真、旅の記録 7 干支島の惨劇

猫飼つよし

第1話 女と男

「あ、あの、私、人を殺してしまいました」

女性はかなり感情が高ぶっていて、どうしたらいいのか分からないほど混乱していた。

「落ち着いてください。どんなことであれ、私はあなたの味方です」

 電話の相手の声は落ち着いていた。低い男の声だった。

「SNSであなたのホームページまで辿り着きました。あ、あなたって死体を誰にも見つからずに処理出来るんですよね?」

「そうですよ。ホームページをご覧になられたのなら、記載の通り、私は死体を誰にも見つからないように始末することは可能です」

「お金はいくらでも出します。私はあなたにすがるしかないんです。じゃないと……」

 女性はあまりに起伏が激しく、涙が頬を伝っていた。

「刑務所に入れられるというわけですね」

「助けてください!」

 彼女は泣き叫び懇願した。

「私はお金さえいただいて、実行に移すだけでは満足できない人間でしてね」

「それは……、どういう事ですか?」

「私はあなたの願いを叶える。その代わり、あなたは今日からやって欲しいことがあるんです」

「やって欲しいこと、それは何ですか?」

 すると、男はしばらく沈黙した。

「もしもし?」

 女性が焦りながら声を張り上げると、男は言った。

「実は私も殺したい人物がいましてね。お互い共犯者として……。そして、莫大な金を二人で掴みましょう」

 その言葉が、あまりよく呑み込めなかった女だが、彼女は、

「お願いします」

 と、手が震えて両手でスマートフォンを持って言った。

 ——女性が開いているパソコンのディスプレイ画面には、真っ暗な背景であり、白い文字で、“殺人パラサイトへようこそ”と、書かれていた。もちろん顔写真もない。何とも不気味なホームページであった。

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