第8話
今日はいつもと違う場所に回収に行くことになった。
普段オレが担当してるのは街中とか病院とか、まぁ人が普通に生活してる場所。
でも今日の目的地は、山奥の古びた神社。
「……なんか、やな感じすんな」
オレはローブをはためかせながら、朽ちかけた鳥居の前に降り立つ。
あちこち苔むしてて、木々が鬱蒼と生い茂り、夕方しかも日が落ちる寸前。
そのせいもあって雰囲気は完全にホラー。
「マジかよ、こんなとこで死ぬなよ……」
ボヤきながら境内に足を踏み入れる。
すでに、ここに魂がいるのはわかってる。
ただ…なんか、妙に不安定な気配がするんだよな。
普通の魂ってのは、死んだ直後は多少フラついてても、ある程度時間が経てば落ち着くもんだ。
でも、ここにいるヤツは……なんつーか、グラグラしてる。
まるで、こっちに来るのを拒んでるみてぇに。
「……おい、いるのは分かってんぞ」
境内の奥、崩れかけた拝殿の前。
そこに、一つの人影が立っていた。
……女か?細身のシルエット。
けど、その姿はぼんやりと揺れていて、普通の魂とはどこか違う。
「なぁ、お前……」
オレが声をかけた瞬間――。
ぞわっと、空気が変わった。
次の瞬間、女の周りに黒い靄が広がり始める。
やべぇ。
コイツ、悪霊になりかけてる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます