お茶っ葉戦隊 ティーレンジャー 第58話「エナドリ将軍の脅威と新たなる力!」
世界が愛するお茶を守る為、戦い続ける5人の戦士――お茶っ葉戦隊 ティーレンジャー。
彼らはアッサム(紅茶)、ウーロン(青茶)、ギョクロ(緑茶)、モンディン(黄茶)、そして紅一点のバイムーダン(白茶)の5人から成り、アッサムをリーダーとして悪のコーヒー皇帝率いる邪悪な飲料軍団の侵略に対抗していた。
しかし、ティーレンジャーの活躍に業を煮やしたコーヒー皇帝は最強の側近であるエナドリ将軍を送り込んで来た!
●
「くっ……!」
傷つきながらもなお立ち上がるアッサム。周りには傷ついて倒れている仲間たちの姿があった。
「おお、まだ立てるとは……そうでなくてはな」
エナドリ将軍は感心するようにそれを眺めていた。
「何故だ……どうしてパワーが出ない……」
アッサムは自分たちがいつもの様に全力で戦えない事に疑問を抱いていた。全力であれば既に敵を倒せていたはずだった。しかし彼らの力は弱まっていて満足に戦えず今の状況に陥っている。
「冥途の土産に教えてやろう。私はずっと前から策を講じていた。お前たちの力は人々のお茶を愛する心を原動力とする。ならば、その心を奪い取ってやれば良い……」
勝利を確信しているエナドリ将軍は自分の策を披露し始めた。
エナドリ将軍は実に狡猾だった。
ティーレンジャーとの直接対決は無謀だと分かっていたので、力を削ぐために「健康茶」と偽ってエナジードリンクを市場に解き放った。しかし大々的に宣伝はせず、少しずつ目立たぬようにシェアを伸ばしていく。そしてエナドリ中毒に陥った人々の心をティーレンジャーが拠り所とするお茶から引き離すことに成功した。お茶を愛する人々の心をパワーに戦っていた彼らはその分引き出せるパワーが減ってしまっていたのだ。
「なんて卑劣な……!」
アッサムは搦手で攻めてくるエナドリ将軍に怒りの視線をぶつける。
「誉め言葉と受け取ろう。ここまでの健闘に敬意を表して、せめて苦しまずに逝かせてやる」
エナドリ将軍が指示を出すと、配下の戦闘員たちがティーレンジャーを包囲する。既にティーレンジャーは全員が満身創痍であり、エナドリ将軍の勝利は確実に見えた。
「さらばだティーレンジャー……お前たちは最高の好敵手として永遠に私の記録に残るだろう」
エナドリ将軍が攻撃命令を出そうとした時、遠くから爆音が響く、同時に外周の守りを固めていた戦闘員たちが吹き飛ばさた。
「奇襲か!?」
エナドリ将軍は動揺をすぐに抑えて状況を把握しようとする。その時、爆発で立ち込めている煙の中から人影が現れた。
「待たせたな、同志たち!!」
そう叫んで現れたのは黒の衣装を纏った6人目の戦士だった。
「誰だお前は!!」
想定外の相手にエナドリ将軍は叫ぶ。一方のアッサムも6人目の戦士の事は知らなかったので驚いていた。
「私はティーレンジャー第六の戦士、プーアル(黒茶)! これまでずっと陰で彼らを支えてきた存在だ!!」
第六の戦士――プーアルは高らかに名を名乗ってアッサムの前に立つ。その貫禄のある存在感にアッサムは既視感を覚えた。
「まさか……兄さんなのか!?」
アッサムは過去の戦いで死んだと思っていた兄ではないのかと考える。そして死んだと思われた兄に変わり、アッサムの座を引き継いで戦いを続けていた。
「よく頑張ったな、弟よ……あの時、俺は死んだと思われた。俺はそれを利用し、陰でお前たちを支えてきた……だが、これからは共に戦おう」
背中越しに語り掛ける言葉は確かに兄だった。アッサムは兄の帰還で戦意を取り戻す。
「ふん! たかがひとり増えたところでどうということは無い。まとめて葬ってやろう!!」
