第13話 お前って好きな人いんの?


「今日はお前らの大好きな、期末テストだ、みんな顔引き締めていけよっ!!」


 あれから、三日後の火曜日。

 ついに因縁の期末テストがやって来た。

 期末テストは計四日行われる。


「ああ、始まっちまったよ! 俺らの因縁のテストが!!」


 朝のHRが終わると、蓮は教科書をめくりながら俺に愚痴をこぼす。


「まあな、でも考えてみろ、期末テストが終われば夏休みが待っているんだぜ!」

「あ、そうか! 夏休みか! 夏休みが来るんだ! いやっほーい!」


 俺が蓮にそういうと、彼はその場ではしゃぎ始めた。

「あなたね、夏休みに浮かれるのもいいけど、今はテストに集中しなさいよ」


 そんな俺と蓮のところに恵花さんがやって来て呆れたように言った。


「そ、そうだな、テストに集中しなきゃだな!」


 蓮は恵花さんの言葉を聞いて自分で自分の顔を叩いて、集中した姿勢を見せた。


 ***


 期末テスト二日目が終わった日の夜。

 俺はベットに寝っ転がりながら、恵花さんと通話をしていた。


「いや〜今日もテストが終わった」

「お疲れ様ね」

「恵花さんもお疲れ様」

「今日のテスト難しくなかったかしら?」 


「うん、マジで応用問題難しくて、苦戦したよ、はは、蓮なんかテスト終わって絶望してたよ」

「うふふ、あのテストは蓮にはかなりきついと思うわ!」


 俺はベッドに寝っ転がったためか唐突に眠気が襲ってくる。


「俺今からテストが帰ってくるのが怖い」

「うふふ、まあ、終わってしまったものは仕方ないし、なるようになるしかないわね」


「それもそうだね」


 俺は眠気がすごかったので、恵花さんに告げる。


「それじゃあ俺もう寝るよ、明日もテスト頑張ろうね!」

「うん、無事にテスト乗り越えましょう!! それじゃあ、おやすみ……純人」


「お、おやすみ……恵花さん? 今俺のこと名前で、純人って——」


 俺が名前呼びの件で彼女に質問しようとすると、途中で通話を切られた。

 確かに恵花さん、俺のこと純人って言ったよな?

 いや? 俺の気のせいだったかな?


