タイムスリップは柑橘とベリーの味
和泉柚希
第1話 酸っぱくて甘い過去の旅
酸っぱいけど甘い思い出がたくさんある。
何粒でも食べられるブルーベリーやラズベリー、蜜柑やオレンジみたい。たまに晩白柚。
わたし、川代愛希は過去の旅に出ることになるのだ。これからまさか。
「過去? 何言ってるんですか、先輩。未来にいきましょうよ」
ここは、製薬会社の一室。私は会社員であり、後輩と一緒に働いている。私は先輩で、後輩の進藤里穂は、未来に行きたがっている。
「絶対未来ですよ、先輩。過去なんて、行ってどうするんですかぁ!」
甘えんぼの後輩である里穂は、先輩である私に甘えるように言いたいことをたくさん何でも言う。
「私はいい旦那様と結婚して子供ができて、いいお母さんになりたいなーぁ! なんて」
「過去に行きたいなぁ、私は」
「過去なんて、先輩も私みたいな夢持ってたでしょ?」
「持ってたけれど、一旦過去に行って人生を整理したいなぁ」
「人生を整理……ですか?」
そう言いながら私は職場の書類を整理してまとめてゆく。
「早く駆けて来すぎたのよ、少し時間を戻して、タイムスリップして、行ってみたいな〜」
「……先輩なんか、乙女チックですね。過去って悲壮感漂う感じかなと思ったけど、整理整頓ですか。まあ、確かに整理整頓は大事ですね。私も過去行ってみたいです。一緒に先輩と行ってみたいなぁ〜」
「じゃあこうしよ! 過去を整理整頓するために過去へ行った後に、未来に行くの!」
「いいですね、先輩」
目の前に砂時計がある。この砂時計は、うちの会社にずっと前からあるらしい。そしてこんな噂を聞いた。この砂時計を3回上下に振るとタイムスリップできるというのだ。
「そんなの嘘に決まってますよね。でも試しにやっちゃお〜」
そう言って里穂は、砂時計を3回振る。
「ほーら何も起こらないじゃないですか〜」
確かに何も起こらない。しかし、数分後、
「ん? 何これ?」
「地震?」
急に部屋が揺れ始めた。ぐらぐらと大きく揺れる。そして、急に2人の体が浮き始める。
「何これ?!」
急に時空が歪み始める。歪む空間は2人を強い引力で引っ張っていく。体が宙に浮いてふわふわしている。2人は不思議な宇宙のような空間を10分間ほど漂い続けた。
「何ここー?」
漂い続けた後、自然と着地した2人は見に覚えのない場所に辿り着いた。
「海?」
「先輩、ここ……」
「? どうしたの里穂」
「ここ、私の地元、生まれた場所です」
どうやら後輩の里穂の生まれた場所らしい。
「なんで里穂の地元に? 私が過去に行きたいって言ってたのに」
「本当ですよ、先輩。私戸惑ってます。地元になんて、実はもう就職してから5年くらい帰ってなかったんですよ」
不思議なことに愛希が過去を整理したいと言っていた希望とは裏腹にその砂時計は、後輩である里穂を地元に連れてきていた。
「わたし、地元に戻りたいなんて言ってないですよ〜」
その顔は心なしかとても嫌そうにしている。大人なら育った地元での嫌な経験の一つ二つくらいあるだろうし深くは突っ込まないが、それにしてはすごく嫌そうな顔だ。
「先輩、帰りましょう〜。私嫌ですよ」
「分かったわよ、私もあなたの地元になんて興味ないし、、、えーと砂時計、、、あれ? 砂時計は?」
「ああ、えーっとーここです、これです! 私ポケットに入れてました。もう一回振りますね。これで戻れるはずですよね」
そう言って里穂は砂時計を再び3回振る。数分待ったが、何も起こらない。
「えー?! 何も起こらないじゃないですか。困りました。先輩〜」
「仕方ないわね、しょうがないから、この辺り見てみましょう、少し」
「えー、嫌ですよ、先輩」
「なんでそんなに嫌なの? 分からないけどとりあえず見てみるわよ」
愛希はそう言って嫌がる里穂を強引に連れていくことになった。どうせ、家族と仲悪いとかそんなことだろうと思っていた。
「本当に嫌なのに……先輩のそう言う強引なところ直した方いいと思いますけど?」
「そういう里穂のわがままで甘えんぼなところも直した方がいいわよ!」
「は〜、、、わたしここ回りたくないです〜」
いつになく里穂は子供のようにわがままに嫌がっていた。けれど気が変わったのか、
「分かりました、着いてきます。先輩に。それならいいですよ」
やっぱり自分の過去を掘り返されることが嫌だっただけなんだろうか。少しミステリアスなところもある気まぐれな雰囲気のある後輩の里穂に少し戸惑うところが昔からある。
それはいいとして、もう戻ることもできないので、愛希は里穂を連れて海岸沿いの里穂の地元を歩き回ることになった。
「それにしても私の地元も随分変わったなあ」
「なんだ楽しげじゃない」
「そーゆー先輩も楽しそうですね」
こうして、2人のファンタジーな旅は始まってゆく。
「てゆうかこの旅ってあれなんですかね、登場人物とか、私の母親とか出てきちゃいますか?」
「分からないわよ、どんな風になるのか、違う顔で出てきたり設定が少し違うのかもしれない、タイムスリップってそんな感じじゃない?とりあえずまあ行きましょう」
◾️□◾️□ ◾️□◾️□ ◾️□◾️□ ◾️□◾️□
第一話を読んでいただきありがとうございました♡
もし愛希と里穂みたいな会社員のヒロイン好き!
タイムスリップいい! 楽しみ!
こんな設定好き! 応援しています!
と思ってくださいましたら、
★評価とフォローをお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます