呪い代行に頼むぐらいなら、金のシャチホコの上で笑え!
kaku
シャチホコ1匹目 まずは、ご挨拶
「シャチホコの上に乗ったら、落ちませんか?」
はっ? 何ですの!? いきなりのっけからっ。
「いえ。わたくしは、太閤殿下がお住まいになられた城に参上したことがあるのですが、そこの天守の上にあった金のシャチホコは、連結式望楼型五重六階地下二階分の天辺、もうちょっとわかりやすく言えば、高さ五十メートル以上の天辺にあるのです。いくら何でも、その上に乗ったら、落ちると思うのですが」
……。みなさま、こんにちは。
何ともけったいな、変わったタイトルだと思われているでしょう。
これは、小説ではございません。
「無視しないでくださらぬか」
すいません、無視させてくださいませっっ。
「何故!? このわたくしが、何か無礼なことでもしたと申されるのか!」
のっけから、作者のわたくしに挨拶もさせず、まぜっかえしたのはどこのどなたですか!?
「わたくしか? わたくしは、性はN、名はK。兜には『愛』の字を掲げた後の世で見目麗しいと言われた武将でございます」
ぜんっぜんっ、わかりませんわっっっっっ。
と言うか、何ですの、そのびみょーに自分を隠して、その実、自分を賛美してまーすの自己紹介の仕方は!!!
「むっ。やはり、駄目でございますか?」
駄目に決まっていますわっっ。
日本人の美徳は古式奥ゆかしいと相場が決まっておりますっっ!
「いや、しかし。それを言うならば、この
だから、そのことを話す前にっっっ。
混ぜっ返してくださったのは、どこのどいつですの!?
「わたくしのせいですか?」
ええいっ、この天然ボケ男がっっ。
「それは、失礼を。して、どうしてこのような題名をつけられたので―うっっ?」
どかっ。
ふう……。これで静かになりましたわ。
皆様、失礼致しました。
この作品は、ご覧のように小説ではありません。
言ってみるならば……そう、体験記。
でも、ふつーの体験記とは、ちょーと違っているかもしれませんわね。
もうのっけから、普通でない方が出て来てしまいましたし。
しかも、題名も何が何だかわけわかりませんし。
「って、それをご本人が言ってどうするのですか!」
げっ、もう復活したのですか!?
「このK、この文を読んでいる皆様のためにも、三度問いただすっ。何故、この題名なのですか!!!」
簡単ですわ。
呪い代行の料金って、高いんですのよ。
「―はっ!?」
わたくしの知っているのでも、安くて三万円。高いと十万越えるのもあるんですのよ!?
こんな馬鹿げた話はありませんことよっっ。
「呪い代行って……何故そのようなものに、お金を出すのですか? ご自分でやれば良いのでは?」
ちっ、ちっ、ちっ。
そーんな手間のかかること、現代の方々はあまりしたがりません。
なーんて言っても、子の刻に神社に行って、白装束でわら人形こさえて、五寸釘打って、てとーてもめんどくさくありません?
しかも、人に見られたら、その呪いが自分にかかってくるのですよっ。
「それで代わりに違う人間に代行でやってもらおうと言うわけですか……でも、効果あるんですか? と言うか、呪いは自分でやるから効果があるのでは? そして、人を呪ったら、自分も死ぬのではないのですか???『 人を呪わば穴二つ』 とは、相手の死体を埋める穴と、自分の死体を埋める穴が必要だってことですよ」
げっ、そうだったのですか!?
「はい。人を呪うのであれば、自分の命を懸けねばなりませぬ。しかし、そうなるとその呪い代行とやらは、本当に効果があるとは思えませぬな」
まあ、それは同感ですわ。
でしたら、金のシャチホコに祈った方が、余程ましと言うものですわ。
だって、
「いや。今回は、その上で笑え!って申しておりますが。金のシャチホコに祈るのはともかくとして、幾ら何でも危なくはありませんか。それに、金のシャチホコは守り神でもあられますし」
さすがに、おくわしいですわね。
確かに、金のシャチホコは、名古屋城のものが有名ですけれど、あれはもともと、火除けの意味があるそうですわ。
室町時代以降に建てられたお城には、たいてい見られますわよ。
初めて金を塗ったのは、織田信長とか豊臣秀吉だとか言われていますが、まあ、この辺はどーでもいいですわね。
「いや、どーでもよくないですぞっ!」
ようは、呪い代行を頼むぐらいなら、金のシャチホコに自分の幸運を祈って、幸せになって、金のシャチホコの上で笑ってやろうってことですわ。
「……別に笑うのは、金のシャチホコの上でなくてもよろしいのでは?」
心意気の問題ですわっ。「幸せになって、金のシャチホコの上で笑ってやろう!」というぐらいの心意気が大切になってくるのですわっっっ。
「……バチが当たりそうですが」
でえええい、さっきから横でゴチャゴチャと、うるさいやからでございますわねっっっっ!!
