君はどこまで耐えられるか?どんどん読みづらくなる異世界ファンタジー小説

暮寝イド

インフレ異世界転生

 森の中で、俺は目覚めた。


「……どこだここ?」


 記憶を探る。

 いつも通り出社して、虚無のような仕事をこなし、深夜に帰宅した……はずだ。

 いや……違う。帰宅はできなかった。気が遠くなって、倒れて、それ以降の記憶はない。

 とすると、まさか……?

 半信半疑で言ってみる。


「……ステータス」


 視界に、文字と数字が浮かび上がった。

 名前、レベル、その他色々な項目が並んだステータス画面。

 名前は、コレジツ・ケンサク。そのままだ。レベルは……


999(最大値)


999!?


「まじか……やった……!」


 いわゆる、異世界転生だ。クソみたいな現実から、異世界に生まれ変わったんだ!しかもいきなり最高レベルのチート状態で!


「いやっほー!」


 テンションが上がって、走り出す。身体が軽い。これがレベル999の力か!

 木漏れ日が俺を祝福するかのように温かい。新しい人生の始まりだ!


 その時。


「キャー!」


 悲鳴。

 女性の悲鳴だ。


 木の陰から覗き込むと……なんだあれは?フードを被った女性が……40人くらいのおっさんに囲まれている。

 いや、多すぎるだろ!


「ぐへへへ、俺達と遊ぼうぜえ」

「や、やめてください……」


 どっちに味方するべきか、そんなのは決まり切っている。


「ちょっとちょっと、おじさんたち!」

「ああん!?」


 数十人の強面おっさんたちが一斉に振り向く。さすがに威圧感あるな……

 気圧されそうになりつつも、俺は余裕な態度を見せつける。


「女の子に集団で迫るなんて、マナーがなってないんじゃないの?」

「なんだてめぇは!?いきなり出てきやがって……」

「名乗るほどのもんじゃないよ。ただの、レベル999の男さ」


 一度言ってみたかったセリフだ。俺の言葉を聞いたおっさんたちは、顔を見合わせる。


「レベル999?」

「こいつ999って言ったぞ」

「聞き間違いじゃないのか?」


 どうやら信じられないご様子。女性も心配そうにこちらを伺っている。

 と、おっさん代表らしき一人がこちらに歩み寄ってきた。


「いいか若えの。悪いことは言わねえから早く帰れ。でないと死ぬぞ」


 ……は?


「な、何言ってんの?」

「知らねえのか?この辺りに出る魔物の平均レベルは15万だ」


 ……は?


「は?」

「俺達の平均レベルは50万だ」

「嬢ちゃん、あんたレベルいくつだ?」

「ご、53万です……」


 おっさん達より高いのかよ。

 いや、ていうか!


「俺、弱いじゃん!」

「そうだよ」

「だな」

「ですね」

「若えの、999なんてありえねえんだ。レベルってのは普通1万ずつ上がるもんなんだよ」


 なんだそのシステム!


「す、ステータス!」


 何か、何か見落としてるはずだ。と、俺の目が『スキル』という項目を捉えた。

 こ、これだ!


 開くとそこには、一つだけ。


【レベル5即死】……いかなる相手でも、レベルが5の倍数なら即死させる

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