エナドリ将軍は想定外の援軍に動揺はしたが、勝利に影響はないと見て攻撃を命令する。
「甘いぞエナドリ将軍。お前の策は既に打ち破った!」
そう叫んでプーアルは1台のタブレットを掲げる。その画面にはエナドリのシェアが落ち込んでいることを示すグラフが表示されていた。
「なん……だと……!?」
エナドリ将軍はそれを見てあり得ないといった顔になる。
プーアルはエナドリ将軍の策に気づいてから秘かに対抗商品を出してシェアを回復させていたのだ。巧みな宣伝戦略によって対抗商品は瞬く間に広まり、人々はまたお茶への愛を取り戻していた。
「さあアッサム、祈るんだ。今なら今まで以上の力を感じる事ができるだろう」
プーアルに言われてアッサムは集中する。すると人々のお茶を愛する心が流れ込んでくるのを感じ取れた。
「……ありがとう、お茶を愛する者たちよ。さあ、みんな立ち上がれ!!」
アッサムは高らかに手を上げてパワーを開放する。解放されたパワーは倒れている他の戦士たちを回復させた。
「アッサム……これは?」
立ち上がるウーロンは見知らぬ戦士と共に居るアッサムに尋ねる。他の仲間も同じようにアッサムを見ていた。
「説明は後だ。今は6人でエナドリ将軍を倒すぞ!」
アッサムの号令でティーレンジャーは再び戦いを始めた。
力を取り戻したティーレンジャーは敵を薙ぎ払っていく。
茶杓ブレードを手にウーロンは次々に敵を斬り倒し、巨体のギョクロは鉄瓶フレイルを振り回して文字通り敵を弾き飛ばす。
モンディンは茶筒ライフルと茶壷バズーカを乱射して敵を寄せ付けない。そして両手に茶筅クナイを持ったバイムーダンはその機動力を駆使して接近戦で敵を攪乱していった。
彼らの援護の元でアッサムとプーアルは抜群のコンビネーションで前線を突破してエナドリ将軍に迫る。将軍も覚悟を決めて剣を抜いて戦いに挑もうとするが、搦手を重視する彼の技量では防戦一方となる。
「卑怯な手しか使えぬお前は……もう負けている!」
プーアルが叫びながらダブル柄杓ブレードで斬りかかる。それをエナドリ将軍は辛うじて避けると反撃に切りかかった。
「抜かせ! 最後に勝つのは私だ!!」
将軍の一閃をアッサムが盆シールドで受け止めてプーアルを守る。そして動きが一瞬止まった隙を逃さずフォークスパイクをエナドリ将軍に突き立てた。
「こ、コーヒー皇帝に……栄光あれぇぇぇぇぇぇ!!」
スパイクの突きが直撃した将軍は断末魔の叫びを上げながら消滅していった。長い戦いは遂に終わった。
●
戦いが終わるとアッサムがプーアルの事を皆に説明する。彼の帰還にティーレンジャーは喜んだ。
「これからは6人で力を合わせよう。この世界がお茶を愛してくれるように!」
アッサムが宣言すると、他の者たちもその決意を示すように自然と手を合わせる。新たな戦士の登場によって彼らの結束は更に強固なものとなるのだった……。
●
一方、悪のコーヒー皇帝はエナドリ将軍敗北の報を聞いていた。
「そうか…あのエナドリ将軍が敗れたか……」
コーヒー皇帝は最強の側近を失ったにも関わらず落胆した様子はあまり見せなかった。
「皇帝陛下、我々はどうしたら……」
報告に来た幹部のミルク男爵は明らかに狼狽えていた。しかし皇帝は「案ずるな」と言って彼を落ち着かせる。
「確かに将軍の損失は大きい……しかし、既に次の手は打たれている。今はただ機を待つのだ」
皇帝は不敵な笑みを浮かべながら手に持ったコーヒーカップを見る。
そこにはコーヒーの水面に魔力で映し出されたプーアルの姿が映し出されていたのだった……。
to be continued...?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます