第26話 デートをする3

「セレナちゃん、気になるものある?」

「チャームとかどう? いろいろなのがあるよ。」

「エルフのチャームとかあるよ! セレナちゃんみたいで可愛いね!」

「可愛いとか言われると照れるじゃない…。」


 魔族のチャームもある…これは賛否両論ありそうだ。この前の学校の襲撃に現れたグラマーな魔族のチャームか。あとは、青白い肌のサキュバスのようなエッチな衣装の三姉妹の魔族みたいなチャームもあるな…。魔族をチャームにするって、いったい誰が考えたんだろう…。まぁ、売れればいいのだろうか。


「どれか買おうかな? ヴェスはどれが気になる?」

「大賢神様のチャームも気になるけど、やっぱりエルフのチャームかな!」

「私もこれが欲しい! これもおそろいで買おっか。」

「うん!」

「すみません。このエルフのチャームくださいー。あと、サキュバスみたいな3姉妹のチャームも一つずつ。」

「まいどありー。」

「ヴェスはやっぱりこういうの好きなんだね…。男の子だもんね。」

「うん…。」



 なるほど…。あのおじいさん、俺たちがおそろいで何か買うことを見込んで、「店の中見てきなさい」と言ったのか…。一本取られたな。でも、セレナちゃんとおそろいは楽しいから、これはこれでいいや。


 そして、どうやら錬金釜で煮込むのが終わったようだ。

 次の工程は濾過ろかだ。濾過はスムーズに終わった。難しいかと思っていたけど、意外と簡単だった。

 これでポーション作りは完成だ。あとは瓶に入れるだけだ。


「ほんとは、瓶に入れる前にポーションを冷やすために少し待つんだが、冷えるのに時間がかかるから、うちではワシが魔法で冷やしてるんだ。それでもいいかい?」

「はい! それで大丈夫です。」

 そうして、ポーションが冷えた。


 最後に瓶にポーションを入れる作業だ。色々なポーション用の瓶がある。種類が多すぎて迷ってしまう。

「セレナちゃん、気になった瓶はある?」

「そうだね。種類が多すぎて選びきれないね。こういう時、ヴェスが選んでくれるんでしょ?」

「いいよ。選んで進めよう。そうだ、この変わった形のハート型の瓶とかどう?」

 ポーションを入れる部分がハート型になっていて、蓋の部分が緑色だ。

「ハートでおそろいはほんとにカップルっぽくて恥ずかしいけど、ヴェスが選んだこのハート型の瓶にしよ!」

「じゃあ決まりだね。この瓶にします。」

「はいよ。じゃあ入れてごらん。」

「うまく入るかな?」


 セレナちゃんはそう言い、真剣な表情で瓶にポーションを入れる。

「大丈夫だよ!」

「何とか入ったー! ヴェスも入れられた?」

「うん! 無事入れられたよ。」


 すると、おじいさんが補足するように言った。

「今回作ったポーションは、結構高価なものだから、いざという時に相手に飲ませるといいよ。それまで大事にね。」

「わかりました。大事にします!」

「ヴェス、なくしちゃダメだよ。いざという時に取っとくんだからね。」

「セレナちゃん、なくさないように大事にするね!」


「お二人さん、カップルでしょう。わしも若いころは、妻と色々出かけたもんじゃよ。わしも若いころを思い出すなぁ。ぜひ、いいデートにしなさいな。」

「ありがとうございます!」

 と、セレナちゃんが元気よく言った。


「おそろいの色のミニポーションもあげよう。このポーションは長期保存できるもので、インテリアにもいいよ。」

「これもヴェスとおそろいだね!」

「うん! いい色だ。今日の楽しさを色にしたみたいだ。」

「ヴェス、いいこと言うね~。」

「うん! さすがヴェス!」

「ありがとう! ちょっと照れるな~。」


 このポーション、七色に光ってるし、何ていうポーションなんだろう…。今度、姉に聞いてみよう。それにしても、おじいさん、グッジョブだ。


 こうして俺たちは、おじいさんに感謝しつつ、錬金術のお店を後にした。



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