しょうがく2ねんせいのとき きみはいなくなった

タスク

短編です。全部ひらがなです。

 しょうがく 2ねんせいのとき きみは いなくなった

 

 まどをみる。

 みどりの、もようの、かわらをみる。

 こけだ。

 ぼくはゆっくりと、ちかづきたいなと、おもった。

 でもできない。

 あれは、たかい。

 おとなよりも、たかい。

 さみしい。

 こけが、ちかくにきてほしいと、いっているようだ。

 そんなぼく。

 かぜがふく。

 そうおもっていたら、おねえちゃんが、やってきた。

「どうしたの」

 きいてくる。

 ぼくはふつうにこたえた。

「こけがあるんだ」

 そうしたらえりはしを、おもいっきりひっぱる。

 ぼくはなにもできなかった。

 そしてとなりの、でぐちにたたかれた。

 あみどがやぶれた。

 ぼくはあたまを、きょうだして、いしきがなくなった。

 そうしたら、ばばがやってきた。

 ぼくは、あたまをおさえる。

 なにかが、かわったようだ。

 あたりをみる。

 よくわからないけど。

「ぼくはだいじょうぶだよ」

 といって、ばばをみる。

 なんにもおもわない。

「つよいのね」

 ばばは、ほこりをはたいた。

 おねえちゃんは、ちがうへやにいった。

 さいきん、ぼくはゆっくりと、こわいせかいをみる。

 かげのにんぎょうが、ゆかいそうにおどっている。

 ぼくは、つめたいあせをかいた。

 せすじから、ぞくぞくして、つぎのかおを、みてしまう。

「たすけて」

 みんなは、ねている。

 ごにんかぞく。

 だれにも、とどかないこえ。

 だれにも、とどかないこえ。

 しばらくしたら、めのまえが、しろいなにかがみえた。

 たすけてと、こえがきこえる。

 そうして、ふとんをおおいかぶさろうと、みてみた。

 たくさんの、あかいめがみえて、ぷつりとねむった。


 あさおきる。

 きのうのことを、おもいだす。

 なんだ、ただのふとん。

 おかあさんに、なんにもいえない。

 こわかった。

 なにも、しらない、にんげんが、いたなんて。

 かおをあらう。

 ぼくは、ふつうだと、じぶんにいう。

 ないてしまうけど、りこちゃんが、まってる。

 にらむめつき。

 きょうもだいじょうぶ。

 きょうも、おこられて、がっこうにいく。

 なんにもかわらない。

 ぼくは、おもいっきり、おしえようと、けっしんした。

「けんとくん、さいきん、いろんなものが、みえるんだ」

「どんなの」

「めがみえるんだ」

「わからない」

「そうだね」

 ぼくは、なんにもわからない。

 たぶんだけど、けんとくんにも、わからない。

 せんせいに、きいてみよう。

「せんせい、へんなのが、みえる」

「ふつうだよ」

「なんで」

「いま、じぎょうちゅう」

 ぼくは、すわった。

 なんにも、たよれない。

 ぼくは、ねてしまった。

 そうしたら、じゅぎょうが、おわっていた。

 けんとくんが、えほんを、もってくる。

「これじゃない」

「ばけもの」

 ぼくは、ゆっくりと、しられたら、まずいと、わかった。

 もう、どうでもいい。

 なんにもかいけつしない。

 つぎに、だされている、ほんがあった。

「かいけつぞろり」

 ぼくは、そうきく。

「うん、みんなすきなんだって」

「ありがとう」

 よんでみた。

 ちょうど『ようかい』と、かいてあった。

「ようかいだね」

「そうかも」

「こわいね」

「そうだね」

 ほんをよむ。

 ようかいは、おならをだす、にんげんには、なにもしない。

「ありがとう、けんとくん、いいほんだ」

 ぼくは、うんこのような、おならをがまんした。

 まいにち、そうして、いよう。


 まいにち、りこちゃんのえがおが、きになっている。

 ぼくは、がまんしたことを、いった。

「なんでそんなに、かわいいの」

 なんにも、おもわないかも、しれない。

「りこが、すきだからだよ」

 そうじの、ばしょがいっしょ。

 ぼくらは、かたつむりを、みつける。

「けっこんって、どうするの」

「こうするの」

 りこちゃんは、かたつむりどうしを、くっつけた。

 ぼくは、わらってしまった。

「りこはね」

 もぞもぞ、ささやく。

「おんなのこ」

 だきつく。

 ぼくはどうしたらいいのか、わからない。

 りこちゃんの、においがする。

 すっぱい、いいにおいがする。

 ぼくは、どきりとした。

 いいにおいが、したからだ。

 そのときから、こんなはなしをする。

「げいのうじんだと、だれがすきなの」

「げいのうじんって」

「テレビで、でてくるひと」

「ぼくは、わからない」

「なんで」

「みれないからだよ」

「なんで」

「おとうさんが、てんきよほうをみているから」

「いっしょに、みないの」

「みれないんだよ」

 そうして、そうじじかんが、おわった。

 ぼくは、はなせたことを、うれしくおもった。

 けっこんしたら、ああなるのかな。

 えがおがでる。

 りこがいう。

「なんでわらっているの」

「みらいが、わかったからだよ」

 りこちゃんが、おこっている。

 ぼくは、いっしょに、きょうしつにはいった。


 からすが、なく。

 ぼくはとうげこう。

 りこちゃんとは、はんたいがわだ。

 かなしかった。

 だからまえを、むいてあるく。

「だいじょうぶだ」

 とちゅうのおはかに、おおごえでいった。

 ぼくは、りこちゃんをかんじる。

