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第3話

――――――――………半年前。



「多恵!見た!?」


「んー?」



購買の定食を選んでいると、後ろから興奮した様子で私に話しかける陽子がいた。

大方予想はついてる。


私が通う大学には、有名人がいるんだ。

きっと、その彼の事。




「彬さんって本当にカッコいい!!

さっきもさ、メガネかけててそれが似合ってて…」



メガネって。



少し呆れながら私は陽子を見る。

そんな陽子を無視しながら、今日のお昼ご飯の食券を買っておばちゃんにだした。


今日はA定食。

サバの味噌煮と、お新香、味噌汁。

うん、日本人好み。



「もー多恵、聞いてる!?」


「はいはい、聞いてますよ。

彬さんが何だって?」


「聞いてない!」


「あはは」



そうやって、興味なさげな顔を見せるけど。

本当は、彼の事を密かに想っていた。

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