降りてきたおばあちゃん
愛果の祖母95歳
老衰の為天国へ旅立った
…………………
小学校の頃、おばあちゃんは愛果が病気になると来てくれていた
母は仕事が忙しく休めなかったからだ
愛果が就職してからも時々おじさんに送迎してもらい遊びに来ていた
おばあちゃんが腰を悪くして入院してからは歩けなくなった
1人で住むのは難しいと判断して
母の家で同居する事になった
昼間におばあちゃん1人なのは心配だからヘルパーさんに来てもらう事になった
おばあちゃんが加わり新たな生活が始まった
始まってみるとこれがけっこう大変だった
ヘルパーさんを嫌い、入浴もオムツ交換も拒否
お母さんと愛果は困っていた
「おばあちゃん、お風呂なんで嫌なの?」
「お風呂は入りたいけど疲れるんだよ、湯船つかれないし」
「それなら、訪問入浴あるよ
湯船につかれるよ?それならどう?試してみてイヤならやめればいいよ」
「ん~愛果がいうなら試してみるか」
すぐに訪問入浴の手配をした
これがおばあちゃんには良かったようで嫌がらずに入ってくれた
愛果達は胸を撫で下ろした
順調だと思えたころ
おばあちゃんはまた腰を痛めてしまい病院に行ったが入院はできず
薬をもらい帰宅した
お母さんは風邪を引いていた
変わりに家事を愛果がやり2人を休ませて自宅に戻った
帰るとマロンは既にグッスリ寝ていた
明日、早く起きるからもう寝ようと就寝した
次の日の早朝
ドンドンドンドン
愛果、起きてと焦った母の声がした
飛び起きて玄関を開けると、母がおばあちゃんが冷たくなってると焦っていた
マロンもトコトコと出てきた
母と急いで実家に戻った
すぐ救急に電話をして状況を説明した
数分で救急車が到着し病院へ、死亡が確認された
皆に連絡を入れた
お母さんは風邪で体が辛そうだった
「お母さんここで風邪診てもらって薬もらっちゃいな」と愛果は伝えた
母は内科で診察してもらうことになった
今後のことはおじさんがやってくれると言ってくれたので任せた
待合室で母を待って2時間………
なかなか戻って来ない
受付で診察に入ったまま2時間位出てこないんです、と尋ねた。
こちらですと案内された
処置室に入ると点滴をしていた
医師が来て、かなり疲労がたまっていて脱水だったので点滴してます
あと1時間位で終わるのでお待ちくだい
わかりました、ありがとうございますと医師に伝えた
コンコンとドアをノックする音が聞こえ、扉を開けるとおじさんが見に来てくれた
「大丈夫か?」
「疲労と脱水だって、点滴終わったら帰っていいって」
「ゆっくり休ませてやって、おじさん、おばあちゃんの住んでた家をかたしてくるよ おばあちゃん家に帰りたがってたから通夜は家でやって告別式は葬式場でやるよ」
「わかった、日にち決まったら連絡ちょうだいね」
母の点滴が終わり実家に戻り寝かせた
おばあちゃんが使っていた部屋を少し掃除をした
自宅からマロンを連れてきて実家に泊まった
3日後、通夜の日
おばあちゃんを1人に出来ないから誰か1人いないとって話になった
お母さんが私居るわよって言ったが、愛果は止めた
「駄目だよ、風邪治ってないんだから」
「おじさん達が残るから愛果はお母さんよろしくな」
「わかった、ところでおばあちゃんの霊体いないけど?」
「そうなんだよ、いないんだよ」
と話した
お母さんと家に戻り、ご飯とお風呂を済ませ眠りについた
夜中、コンコンコンコンと玄関で聞こえ、愛果と母は目を覚ました
愛果はおばあちゃんこっちに来たんだとわかった
愛果達はまた寝た、次は部屋の中で
コンコンコンコン、和子
愛果達はまた目を覚ます
「おばあちゃん、こっちに戻ってきてよかったの?家帰りたいって言ってたから、おばあちゃん宅におじさん達いるよ」
「愛果、おばあちゃんいるの?」
「お母さんに会いに来たみたいよ、一緒に居たかったんでしょ」
とお母さんに説明した
「来てくれたの?ありがとう。」と伝えると、おばあちゃんはニコリと微笑んで戻って行った
告別式当日
葬儀場に行くと椅子に座っているおばあちゃんがいた
「おじさん、おばあちゃんこっちに来たよ」
