鳥の巣

第1話

「良いんじゃないかーい! 完璧じゃん。ねっ」



「……うん」



いよいよ夢が叶う時が

明日やって来る。



【Bird's nest】



イメージ通りのデザイン文字で

“鳥の巣”という意味の店の名前が書かれた

小さな看板を掲げたカフェの前。



建物の壁はレンガ調


大きなガラスの窓

そこから店内に見えるドライフラワー。




中学校の修学旅行で、自由行動の時にたまたま入った京都のカフェ。


店内がたくさんのドライフラワーで飾られて


凄く凄くキレイで


それでいて

とっても落ち着ける空間で。


15歳の子供ながらに


いつかきっと、こんなお店を自分で作りたいと思った、運命の場所。




その時から私の夢はずっと変わらず

10年以上の時が過ぎて


色んな道を通り


やっとここに辿り着いた。




「頑張ったもんなぁー、絢ちゃん」




私の隣に立ち、腕組みをして

一緒に明日オープンの店を見つめるのはヨウさん。


その言葉に、ここに辿り着くまでにあった出来事がまるで走馬灯みたいに頭に蘇って


気付いたら、ボロボロと泣いていた。

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