愛しのBachaコーヒー

 オンラインチェックインを済ませて準備は万端!

 あとは保安検査を済ませて搭乗口へ向かうだけです。


 ほんの十数年前にはチェックインカウンターの列に並び、紙チケットを発行してもらったものですが、今はスマホ一個あればなんでもできます。

 搭乗券代わりの電子バーコードは、紙チケットと違って落とすことがないので安心です。チケットやらマイナンバーカードやら、大事なものに限ってどこかにやってしまう私のような人間にとっては、ずいぶんと優しい時代になりました。ありがたいばかりです。

 


 搭乗口へと向かう道中、たまたま空港の中でBachaコーヒーのお店を見つけました。

  Bachaコーヒーといえば、金ピカの袋が特徴的なフレーバーコーヒーのお店です。シンガポールのお土産としても有名ですが、一度お土産でいただいてからというもの、私はすっかりそのおいしさの虜になってしまいました。

 日本にも今年進出するそうなので、皆様機会があればぜひ一度飲んでみてください。家庭で楽しめるコーヒーとして、Bachaコーヒー以上においしいコーヒーを私は知りません。


 欲を言えば手土産ではなく自分用に買っていきたいところではありましたが、旅に出る前から荷物を増やすわけにはいきません。泣く泣く自分用は諦めて、手土産用のコーヒーの詰め合わせと、小腹を満たすためのチョコクロワッサンを買いました。

 


 搭乗口に着いたのは、出発の約一時間前。搭乗開始まではまだ時間があります。


 お腹も空いていたので、待合席を確保するや否や、私は先ほど購入したチョコクロワッサンに早速かぶり付きました。


 いかにもおいしそうなピカピカのクロワッサンでしたが、期待に反してかなりクセのあるお味がしました。

 中身が黒っぽかったのでチョコクロワッサンだと勝手に思い込んでいましたが、どうやらアンチョビペースト入りのものを買ってしまったようです。

 平日の仕事上がりだった上、普段なら寝ている時間でしたから、多分頭が寝ていたのでしょう。メニュー名を見ずに注文するものではありませんね。

 

 苦手な味のクロワッサンをもそもそとかじっていると、いつの間にやら搭乗時刻になっていました。

 さあ乗り込もうとスマホのバーコード搭乗券を見せたところ、なぜだか職員さんは顔を曇らせます。


「こちらはお使いになれません」


 何事かとドキドキしながらカウンターに向かうと、紙バージョンの搭乗券を渡されました。


 どうやら紙チケットからは逃れられないようです。

 搭乗券どころか顔認証だけで搭乗させてくれる航空会社もあれば、昔ながらの紙搭乗券スタイルをずっと続けている航空会社もあります。ちょっとしょっぱい気持ちにはなりましたが、まあそういうこともありますよね。

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