 だいじょうぶだ。

 ぼくは、てんから、きいた。

 あるいている。

 とちゅうにささやきこえ、あたまでかんがえる。

『にんげんのせかいは、3つある』

『そうなんだ』

『てんごく、げんじつ、じごく』

 てんごくのところは、どこにあるんだろうか。

『どこに、てんごくは、あるの』

 ぼくは、きく。

 なんにもいわなかった。

 とちゅう、くるまにひかれているどうぶつ。

 かえるだ。

 よくわからなかった。

 そうして、ずっと、かんがえていた。

 すると、むかしのことをおもいだす。

『せんせい、あのそらに、てんごくがある』

 あのひとは、どうしているんだろうか。

 ようちえんのとき、せんせいがすきだった。

 やさしいところが、とてもあこがあれていた。

『あそこに、てんごくはあるんだね』

 ふたりで、わらいあった。

『きれいだね』

 ぼくは、ふっくらとしているセメントにすわっていた。

『すごいね、わかったわ』

 よくわからないけど、たすかったのかもしれない。


 あのときのことを、いっしょうけんめい、おもいだした。

 じゃあ、てんごくは、うえにあるのか。

 ぼくは、うれしくなった。

 ゆうやけぐも、とてもいいとわかったからだ。。

 きっとおおきな、おしろが、あるのかもしれない。

 よかった、よかった。

 てんごくに、いくぞ。


 ぼくは、あるているとちゅう。

 すぐにきがついた。

 たぶんだけど、おんなじひとたちみたいにはなれないと。

 もう、だいじょうぶだ。

 さいしょはさみしかった。

 でもだいじょうぶだ。

 だれもがすくわれている。

 いえにかえった。

 おとうさんがいた。

 せんそうのえいがをみていた。

 じゅうげきのところがわかるのかもしれない。

 おおきなおとを、たくさんだす。

 なんにもいえない。

 だって、てんごくなんだから。

 そうすると、となりのひとがかえってきた。

 おかあさんが、まいにちガーデニングのせわをしている。

 シロのことをおもいだした。

 だいじょうぶだろうか。

 おとうさんの、しごとばしょ、そうこの、はたけだ。

 なんとなく、きいてみた。

 ワンときこえる。

 だいじょうぶみたいだ。

 そうしていると、ないているこえがきこえる。

 りこちゃんかもしれない。

 でもここはてんごく。

 どうしたらいいのかわからない。

 ささやくように、いってみた。

「ここはてんごく」

「だいじょうぶ、だいじょうぶなのよ」

 そういっている。

 ぼくは、えを、かこうとしている。

 そのまえに、てをあらおう。

「おねえちゃん、まんがかいてるの」

 きょうみがわく。

「みないで」

「わかった」

 そうしていると、てをあらった。

 ぼーっと、している。

 おとうさんは、てんきよほうをみている。

「たすくおにいちゃーん」

 たかしがかえってきた。

 ぼくは、みをなげだしてもだきしめにいく。

「たすく、てをあらってない、たかしでしょ」

「はーい」

 すると、たかしがこうはなした。

「きょうね、なんだか、さむかった」

「おかあさん、あついふくを、きさせてね」

「あたたかい、ふくをきるのか」

 ぼくは、すきなひとと、おはなしできた。

 そんなことはいえない。

「ぎゃああああ」

 たかしが、てをあててきた。

 ぼくはおおごえをあげた。

「うふふ」

「さむいじゃーん」

 ぼくは、あたためておいた、ふにゃふにゃのてでさわる。

「つめたい」

 ぼくは、ていねいにきく。

「あたたかい」

 ふにゃふにゃになったたかし。

 ふたりはわらいあう。

 たかしがずっとだいすきだ。

 たかしと、かくれんぼをした。

 おしりをだしていると。

「たかし、ここにおしりをだしているひとがいるぞ」

「いうなあ」

 おこってしまった。

 おとうさんだ、こたえをいったのは。

「なんでいうの」

 たかしは、わらわない。

 そのとき、あたまがはずれた。

 おもいっきり、こんなクソガキといった。

 そのあとなぐった。

 すわったから、それでせいかいだった。

 おかあさんが、そのあと。

「ごはんよ」

「はーい」

「はい」

 ふたりなかよくすわる。

 たかしが、しあわせな、かおをしている。

 だいすきだ。

 そのあと、ふたりでじゃんけんをしたりした。

 そんなせかいが、てんごくだ。

 ふと、こんなかんがえがうかんだ。

「たかし、へんなおとなと、いいおとながいる」

「いるのかもしれない」

 ふたりはわらいあう。

「おれたちは、めしをくえる」

「そうだね」

「これをてっていしてやろう」

 ふたりでみんなたべた。

 よかった、よかった。

 そのあと、ぼくは、ふろにはいった。

 たかしはいつも、おかあさんと、ふろにはいっている。

 ぼくは、さみしくない。

 それでもだいじょうぶなんだ。

 そうして、たんじょうびにかってもらった、ゾイドであそぶ。

 あきたから、ぶろっくをする。

 たかしをまつ。

 それが、たまらなくよかった。

 ぼーっとしていると、むしのこえがきこえる。

 たかしが、ふろからあがってきた。

「たかし、むしのおとをきくぞ」

「どこからなるの」

「となりのぞうきばやしからだ」

 ずーっとふたりできいている。

 おかあさんはわらっている。

 こんなじかんがだいすきだ。

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