第6話 傲慢と娘達
「面白い!面白い!面白い!エルフの分際でそこまで強くなれるなんて!!何を犠牲にしてきたの?教えてよ!!ねぇ!ねぇ! 」
笑顔で聖母はそういいながら次々と魔法を展開して飛ばしてくる。
性格が悪い聖母だ これはもう聖母ではなく邪母といってもいいかもしれない
それを光魔法で相殺している校長が逆に聖母にみえるが、流石に校長も息を切らし始める。
そりゃあそうだ
あんな量の闇魔法を打ち消しているのだから
なぜ逆にあの聖母は疲れないのか
謎でしかない
「趣味が悪い聖母様じゃな!!」
「それは人間も変わらないでしょ 人間の言葉で唯一の好きな言葉があってぇ 【他人の不幸は蜜の味】って言葉!本当にその通り 幸せを共感しても何にも楽しくない!
他者の不幸や絶望 それだけが私の心を満たしてくれるの!!」
そういって彼女は恍惚の表情を浮かべる。
狂っていると周りの先生達は言っているが私はそうは思わない。
彼女は正気だ
正気でそれを悦としている存在
それが彼女
狂っている方がどれだけよかったか
「そういった思想では今の時代で信仰を得るのは難しいぞ聖母様!」
「そう?他人の不幸を望む人間はいつの時代になっても減らないよ? この試験だってそう 落ちてくれれば自分の枠が開くー とか思う人間は必ずいるよ」
「……お主 小僧に召喚された物かと思っておったが小僧の中におったな……」
「ありゃりゃ、喋りすぎたか まぁ、半分正解かな?」
「なら答えを教えてくれんかの 聖母様!」
「あなたは私を久々に楽しませてくれた存在だから教えてあげたいけどお姉様達が駄目だって!!」
「こんなのが複数いるとか終わっとるの!!」
「そう?バラエティーに飛んでていいと思うけどな!」
彼女は周りに闇魔法を展開して星を破壊し星屑で目眩ましをする。
「残念だけど、そろそろタイムリミットだから終わらせてあげる 私を楽しませた褒美に星の終わりを教えてあげる」
大気が揺れている。
そう感じられるほどの魔力の波を感じる。
一体どれだけの魔力で作られているのか
本当に星を終わらせてしまうと言われても不思議ではないほどの揺れ
ここが無限ではなかったらこの余波でさえ地球はどうなっていたことか震えが止まらない。
「こりゃあ不味いな しょうがない【魔力縫合】解除」
校長がそういうと校長の背中に着いていた手が地面に落ちる。
なるほどあれは魔力で肉体と繋げているのか。
それならあの凄い制御も納得できる ってそんな場合じゃない!
手数を減らしてどうするのか!
三つの手で最大の魔力を込めて防御するのがベストなはず!!
それを解除してしまうなんてどういうつもりなのだろうか
諦めてしまったのか?
いや、校長の顔にはまだ色がある。
諦めたわけではないようだ
「ありゃ手を減らしてよかったの?」
「あぁ、そうじゃないと馬鹿弟子を守れんからの 【自立開始】 魔力解放 」
そういうと校長から落ちた4つの手からオルゴールのような音が鳴り響く。
その音と共に腕から木のようなものが延び始め同化し、身体を形成していく。
「やだきもーい でもなるほど そりゃああれだけの魔力を込めても壊れないわけだ 」
「イヴ久々の出番だよ」
右手は少年の姿に
左手は少女の姿へと変わった。
イヴと呼ばれた少女はほっぺを膨らませながら校長を優しく蹴る。
それを止めようとする少年
まるで親子の様、腕が意識を持つなんて一体どうやったのか
「お父様 こんな時にしか私達を呼び出しませんわね 」
「膨れないでイヴ しょうがないよ僕たちは兵器なんだから」
「アダム 我々は兵器じゃないわ!意思があるもの」
「そう おまえ達は兵器ではない だから命令はしない
これはお願いじゃ 馬鹿弟子を守ってくれるか?」
「お父様の頼みなら喜んで」
「次はお茶会の時に呼んでくれるなら……」
「わかった最高の紅茶を用意しておくよ」
その言葉を聞いたイヴはリオニス先生の治療を開始し、アダムは防御魔法を展開する。
「自分が作った人形に原初の人の名を付けるとか傲慢だね 」
「天才とは元来傲慢なもんじゃ それにその名が許されるほどの娘達じゃからの」
「親バカここに極まれりだね……少し羨ましいかな」
「お主に羨ましいという感情があるとは少し驚きじゃの」
「私を何だと思ってるわけ?少しイラってきた さっさと終わらせてやろう 神様気取りのハエが!! 」
「情緒不安定じゃの!!」
校長もまた魔力を込め始める。
これもまた世界を揺らすほどの魔力
これがこの世界最強の本気
だがそれは途中で止まる。
「なっ!!貴様何をした!!」
宇宙に向かって鎖が突き刺さっている。
その宇宙から聖母が現れる。
姿がみえないのは背景に擬態していたからだったのか
だがさっきまで校長の魔力弾を食らってもピンピンしていた彼女が鎖が刺さっただけで今は虫の息。
あの鎖は一体なんなのか
「この鎖は……貴様!!どこでこれを!!」
「だてにこの学園で100年も生きとらんわ」
「貴様これがなんの鎖か知っているのか!? 不敬な!!」
「さぁな どこからともなく降ってきた鎖じゃ お主相手でも殺せると思っておったが頑丈じゃの 流石に聖母と言ったところか」
「人間風情が!!神の鎖を使うなど!!許さぬ!!許さぬ!!」
「神様気取りのハエじゃからの」
「……今回は退いてやる だが次は……」
そういって聖母は消えようとする。
これで一時解決かと息をついたとき、
鎖がもう1本現れる。
「次なんてありゃせんよ」
「まさか!!二本目があるとは!?
だが我を殺すにはまだ足りぬわ!!」
そういって鎖を引き抜こうとする。
「殺す?お主を殺したら面倒じゃろ?じゃからこうさせて貰う」
そういうと校長はペンダントを地面に置いて魔方陣を書き始める。
「まさか!?それに我を!?なんたる不敬!!止めろ!!姉達が黙っているわけが!!」
「もうお主の声にも飽きた そろそろ消えてくれ」
「やめろぉ!!」
魔方陣に引き込まれていく聖母
聖母は抵抗するが鎖がそれを阻害する。
聖母が魔方陣の真ん中に着いた時
光と共に聖母は消滅した。
残ったのはペンダントだけ
「あぁ、久々につかれたわ そろそろ引退かのー」
「よく言いますよ それだけやれてるんだから引退もないでしょうに」
治療を終えたようでリオニス先生は校長に呆れながら言う。
私もそう思う。
「いやいや、わしの全盛期ならこんな策はとらずやつを余裕で殺せて……」
全盛期どんだけだよ!
と思った瞬間 校長は倒れこんでしまう
それと同時に無限も消滅する。
「そりゃあ久々にあんなに魔力を使ったんだ 当然でしょ」
校長はリオニスに担がれて保健室に運ばれていった。
ついでにラブも
これで一件落着なのか?
わからない
だが私はやっと息をつける
そう思ったとき、私の意識は闇へと消えた。
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