 ***


 そして、それから二日が経過し、一年一学期期末テストが終了した。


「えへっへ〜ん! やっと終わったよ〜奈々!」

「もう、分かったから泣かないの〜」


 テストが終わった嬉しさなのか、高崎さんが大泣きしながら恵花さんに抱きつく。

 それに対し、恵花さんは高崎さんの頭をヨシヨシとなでる。


 クラスのアイドル二人が至近距離でイチャイチャしているのを目の当たりにして、俺を含めクラスのみんなはその眩しさに目を若干やられていた。

 す、すごい……この二人めちゃくちゃ眩しい。

 すごく尊い。


「すみっと〜〜! やっと終わったよ〜純人〜!」


 おい、まさかお前か……。

 俺がクラスのアイドル二人の微笑ましいシーンを目撃して、お腹いっぱいになっていると、蓮が俺に抱きついてきた。しかも高崎さんと同じく泣きながら。


「俺も、穂乃果みたいに頭ヨシヨシされたい〜」

「するか〜!!」


「ええ〜! なんでよ〜泣いている幼馴染の頼みだよ〜!」

「嫌だ! 絶対に!!」


 こんなとこ恵花さんに見られたら、絶対にからかわれるようなことを言われるに違いない。


「けちだな! まあ、そういうところがお前らしいんだけど! 話変わるが、夏休みなんだけどよ、どこが遊びに行こうぜ!!」

「え? いいけど、具体的にはどこに?」

「うーん、プールとか? 海とか? プールとか?」


「お前めちゃくちゃ泳ぐ気満々じゃん」

「あはは! そりゃそうだろ! 俺泳ぐの大好きだもん!」


 そういや、こいつ泳ぐの大好きだったな。

 俺も小学生の時よく、プールに行こうぜって誘われたな。


「まあ、プールにしろ海に行くにしろ、どこに行きたいか決まったら連絡くれ!」

「おう! 連絡するわ!」


 蓮と話が一段落したため、俺は別の話題を蓮に持ちかけることに。

 長年俺が気になっていたことだ。


「お前ってさ好きな人といんの?」

「……いきなりどうした!?」


 俺が真面目な顔をして、蓮に問いかけると、彼はめちゃくちゃびっくりしたような顔をしていた。


「いきなりどうしたって言われてもな、ただ単に気になっただけだ……ほら、お前モテるだろ? だから好きな人いるのかなって……」

「ま、まあいるけどよ……」


「それってどんな人だ?」

 俺はゲームでのレアモンスターを恵花さんから譲り受けるため、高崎さんに蓮と付き合えるように協力している。


 だから、ここは蓮に好きな人がいるのか、いた場合誰が好きなのかを聞いておきたい。


 もちろん、高崎さんや恵花さんなどに話すことはしない。

 俺はそんなことを考えていると、一つ重大なことに気づいた。


 もし蓮が恵花さんのこと好きって言ったら俺はどっちを応援すればいいんだろう……。

「ま、まあ……お前には話してもいいか……ちょっと耳貸して」

「お、おう……」


「女子バスケ部の先輩の——」

「蓮くんと間遠くん二人でこそこそ何してんの〜?? 私も混ぜて!!」


 すると、ここでまさかの高崎さん登場。

 蓮は俺に途中まで言いかけて、顔を真っ赤にして俺から距離をとった。


 女子バスケ部の先輩まで聞こえたが、その後聞き

取れなかった、というか聞く前に高崎さんが話しかけてきて中断されたとする方が正しい。

「あ、えーとな! テスト疲れたなって話をしてたんだ〜!」

「そうなんだ〜! 蓮くんテストお疲れ様!」


「おう! 穂乃果もお疲れ様〜!!」


 女子バスケの先輩ということは、まず女子バスケに入っていない、恵花さんと高崎さんは対象外ということか。


「間遠くんもお疲れ様〜!」

「お、お疲れ」


 すると、高崎さんは笑顔で俺の手をいきなり握ってきた。


「間遠くんのおかげでテスト乗り切れたよ! 本当にありがとう!!」

「いや、その……ど、どういたしまして」


 高崎さんの手すごい柔らかいな。

 とかいう感想は今はいい、とにかくこの人は本当に距離感がバグっている。


 俺は笑顔で笑う高崎さんの後ろや俺の後ろから、男子たちの嫉妬とも取れる視線を肌で感じて戦慄する。


「ちょっと……間遠くんなにしてんの?」

 そんな時、恵花さんが手を握り合う、俺と高崎さんのところに参上した。


「なにって、高崎さんと話してるだけだけど」

「それにしては随分とまあ、デレデレしてるのね、顔をトマトにみたいに真っ赤にして、しかも手を握り合っちゃったしさ」


 恵花さんが若干怒ってるような声質で俺に言い放つと、高崎さんが謝罪の言葉を口にする。


「あ、ごめん……ついつい、テストが終わったことがその、嬉しくなっちゃって間遠くんの手握っちゃった……」

「間遠くんもごめんね、嫌だったよね急に手を握られて……」


 こんな美少女にいきなり手を握られて、嫌だなんて答える人間はこの世にはいないはずだ。

 彼女持ちの人間、既婚者を除いて。


「あ、いや……高崎さんに手を握られるのは、別に嫌ってわけじゃ——」


 すると、足に思いっきり何かを重いものが落ちたような衝撃が走った。

 俺は今、恵花さんに思いっきり足を踏みつけられた。


「いた、何するんだよいきなり」

「さあ? 穂乃果私、急に購買に売っているパンが食べたくなったのよ〜一緒に買いに行きましょ?」

「え? うん、分かった行こう!!」


 恵花さんは高崎さんを連れて教室を出て行った。

 俺はまだ右足の痛みが無くならなかったので、恵花さんは相当俺の足を強く踏んだのだと思った。


 すると、俺のスマホがメッセージを受信した。

(なな) ばか!

 なんでキレてるんだよ恵花さんは。

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