本気でそうするわけではないのですわ。これは心意気っっっです!
「まあ、そうなのですが……」
あんまりゴチャゴチャ言うのでしたら、つぶしますわよっっっ。
「……すいません、わたくしが悪うございました」
あら。急にしおらしくなりましたわね。
わたくし、何かひどいことを言いましたでしょうか?
まあ、良いですわ。
で、皆様。先ほどの続きですけど、呪い代行の料金って、高いですわよ。
安いのでも一万円、高いと十数万するんですわよ!?
「
……ほんの一瞬でございましたわね、しおらしかったのは。
「効果がないのに、そんなにお金を出す者がいるのですかっっっ」
効果があるかどうかは別として、人を呪うことにお金を使うより、自分の幸せのためにお金を使った方が、よほど安くつきましてよ。
「そうなのですか?」
ええ。お値段にしても、高くても一万円ちょっと、探せば無料ってのもあるのですのよ。
「なっ、なんですと!?」
ええ。
探せば、ですけどね。
「無料なのに、見も知らずな赤の他人を幸せにしようとする、そんな奇特な方が真にいらっしゃるのですか!?」
……何気に毒吐く方でございますわね。
「当たり前ではござらぬかっ。確かに我らは殿のためにならば、命はおしくはありませぬ。ですが、人は己の義の心のみでは動くものではありませぬし、またそうであることも不自然です」
なーんか、ご自分の後世のイメージを瓦解させるようなことを、ぽんぽんと言っていらっしゃいますが、確かにそうですわね。
さすが、薪の管理で頭角を現し、出世した方を父に持っていらっしゃるだけはあります。
まあ、無料には無料なりの理由がございます。
「そうでござろう? 上手い話には裏がある。これは、六百年経ったこの世でも、変わらぬものなのですね」
そーんなこと言っていたら、六百年どころか、三千年前以上も前から、人間のやることなんか、まーたく変わっておりませんってば。
ま、それはさておき。
ですが、まったくのその通りなのですわ。
これは、「注意事項」の一つではありますが、ここで説明しておきますわね。
「無料」と言う言葉に誘われて、行ってみた、やってみたら、あらそれよりも高い商品を買わされてしまいましたわってこと、良く聞きますわよね。
それと同じことが、これから紹介するものたちでも行われているのですわ。
ですから、本当によくよく注意してくださいませね。
でも、もう一つ、「無料」でやっている方々には、「練習」と「宣伝」でやっている方もいらっしゃるのですわ。
「何ですと!」
そんなに驚くことないですわ。
まず、「宣伝」は今現代では良く見かけますわ。
「どこでですか、そのような馬鹿げたことっっ」
あら。しょっちゅうやっていますわよ。
まず、デパ地下やスーパーでやっている「試食」。
あれも、りっぱな「宣伝」ですわ。
それに、車の「試乗」も、無料でできますわよね?
あれも「宣伝」ですわ。
あなたの時代では、馬を「試乗」されていたのではないですか?
「な、なるほど、そう言われれば、そのような……いや、だが『練習』は、頂けないですぞ!」
ならば、頼まなければ良いのですわ。
特にこの後出てくる「占い」では、占いを学んだ方が、「練習」のために無料鑑定されていますが、ご不安でしたら、申し込まなければ良いのです。
お金を払わないかわりに、「練習」してもらうのですから、当たり前と言えば当たり前なのですわ。
「な、なるほど……」
ちなみに、わたくしが頼んだ「無料」の方々は、とても誠実に対応してくださいましたわ。
その代わり、わたくしも誠実に「体験談」や「アンケート」に答えましたけどね。
「持ちつ、持たれつですな。それでしたら、このK納得できます」
いや、別にあなたの納得が得られなくても……。
「では、早速始めましょう! 幸せになれることを、金のシャチホコの上で笑うぐらいの気持ちで!」
いや、だから何故にあなたがそんなふうに音頭をとるのですかっっっ!
「この、K。思い込んだら一直線の男っ。男は一直線でなければなりませぬ !!!では、皆様参りましょう。いざ行かん、開運への道へ!」
でええい、この天然総トボケ男がっっ!
少しは落ち着けっでございますわよっっ。
で、では、皆様。
しばしの間、わたくしたちにお付き合いよろしくお願いしますわね。
ぜい、ぜい。
バックボタンだけは、バックボタンだけは、本当に勘弁してくだいませね~~~~。
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