第18話

1人取り残されて、何故か急に心許ない感覚に陥る。


…何よ。




「…本当に何ひとつ、巧くいかないじゃない」




ぽつりと呟いた独白は、風に攫われて搔き消える。


自身の栗色の髪が視界を泳いで、なんだか揺れ落ちているみたいだった。


目の前を通りがかるカップルは、みんな笑顔で言葉を交わしている。


私みたいに、相手を変えようと躍起になってる人なんていない。


やっぱり私と仙太郎で恋愛なんて、端から無理だったんじゃないかしら。


所詮は主従関係から抜けられない。


だって仙太郎の中に、そこから抜ける意思がまるで無い。


そこまで考えて、どうしてかふと長い黒髪を揺らす“あの子”の姿が脳裏を過った。


“あの子”なら、もっと巧くできるのかしら。


もう顔を見ることもない、私の元婚約者様とでも。




「……そもそも、あの子達は主従じゃないものね」




喉の奥が熱くなって、膝の上に置いた両の手をぎゅっと握る。


涙なんて、絶対落としたりしない。


だって、私は。




「お嬢様」




ふっと目の前に影ができて、頭上から聞き慣れた声が降ってくる。


ゆるりと顔を上げれば仙太郎と目が合って、「泣いてないですね」なんて言うものだからその頬を引っ掻いてやりたい衝動に駆られた。

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