反転都市と天に落ちる沙 〜沙漠の沙時計・第一集〜
松本恭太郎
ェルスト
はじめに
シナイ半島で見つかった本作の原本写本は、炭素年代測定によると、かの『千一夜物語』と同年代のものであると示されている。この事実が本作を、失われた『千一夜物語』であるとの見方を与えるに至っている。
ただしその書記者不詳の写本は古アラビア語と近似したナディア語と呼ばれる言語と、ルバイア語と呼ばれる現在地球上には存在しない言語の混合で書き記されている。ルバイア語の完全な解読については目下進行中であるが、現時点での研究成果として一旦ここに提示したい。
本作は、ガラン版『千一夜物語』との比較参照をすべく、まず仏国に送られた同写本の仏国語版を、日本語訳し、編集したものである。
尚、全体が散文韻文を含んだ詩として構成され、めいめいが独立している原文の趣きを再現する為、本書ではセンテンス毎に行間を開けている。全てが詩で成り立っている原本写本の味わいをお楽しみ頂ければ幸いである。
以下、写本冒頭部に前書きとして掲げられた詩を引用する。
『物語だけに目を奪われてはいけない。細部が全体であり、全体が細部である。肉体に精神が宿っているのではなく、精神が肉体をまとっているわけでもない、それらは同時に現れたのだ。日常が宇宙であり、宇宙が日常である。奇跡とは日常であり、あらゆる下世話なことに聖性が宿っている』
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