第7話 魔法実習トーナメント。中編
イェレナとフォールは順調に勝ち星を上げて準決勝まで進む
「おい次イェレナさんの試合だぞ!」
「マジで!しかも相手は第二王子のカイン・ルヴァンじゃん!」
「お前どっち勝つと思う?」
「私はカイン様かなー」
すっかりイェレナへ向ける目が好転している様子を見てフォールは満足げに鼻を鳴らした
(今更イェレナの凄さを見抜いたって遅いわ!)
(私の推しが凄いって皆んなにバレて少し寂しいけどやっぱりイェレナには幸せになって欲しいからこれで良いか!)
などと思っていると試合が始まる
どうやらカインは剣術も収めているらしく手には剣を、腰には杖を携えていた
「なぁ平民女!前も一度言ったんだが僕の婚約者にならないか?そうだな、それが良い」
「何勝手に話を進めているんですか?絶対に無理です」
「じゃあこの勝負に僕が勝ったら婚約者になって貰う!」
「はぁ!?」
そう言いカインはイェレナへ接近して剣を振る
「危なっ!」
「まだまだぁ!!」
イェレナが剣を避けるもカインはその隙を見逃さなかった
「貰ったぁ!」
「バリア!」
しかし剣は弾かれる
「フォール様にバリアを教えてもらってて良かった」
実はトーナメントに向けてイェレナとフォールは特訓をしていたのだ
(私のイェレナがあんなチンピラ王族に負けるはずないもんね!)
ふふんとフォールは誇らしげに鼻を鳴らす
「こざかしい真似を!!!」
「次はこっちの番です!」
「ファーターレイン」
イェレナは空へ杖を向けると雨が降ってくる
「あっつ!?あっつあつ!!???」
その雨は超高温であり触れたものを火傷させるには十分だった
「なんで防御魔法を貫通してんだよ!?くそッ!ザ・ウォール!」
カインは腰の杖を使い土の壁と天井を作る
しかし
「カマイタチ」
「あっ」
風が空気を切り裂く音と共にカインはその場は倒れ込む
winnerイェレナ
「スゲェ!!」
「あのカインに勝ちやがった」
「あぁぁーんカイン様が負けたー!」
「スゲェ!!」
「フォール様やりました!」
尻尾が見えるくらい喜びながらイェレナはフォールの元へと走ってくる
「よくやったわねイェレナ、おめでとう」
「ありがとうございます!」ムフフーー
「次、フォール・グッナイとシオン・フェルは壇上へ」
「フォール様!頑張って下さい!」
「えぇ!」
「初め!」
先生の合図と共に試合は始まる
そして試合と同時にシオンはその場へ倒れ込む
会場からは空気の焦げた匂いだけが漂っていた
winnerフォール
「こんなものね」
「フォール様おめでとうございます!!」
「えぇありがとう、イェレナの応援のおかげね!」
「そうなんですか?」
「そうよ」
「えへへ、お役に立てて嬉しいです」
「にしても次は決勝ね」
「ですね!」
「全力で来なさい?」
「もちろんです!覚悟しててくださいね!フォール様!」
「もちろん」
「決勝戦、フォール・グッナイとイェレナは壇上へ」
最終決戦もとい決勝戦が始まる
「こうして戦うことは初めてかしら?」
「そうですね!全力で頑張ります!」
(思えば今の姿が本来の姿なんだろな)
本来ならば悪役令嬢のフォール・グッナイとして主人公イェレナと戦う事になっていたがその世界線はもうないだろう
「よし...全力で戦おう」
ふとイェレナへ目を向けると、いつもとは違い何かを決意したような、何かを隠しているような神妙な顔をしていた
(...何を考えているのかしら?)
「初め!」
そうしてイェレナの考えていることが分からぬうちに試合は始まった
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