「明け方、おじさん達のとこ戻ってきたよ」
…………………
告別式も無事に終わった
「おばあちゃんがあの家に未練はないから和子の家に置いて」と言ってたのをおじさんに伝えた
遺骨はお母さんの家に置かれた
次の朝、リビングに降りると
おばあちゃんがお茶をくれないか
とお母さんに言っていた
「お母さん、おばあちゃんお茶飲みたいって」
「あーお茶ね、居るのはなんとなくわかるけど聞こえないのよね」と言いながらお茶を準備した
美味しいと言いながら飲んでいた
飲み終わると、挨拶周りに行ってくるよと言っていなくなった
「おばあちゃん、挨拶周りに行くって、もう行っちゃった」
「そう、田舎にいっかな」
………………
49日法要と納骨の日
お寺さんに行くと
「あっ、おばあちゃんいた、先に来てたね」
皆が席に着き法要が始まった
愛果の隣に1人の男性が降りてきて座った
誰だろう?と思っているとおばあちゃんもこっちに来て、その男性の隣に座った
「愛果、その男性、お前のおじいちゃんだよ、おばあちゃんを迎えに来たんだよ」
「おじいちゃん?はじめましてだ」
おじいちゃんとおばあちゃんは愛果をみてニコリと笑った
法要も納骨も終わり、食事をしてそれぞれ帰路についた
家に帰り御位牌を仏壇に置いた
おばあちゃん達が現れ、ありがとうねと言い上へあがった
お母さんも上にあがる両親の姿は視えていた
…………………
おばあちゃんが旅立って1年程
愛果は夜勤の仕事は辞めて昼間の仕事に戻った
久しぶりに実家に戻ると
おばあちゃんがおりてきていた
「ただいま」
「おかえり」
「おばあちゃん、おりてきてるけど」
「やっぱり?気配があったから」
治療をしなさい和子と、おばあちゃんは心配そうに伝えていた
ゲホゲホ
「お母さん風邪?病院は?」
「まだ行ってない」
愛果は急いで病院に連れて行った
「お母さん、なんか薬?サプリ?いつも飲んでたよね?お薬手帳は?」
「もってないわ」
「なんてやつ?書かないといけないから」
「胸のとこにできてるオデキの薬飲んでるのよ」
「薬なの?あれ?名前は」
「抗がん剤」
「……………ん?抗がん剤?」
愛果は、えっ?オデキで抗がん剤飲むかな?抗がん剤て癌の薬だよな?と思いながら問診票を平常心を保ちながら書いた
お母さんが診察中に急いで姉にメールを送った
お母さん、抗がん剤飲んでるみたいで、オデキの薬って言ってるけど、オデキで抗がん剤飲まないよね?
「オデキで抗がん剤は飲まないだろう」
「だよね?」
「薬の袋か診察券に病院の名前書いてるから調べて教えて」
「わかった、今お母さん風邪で病院に一緒に来てるから、帰ったら探してみる」
診察が終わり、ご家族の方、中へどうぞと呼ばれて、母は待合室で待った
「医師から◯◯病院に通ってるみたいだね」
「母から何も聞かされてなくて、さっき抗がん剤飲んでるの知りまして」
「今回は風邪だから、お薬出しときますね、お母様と話し合われて下さいね」
「はい、ありがとうございます」
お薬をもらって帰宅し、お母さんを休ませた
おばあちゃん、お母さんの体心配して降りてきたんだねと話しかけると、少し困惑した顔をしていた
次の日
心配したお姉ちゃんが実家にきた
飲み物や消化によい食べ物を持ってきてくれた
お母さんが寝てる間にお姉ちゃんに病院の名前を伝えた
胸にオデキってお母さんが言ってたから、おそらく乳がんかなと推測がついた
お母さんの風邪が治った頃、お姉ちゃんが病院に付きそって詳しい状況を聞こうと作戦をたてた
作戦決行の日
朝、お姉ちゃんが到着
「あれ?どうしたの?お母さんこれから出かけるわよ」
「私も付き添うよ、病院でしょ?」
すると母は愛果をギロっと見て
余計な事言ったわねっと不機嫌になった
「その話はあと、お母さん病院行くよ」と姉が連れて行った
愛果は修行の日だった
「師匠、おはようございます」
「おばあちゃん降りてきてるね
愛果ちゃんが心配みたいだよ」
「私ですか?母ではなく?」
「お母さんの病気の事も心配してるけど、1番は愛果ちゃんだね」
師匠はうんうんとおばあちゃんの話を聞いていた
