竜騎士と秩序の天秤

竹笛パンダ

第1章 竜騎士と秩序の天秤

プロローグ

 

 この国の歴史には、ひっそりと語り継がれる「皇女の日記」がある。

 そこに記されているのは、伝説ではなく、確かにあった記録として……。

 竜の住む森と、その竜が守る『秩序の天秤』にまつわる物語。


 世界がまだ、調和と混沌のあいだで揺れていた頃——

 森の奥深く、誰にも知られずにひとつの魔道具が眠っていた。

『秩序の天秤』。

 竜に守られしその存在は、世界の均衡を静かに見守っていた。


 だが、均衡とは壊れるためにある。

 闇より目覚めし者は、命を超えた力で天秤を傾けようとした。

 そして世界を手に入れようと、闇の力による支配への欲望だった。


 それに立ち向かうものがいた。

 しかしそれは選ばれし伝説の勇者ではなかった。


 運命を選ぶ力、そして世界の均衡を守る鍵。

 『秩序の天秤』が紡ぐ、竜と騎士の数奇な物語——

 誰もが知る英雄譚ではなく、この日記の著者は……。


 でも、その頃の私は、


「いつかカッコいい皇子様が迎えに来てくれるはず」なんて夢見てた。

 どこにでもいるおっとり姫様だったの。


 剣の素振りは苦手だし、朝は起きられないし、戦争とかもっと無理。

 だけど——あの子が来た。小さな竜の女の子。

 彼女が、私の世界をひっくり返したんだ。


 これは“選ばれた者”の物語なんかじゃない。

 私と、のんびり屋のドラゴンが、

 手を取りあって選んだ、「優しい戦い」の記録。

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