をしても、残業代も出ない、そんな会社だったのだ。


最近体調が悪く定期検診で最後の休みをもぎ取り病院に行ったら



『残念ながらこのままでは貴方は死にます』的なことを言われた



それを上司に伝えた途端



「はあ?そんなのクビだクビ!退職金は後で送っておく!」と言われ、久しぶりに家に帰ろうとしていたところ踏切の前で力尽き、死んでしまった



ということだと、、、思う。


なんと先ほど、頑張って鏡台によじ登って鏡を見てみるとブロンドの髪に可愛い顔、そしてアメジストのような紫色の瞳!なんと私が唯一の心の癒しとしていたネット小説、「君は世界に一人だけ」略してキミヒトのヒロイン、準公爵家のアルベル・アレキトラに転生したのだ!



「はあ…」



けれど、私は深い、深い、マリアナ海溝よりも深いであろうため息をつく


え?なんで落ち込むかって?ヒロインなのに何言ってんだ?


はあ…そんなわけない!


だって私の前世は、高校時代、誰とも付き合ってないのに「私の彼氏に近づくな!」とか言うなんかヤバいやつがいたり(女子)、ブラック(グレー)企業にひっかかったり、、、etc.








碌でもない人生だったんだから!


けれど、こんな人生の中楽しんでいたのが“キミヒト”だった。


このキミヒトは人気な乙女ゲーム風小説で何回も改訂、ストーリー追加されさまざまなキャラが魅力的な小説だった。

まあ、よくあるざまぁ展開の乙女ゲームの小説版という感じだ


ちなみに追加ストーリーの中にはエンドのifストーリーが多く追加されており、読者を魅了していた。


その中の悪役令嬢の公爵家随一の権力を持っているアリス、

アリス・デズモンドは、ヒロインの敵役でありライバルでもある。

キリッとした目にツヤツヤの黒い長い髪、誰もがうっとりとしてしまうほど容姿端麗、綺麗事は大嫌い、魔力が多く、努力家で成績優秀で毎回女子一位、そしてしっかり誠実


なので理想ごとばっか言うあまり魔力もなく、アリスの友人、婚約者やその他諸々に近づき仲間(虜)にしてしまう。


自分の努力を簡単に踏みにじり乗り越える、壊してしまうそんなヒロインが大嫌い


だからヒロインに自分の価値観、考え方を押し付け、嫉妬心でいじめてしまうという悪役令嬢だ


けれど私は全てがカッコカワイイ!と思い

私の推し、そして支えとなってくれたのだ。

小説のendではどこかの子爵家に嫁入りし、幸せに暮らしたってなってたっけ…

ifストーリーでは酷いのも合ったけど…


そう考えていると、コンコンとノックが聞こえる


誰だろう?


すると扉から美しい少年がピョンと入ってきた。



「ベル!大丈夫?」



この美形の人はヒロイン、私の兄、コリアス・アレキトラ だ


幼い頃から家庭教師に素晴らしい頭脳の持ち主で剣術も完璧で神童と呼ばれている


見た目は母に似た青空のように澄み切った水色の瞳、父に似たブロンドのサラサラとした髪の毛、そして整った顔


学園編では様々なところで良い成績を収め、文系かと思いきや剣術でも一位をサラッと取る。爽やかイケメンの部類の人だ。しかし、いつもポーカーフェイス、嘘の微笑み。そして甘いものが大好きで…そこが“ギャップ萌え”らしい。


…人気投票では1位2位をヒーロー(王太子)と争っていたなあ

まあ、私はアリス様一択だったけどね!


小説の中では中立派でどちらかと言うとアルベルのことをヒロインで妹なのに嫌っていた…


というかなんでこんなにイケメンの鱗片が輝いているのだろう?

まだ子供だよね?

まあヒロインの兄だからか…じゃなくて!



「どうしてそんな心配してるの?」



入ってきた途端なぜか私を必要な以上に心配していた。

私は寝ていただけ(のはず)なのに、なぜ…?





______


ここまで読んでいただきありがとうございます!


2025 8/12 一部修正

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