ゼロセクション2

来々

プロローグ

日本政府にとって不都合な真実は、決して表に出ることはない。


 深夜の東京湾岸。人気のないコンテナヤードに、黒い影がうごめいていた。フードを被った男が手にした小型端末には、複雑な暗号が走る。数秒後、端末が短く振動した。


 「……成功だ」


 男は微かに笑い、端末をポケットに滑り込ませる。その背後に、音もなく忍び寄る影があった。


 「公安警察第零課、柊隼人。質問に答えろ」


 静かに銃を向けた柊は、一歩前に出る。風が海の匂いを運び、鋭く頬を撫でた。


 男は動じることなく呟いた。


 「お前たちには、もう止められない」


 次の瞬間、閃光と共に視界が白く染まった——。

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