第31話 映画館で理不尽に怒ってくるおじさん

 現代、現代、映画館でイチャイチャしているカップルが居たそうな。


「ハウスダストを格安で転売してる映画、意外と面白いね」


「そうですわよね白鳥さん! 掃除機が定期的に襲ってきたり、スリル満点ですわ!」


「まさかハウスダストが主役とか、最初はつまらないだろうなって思ってたのに」


「きゃー、わたくしもハウスダストになりたいですわ〜!」


 すると隣にいたおじさんが百合カップルに『あの、ここ映画館だから静かに』と注意してきました。


 それを聞いて反省したのか、黙って映画を観るようになった百合カップル。すると、さっき注意したおじさんの携帯が鳴り始めました。


 おじさんはあろうことか携帯を手に取り、電話に出ました。


「はい、大丈夫です。借金の件はすみませんでした。はい、そうです。その件は墓場まで持っていくつもりなのではい。すみませんでした」


 電話を切るおじさん。するとおじさんは再度、百合カップルに向かってこんなことを言い始めた。


「ちょっと映画館では静かにしてくれませんか? 非常識ですよ。百合カップルだから非常識なんでしょうな。非常識な親に育てられたから百合カップルになったのだろうね!」


「百合カップルの偏見すごいですわね……」


「百合? ゆ、百合……百合カップルの偏見がなんですか? 偏見の非常識が映画館でイチャイチャしてるんですか? ありえないですよ。全くどんだけ非常識……」


 すると再び、おじさんの携帯から着メロが流れ始める。


「はいもしもし。あっ、先程の件は誠に申し訳ありませんでした。はい、墓場まで持っていくので安心してお金を貸してください。はい、申し訳ありませんでした。はい、すみません。失礼します」


 おじさんはぼそっと『話が弾んじゃったな。仲良くなれたかもしれない』と呟く。


 それに八乙女あやのは『ほぼ相槌ではありませんでしたか?』と疑問を呈した。


 その言葉にカチンと来たのか『映画館は静かにって言ってるじゃないですか! 物分かりが悪い子だな。百合カップルだからですか?』と言葉の応酬。


 こうして八乙女あやのとおじさんの全面戦争が幕を開けたのだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る