【第2話】キクローが歌う(#KI.crow)

キクロー(KI.crow)は、歌の上手な、黄色いマントを着流すカラス。クチバシで短くリズムを取るのが上手で、ステージでスポットライトを浴びる事が大好きなイカしたカラス。たまに繁華街に出向いて行ってはきらびやかなライトの前で、リズムを取っているのを見かける事がある。タクローズ(TA.crows)のボーカルを務める、そんなご機嫌なヤツだ。


そんなご機嫌なキクローだが〜

いつものように、ビルの裏手で歌ってると、

手をたたいて喜んでいる男がいた。



「うん!… 誰やアイツ?」



◯唯一のファン

「なんやアイツ?」

「俺の歌でリズムとってるぜ」



男は路地裏の電信柱の前で、気分良く小さな声で歌っていた。普通なら、イッちゃてるって言われる類いの人間だが、ちょっとヤツは違う感じだな。


「おい!カラス聞いてるかよ?」

「オマエいいリズムしてるな!」


少し赤ら顔してる男。どこの誰かは知らないけど、まあ悪い奴では無さそうだな。キクローはいつも路地裏で、御決まりの電信柱のテッペンで、金属部分をくちばしで叩いていた。


「コツーン、ココッツツーン、コココ、ココッツツーン」


「…………(^。^)………」



◯路地裏のモツ焼

男は昼間っから馴染みの店で飲んでいた。今日もカウンターは常連に取られているので、隅っこのビールケースの上にモツ焼を並べていた。


「マサさん〜豚バラ焼けたよ」


奥からおかみさんの元気のいい声が響いて来た。



「アンタ!

またカラス見てたのかい?

好きだねぇ〜」


「もう追っ払ってくれるっ」



マサさんは聞いてるフリして殆んど聞いてなかった。自分が好きなリズムなんてそうあるもんじゃない。冷たくなったシロモツを右手に持ちながら、常温のワンカップを飲んでいた…



〜マサさんて言うのか!


いい奴じゃないの〜


……… (^∇^)………



〜キクローはしばらく

路地裏の屋根上にいた〜

路地裏の何とも言えない

ザワザワを楽しむように。


そして、

そこからビルの隙間を上手にぬけて…

森のねぐらに帰って行った〜


しだいに街並みは

色とりどりのネオンに

染まっていった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る