第10話 日常2 チャット

《システム》:小川さんが入室されました

ON:きた

ダイアン:冬馬ちゃん来たあ

ON:遅い! みんな待ってたのに

小川:すんません。どうも

ミク:拙者たちもきたとこですよ

小川:いつもこんな時間に集まってんですか

熊:いつもじゃないですよ。暇な土日の夜とか

瑠璃:ひまじんばかりね

ダイアン:ヒマじゃなくてもね、なんか23時過ぎたらこう、ムズムズするのよ。テレホタイムだからかしら

熊:テレホ?

深酒:テレホーダイ

ON:テレホて、いつの時代の話だよジジイ

ダイアン:それを言うならババアって言いなさいよ! ババアって! って誰がババアよ!

ミク:wwwwww

小川:おまえ未来って書いて、ミクって読むんだっけ?

ON:コラコラ、ねっとまなーを守れぇ。個人情報禁止

小川:身内のチャットルームだからいいでしょ別に

深酒:のどかわいた

ダイアン:冬馬ちゃんもなにかハンドルネーム考えなさいよ

小川:モリゲンも冬馬ちゃんって言ってるじゃん個人情報

ダイアン:悪かったわよ。あたしのことはダイアンって呼んで

熊:確かに足並みがそろってないですね一人だけ名字で

小川:わかったよ

《システム》:小川さんが退室されました

《システム》:冬馬さんが入室されました

ON:コラ、おめ、本名でねぇだか

冬馬:考えるのめんどくさい

瑠璃:いいなまえ

ダイアン:冬馬ちゃんの丘陵研究会第2部室参加を祝して、乾杯しましょ!

熊:わたし未成年

深酒:のどかわいた

ダイアン:くまちゃんはお茶でもいいわよ。みんな飲み物持って。いい? じゃあ乾 杯ぁい

ON:かんぽぁい

瑠璃:かんぱい

冬馬:俺も麦茶しかないけど、乾杯

ミク:トースト!

熊:トースト?

ON:バンザーイ!

深酒:でた。ONちゃんのミスターミヤギ! 回線越しに伝わらないのが残念。物まね絶品だから今度見て

冬馬:ミヤギだれだよ

熊:わかりません

ミク:いやあ、楽しいサークルでうれしいです。ところで拙者、瑠璃さんだれなのかまだわかんないんですけど

ON:こらこら、個人情報だっつの

ミク:まあいいかあ!

瑠璃:ふふふ

冬馬:俺は深酒もわからん

ダイアン:まあまあ。みんな揃ったことだし、そろそろコイバナでもしましょう

瑠璃:いいね

ON:おまえワザとかこら。最近フラれたあたしへのあてつけか

熊:えっ、kwsk

ミク:まじですか

ダイアン:ちょ、ちょっと待って。酒。酒が足りないわ

ON:話さねえよクソ!


………………

………………


ダイアン:じゃあみんなお休み~

冬馬:はい

《システム》:冬馬さんが退室されました


 冬馬は、PCの電源を切った。そしてベッドの上に倒れこむ。

 無理やり呼ばれて初めて参加した丘陵研究会第2部室ことチャットルームは結局、七緒の愚痴をさんざん聞かされて終わったのだった。

「疲れた」

 これでしばらくは参加しなくていいかな。

 そう思ってため息をついた。

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