第28話 デートをする5

 セレナちゃんを一人置いておくのは気が引けたが、お土産を一人で見に来ていた。色々なお土産があった。さっき食べた氷結レモンゼリーやルナピーチゼリーもあった。他にも氷結レモンを使ったプリン、ルナピーチを使ったプリンなど、いろいろなものがあった。食べ物ではなく、ここにもチャームがあった。エルフのチャームもあったのだ。さらに驚くべきことに、魔族のチャームもあったのだ。魔法学校に襲撃に来た魔族のチャーム、謎の3姉妹のサキュバスのチャーム。妙に謎のサキュバス3姉妹のチャームが気になる。1つずつ買おうかな。


 そう考えてると、セレナちゃんが来た。

「もう大丈夫だよー。甘いものはつい食べすぎちゃうね。ところで、何か気になったお土産あった?」

「氷結レモンプリンとエーテルベリープリンが気になる。あと、錬金術のお店にもあったこの謎のサキュバス3姉妹が気になるんだ。」

「氷結レモンゼリーとかエーテルベリーアイスおいしかったもんね! プリンも気になるよね。謎のサキュバス3姉妹は格好がえっちだからほしいのかな? ヴェスの変態!」

「氷結レモンプリンとエーテルベリープリン買って帰ろう。別にえっちだからってわけじゃないよ。なんとなくかな?」


 エッチな衣装大好きですなんて言えなかった…。さすがにセレナちゃんの前ではそんなこと言えない…。

「ほんとかなー?」

「ほんとだよ!」

「じゃあそれも買いなよ!」

「わかった!」


 そうして俺たちは、氷結レモンプリンとエーテルベリープリン、エルフのチャーム、謎のサキュバス3姉妹のチャームを買って果樹園を後にした。


「次はどこ行くの?」

「次はちょっと歩くよ。」

「そういえば、もうお昼だいぶ過ぎちゃったけど、お昼ご飯食べてなかったね。」

「でもセレナちゃんはお腹いっぱいでしょ?」

「まぁ、そうだね。でも、デザートならまだ食べられるかも!」

「まぁ、しばらく歩くから、またお腹すいちゃうかもね。」


 そして、数十分歩き、屋台に着いた。やはり、いつ来ても思う。日本のような屋台というよりは、どちらかというと東南アジアとか台湾みたいな屋台に近い気がする。そう考えてると、セレナちゃんがうれしそうに言った。


「うわー、すごいいい匂いだね。またお腹がすいてきちゃうよ! 甘いものはないのかな?」

「はいはい、甘いものね! 探すから待ってて。ほんとセレナちゃんは甘いもの好きだね。」

「うん! 私は甘いもの大好きだよ! 甘いものは別腹だよ!」

「あ、あったよ。パイナップルケーキだって! まだお腹いっぱいじゃないの?」

「さっきも言ったけど、甘いものは別腹だからね。それに少し歩いたから、まだ食べられるよ!」

「じゃあ、パイナップルケーキ食べよう!」


「これがパイナップルケーキ? 意外に小さいね。」

「そうだね! でもおいしそう!」


 前世で父親が台湾でお土産に買ってきた土鳳梨酥トゥーフォーリンスーに似てる! ただ、前世で食べたのは小さい時すぎてどんな味かは忘れたけど…。でも、台湾のお土産ってことは覚えてる。セレナちゃんは日本から転生してきた人だし、もしかして台湾から転生してきた人もいるのかな。


「よし、買って食べよう!」

「おー!」


 セレナちゃんはやはり食べる前にお祈りをしていた。

「セレナちゃんどう? パイナップルの味がして生地が卵の味がしておいしい!」

 なるほど確かに、中のパイナップルが水分を飛ばした感じでこれはこれでおいしいし、生地の卵感もあってなかなか美味だ。

「セレナちゃん、パイナップルケーキ美味しいね!」

「私、これ結構好きかも!」

「セレナちゃんは甘いものなら何でも好きなんじゃないの!?」

「えー、そんなことないよ! でも、甘いものはだいたい好きだけどね!」

「セレナちゃんってすごいおいしそうにお菓子とかご飯とか食べるよね。」

「だってこの世界の食べ物美味しいんだもん!」

「エルフの世界は食べ物美味しくなかったの?」

「おいしいものもあったけどね。でも、この世界の食べ物の方が好きかも! 人間だった記憶の時に好きだったものがここには多いからね!」

「人間だった時の好きなものって?」

「そりゃあ、甘いものだよ!」

「そっか、人間だった時も甘いもの好きだったんだ! まぁ、そうだよね。前世の記憶のまま新しい人生を歩むんだもんね!」

「そういうことだよ、少年! だから、もっと甘いもの食べよう!見て見て! かき氷もあるよ!」

「ほんとだ! おいしそうだね! セレナちゃんは、人間で日本にいた頃もかき氷食べてたの?」

「そうだね。私はブルーハワイが好きだったかな。さわやかな味だし、色が綺麗だし、好きだったよ。」

「それって厳密に言えば香料の違いだよね。」

「あー、それは言わないお約束だよ!」

「あ、ごめんごめん。」

「でも、本当にセレナちゃんとデートできて幸せだよ。前世でも出会いたかったなって思っちゃった。あ、」

「どうしたの? 前世の記憶があるってこと?」

「信じないだろうけど、そうなんだ…。」

「え? ほんと? 私と同じだね!」

「うん!仲間だね!」

「私以外に前世の記憶がある人がいるなんて…びっくり! それもヴェスだなんて!」

「そうだね! 前世で会ってたらどんな感じだったんだろうね。でも、今世でセレナちゃんと会えたから、僕はそれで幸せだよ!」

「ありがとう! 嬉しいこと言ってくれるね。私もヴェスと出会えて幸せだよ!」

「ちょっと暗くなってきたね。次はどうする?」

「ルナヴィア川行かない? セレナちゃん行ったことないんでしょ?」

「うん! 行ってみたい!」


 そうして俺たちはルナヴィア川に向かった。



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