場面2 のこお姉さまへの尋問

〔ともはっとの通報で、愛媛県警が浄瑠璃寺に駆け付ける。捜査の指揮を執るのは、捜査一課のベテラン、八十八騎とどろき警部だ。八十八騎警部が浄瑠璃寺の本堂に関係者を集めて、尋問を始める。〕


八十八騎警部「運転免許証から、被害者は坂佐仁さかさに 幾三いくぞうさん、郁乃いくのさんご夫婦と判明しました。坂佐仁さんご夫婦は、青い乗用車に乗って、逆打さかうちで、四国八十八ヶ所を廻っていました。で、被害者を発見したのは、そちらの白い乗用車のご夫婦ですね?」


遠乗とうのり 勝三かつぞう「へい。ワテらでんねん。遠乗 勝三と凛子りんこです。ワテらは、こちらのご夫婦(花京院夫婦を指さす)よりも速く四国八十八ヶ所を廻ることを生きがいにしてますねん。で、いつものように・・こちらのご夫婦(花京院夫婦を指さす)よりも早くこの浄瑠璃寺にやってきたんですわ・・どへへへへへ・・あんたら(花京院夫婦を指さす)、遅いもんなぁ・・どへへへへへ」


キヨっちゃん「ぬぁにお~! 言わせておけば・・お前らが速ぎるんじゃ、ボケェェェ」


依道「キヨっちゃん、やめなさいよ。恥ずかしいわねぇ・・」


キヨっちゃん「しっかし、遠乗 勝三だってぇ・・遠乗りに勝つぞう・・って、何て名前やねん! こりゃ、ビックらこいた、屁をこいた、ぶぅぅぅぅぅ!」


のこ「うちの真似すんな、ボケェェェ」


遠乗 勝三「放っといてんか、ボケェェェ」


八十八騎警部「まあまあ、お遍路ラリーの喧嘩は後でしてください。で、遠乗さん、続けてください」


遠乗 凛子「私らが車を降りたら、被害者の坂佐仁さんご夫婦が青い車の前に立っていました。そこへ、この人(のこを指さす)がやって来て、坂佐仁さんご夫婦と口論になったんです」


八十八騎警部「あなたは、この美のこさんでしたね。それは本当ですか?」


のこ「本当でんねん。てか、なんで、私まで大阪弁なのよ! 私・・ちょっとしたことで、坂佐仁さんご夫婦と口論になってしまいました」


キヨっちゃん「口論! どへええええ! こりゃ、ビックらこいた、屁をこいた、ぶぅぅぅぅぅ! ほな、この姉ちゃんが犯人やんか!」


のこ「犯人とちゃうわい。うちの真似すんな、ボケェェェ」


八十八騎警部「まあまあ・・のこさん、坂佐仁さんご夫婦と、どうして口論になったのですか?」


のこ「私、昆虫が大好きなんです。で、ツマジロスカシマダラという蝶のヘアーアクセサリーで髪を止めて歩いていたら、坂佐仁さんご夫婦が、つまらない蝶だと言って笑ったんです。それで口論になってしまいました」


おちゃま「つまらない蝶ですって・・ちょうですか!」


キヨっちゃん「ツマジロスカシマダラだってぇ! どへええええ! こりゃ、ビックらこいた、屁をこいた、ぶぅぅぅぅぅ!」


依道「キヨっちゃん、知ってるの?」


キヨっちゃん「いや知らんねん」


依道「どへええええ! こりゃ、ビックらこいた、屁をこいた、ぶぅぅぅぅぅ!」


のこ「あんたら夫婦で、うちの真似すんな、ボケェェェ」


八十八騎警部「皆さん、本堂であまり屁をこかないように・・その蝶のヘアーアクセサリーはありますか?」


のこ「私・・腹が立ったので・・捨てちゃいましたぁ。どこに捨てたか、覚えてまっしぇん」


八十八騎警部「ふ~む・・で、口論になって・・それから、のこさんはどうしましたか?」


のこ「5分ほど口論して・・私、坂佐仁さんご夫婦と別れて・・一人で納経所へ行きました」


八十八騎警部「遠乗さん。今の、この美のこさんのお話に間違いはありませんか?」


遠乗 勝三「ええ、この姉ちゃんは、5分ほどして向こうに行ってしまいました。そして、次にこの人(おちゃまを指さす)がやって来て、坂佐仁さんご夫婦と口論になったんです」


ともはっと「(絵を描きながら)ああ、屁の絵は難しい・・」

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