「自分の人生には満足してるって、でも試練をいくつか残してきてしまって、それを孫が引き継いでる、それが心配だって」
「私はその試練を乗り越えられないですか?」
「乗り越えられない試練は与えないよ、でも孫は可愛いものだから心配で降りてきたんだよ」
そうだったのかと愛果は思った
「おばあちゃんあと数日はいれるみたいだから、孝行してあげて」
ハイと返事をし家に帰った
姉達もちょうど病院から戻った
テーブルに座りお母さんの病状を聞いた
おばあちゃんもテーブルに座っていた
すると姉はガン見していた
「どうしたの?そんなにガン見して」
「お母さんの方のおばあちゃんいる?」
「いるよ、あと数日はいれるみたいよ、それでお母さんのは?」
と話を進めた
結果、細く永く生きましょうってことらしい、現状維持って感じだった
ただ、姉はここの医師が好きじゃないと言っていた
言い方が気に入らないと怒っていた
姉の勧めでセカンドオピニオンを受ける事にした
姉は◯◯病院はけっこうよかったからと話していると、おばあちゃんが、うんうんとうずいていた
姉と愛果は顔を見合せて、ここにしようと言い、すぐに予約をした
2日後、新しい大学病院に受診に来た
詳しい検査が必要になり急遽、入院になった
病棟に移り、愛果はとりあえず結界をはった
明日、必要なもの持ってくるからと伝え帰ることにした
帰り道、子供達連れて少しの間、実家にいようかな?と姉が言った
「いんじゃない?私もお姉ちゃん居てくれると安心だし」
「そーいえば愛果、お父さんに言ったのお母さんの事」
「言ってないよ、お母さん嫌がるかなと、言ったら絶対行くじゃんお見舞いに」
「まぁ、そうだよね」と話していると、お父さん宅の大家さんから連絡が入った
隣の家の方がこの3日くらい姿を見てないと心配して連絡があったと
わかりました、確認してみますと電話を切った
お父さん宅に行くことになった
ピンポーン、コンコン
お父さんいる〜、おと〜さ〜ん
ワンちゃん達がワンワンと鳴き始めた
奥からドタドタと音がし、ガチャとドアが開いた
「いた〜」
「なんだ、どうした?2人揃って」
来た理由を説明した
「いやー腰が痛くて動けなかったんだよ、薬を探してやっと飲んで、少し楽になったんだ」
お父さんの部屋に入ると、珍しく散らかっていた
「愛果、必要なもの買ってくるからかたしといて」
「了解」
「お父さんは横になってて」
犬猫を庭に出して遊ばせて、部屋中をサッサ〜と、かたした
姉が戻ってきた
愛果は犬達にご飯を準備して、姉は人間用のご飯を準備した
皆で食事をして、犬達を風呂に入れて、お父さんの入浴を手伝った
お父さんに明日また来るからと伝えて帰った
姉と話して両親の看病を手分けすることにした
姉はお父さん、愛果はお母さんを見ることにした
次の日、お父さんのとこに姉が行くと、犬の散歩から父が戻って来るとこだった
「大丈夫なの?」
「薬が効いたみたいで治ったよ」
「良かった、作り置きご飯持ってきたから食べて」
少し家にあがり、大丈夫そうだと思い姉は実家に戻った
愛果も実家に戻り、おばあちゃんにお茶をだした
「お父さんもう大丈夫だって、犬の散歩してた」
愛果はホッとしたが、お父さんの事が少し引っかかっていた。
「お母さんの検査明日結果わかるって」
「明日、病院に聞きにいこう」
翌日
3人分のご飯を準備していると
「1人分多いよ?」
「おばあちゃんの分だよ」
「おばあちゃんも食べるの?」
「食べるよ、おばあちゃんが食べ終わったやつ、味が薄くなってるんだよ」
食事を終え、病院に向かった
医師の話を先に聞いてから病室に行く事にした
結果、乳がん末期だと分かり
抗がん剤治療をする事にした
翌日から抗がん剤治療が始まった
通院治療で大丈夫ですよって言われたので、抗がん剤点滴が終わって家に帰ってきた
おばあちゃんはお母さんの治療が始まって安心していた
試練を残してごめんね、和子をよろしくねと言葉を残して上に戻っていった
姉達もおばあちゃんが上に戻ったのがわかった
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