第108話

確実にスバルとカナデなんて、おちょくってるだけでしょうが!




「わ、たし帰るっ!忙しいし!すごい忙しいしっ!」




一刻も早くこの空間から脱出したい!!




「ってことでじゃあね!あ、傷の手当てちゃんとしてね!」




突っ立っていたリョウの腕を引っ掴んで、早々に部屋から抜け出す。


バタバタと校内を駆けて、早々に校門を潜り抜けた。



そこでやっと、リョウの腕を掴んでいたことを思い出す。





「あっ、ごめんなさい!急いで脱出したかったもんだから」



「あー、いや...。別にいい。行くぞ、ブス」




珍しく歯切れの悪いリョウを不思議に思いながら、足を進める彼の後ろについて歩く。


今日も日の光に透けて、彼の髪はキラキラと輝いていた。



彼との登下校は基本的に無言で。


それはいつものことなんだけど、なんだか彼の様子がいつもと違う気がする。


私の思い過ごしかもしれないけれど。





「...なぁ」




一人もんもんと考えていたら、前を歩いているリョウが振り向かずにそのまま口を開いた。





「なに?」




髪が風に乗って視界を遮る。


流石に邪魔な長さになってきた。


そろそろ切ろうかな、なんて頭の片隅で思いながら彼の声に耳を傾ける。

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